いま、話題のSDGs
取り残されないために知っておくべき最初の一歩
SDGsに対する認知率は急上昇中!
電通が、2022年1月、一般生活者1,400人に対して行った“第5回「SDGsに関する生活者調査」”によると一般消費者の86%が「認知している」と答えており、SDGs認知率は急上昇しています。うち、34.2%が「内容まで含めて知っている」と回答していますが、残りの51.8%は「名前は聞いたことがある」程度にとどまっています。上昇要因のひとつには、昨年の東京オリンピックがSDGsをテーマとして取り上げていたことや、オリンピックを機会に世界と急接近した影響と言えそうです。
今後さらに、理解や共感が深まり、あちこちで内容についての論争も日常のものとなりそうです。特に「Z世代」は、学校の授業などで体系的に学んでいるため、社会人世代よりも高い感度を持ち、購買行動においても上の世代とは違いが生まれているようです。
なぜSDGsは、このように世界中で取り組まれて
いるのでしょう
SDGsは、日本国内だけでなく世界中を巻き込んだ大きなムーブメントになっているのですが、その理由を知っていますか?
それは、このSDGsが、国連サミットにおいて、全加盟国の全会一致で採択されたためです。世界中がいろいろなグループに分かれ、覇権争いをしている中、全会一致で採択されるとは、それだけこのSDGsの重要度・緊要度が高いということを示していると言えるでしょう。
もし、御社がまだ全く手つかずだとすれば、すでに5年以上も遅れていることになります。
しかし、焦る必要はありません。
もし、御社のビジネスに将来性の心配がなく順風満帆、または、少なくとも成長は鈍化しつつも継続性は大丈夫、というような業況であれば、それは、おそらく知らず知らずのうちにSDGsの考え方に沿ったビジネス展開ができているはずです。
例えば、仕入れ、物流、在庫、加工、マーケティング、サービスなどバリューチェーンのそれぞれの場面で、どのような関係者とどのような取引を行い、価値を生み出しているのかについて社内で洗い出してみましょう。必ず、どこかのステップで、社会課題の解決につながっているはずです。
あらゆる社会課題を集約したものがSDGsの17のゴールですから、もし、あなたのビジネスが、SDGsに無関係ということであれば、今後、社会から必要とされなくなる可能性が高いと言えます。
SDGsは第二弾施策だった?!
実は、SDGsは、近年、突然現れたテーマというわけではなく、もともとは、MDGsという前身の取り組みが発展したものなのです。MDGsは、2001年に策定された「2015年までに8つの目標と21のターゲットを実現しよう!!」という、どちらかというと途上国向けの開発目標でした。
SDGsでは、MDGsで達成できなかった目標に加えて、先進国を含めてすべての国々を対象にしました。「豊かさを追求しつつも地球環境や人権を守ること」を重視しています。いわば、世界というよりも地球全体がテーマの取り組みになっています。
近代国家による国境という概念が生まれて以降、人類は、自国の国土内は個人の家庭と同じように、内政不干渉の原則を重視しており、互いに見て見ぬふりをしてきました。しかし、それによって他国での出来事でも、自国に大きな影響があり、見過ごせないような問題がたくさん生まれてしまいました。
例えば・・・森林の減少や大量のCO2の排出。難民問題、それにまつわる人権問題・・・。
その反省を踏まえ、全地球人が協力・協調して、地球規模の問題がこれ以上大きくならないように気をつけようという取り組みとしてスタートしました。「このままでは21世紀で地球が滅亡してしまう。」との危機感から生まれていると言っても過言ではありません。
17の目標と169のターゲットとの関係は?
SDGsでは、世界中の国々の目指す国際目標が“17のゴール・169のターゲット”から構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。
17の目標は、いろいろなところで見かけるあのカラフルなアイコンのことですので「見たことがない」という人はないと思います。また、ターゲットとは、各目標の下に具体化された項目のことで、“目標の細分化”と“具体的な手段”に分類されています。
例えば、“8.働きがいも経済成長も”という目標に対しては、“8.1各国の経済成長率をキープしよう”という感じで目標を細分化した項目になっています。もう一方の具体的な手段については、数字とローマ字の組み合わせで表現されています。“8.a開発途上国に対する「貿易のための援助」を拡大する”といった具合です。
「持続可能な開発」とは、一体どういうこと?
続いて、よく耳にするキーワードに「持続可能な開発」というものがありますが、これは、逆説的に考えてみるとわかりやすくなります。もし、“持続不可能な開発”と聞くとどのようなことをイメージするでしょう。
おそらく、「公害や劣悪な労働環境など問題が多発して事業が続けられない」という高度成長期の頃の日本をイメージするのではないでしょうか?
ほかにも、木材の伐採で森がなくなったり、野生動物の暮らす場所がなくなったり、世界的大ニュースになった新彊ウイグル自治区の強制労働による綿花栽培など。誰かが損失を被ると、非難されたり、誰も買ってくれなくなったりして継続できなくなりますよね。
つまり、「持続可能な開発」とは、みんなが丸く収まる三方よしの状態ということと言えそうです。具体的には、下図のように“環境保護”、“社会的包摂”、“経済開発”の三つの上に成り立つのが持続可能な開発ということになります。
さらに、ここからさらにブレークダウンした「5つの主要原則」というものが設定されています。
普遍性:国内と国外をバランスよく取り組む
包摂性:人権(LGBTQ問題)など、誰一人取り残さない
参画型:全員参加型で取り組む
統合性:社会、経済、環境、3分野の相乗効果をねらい、トレードオフを実現する
透明性と説明責任:取組状況を定期的に評価・公表する
※LGBTQ:レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(生まれた時の性別と自認する性別が一致しない人)、クエスチョニング(自分自身のセクシュアリティを決められない、分からない、または決めない人)など、性的マイノリティの方を表す総称のひとつ。
※トレードオフ:何かを得るために行動すると、代わりに何かを失ってしまうこと
まとめ
今回は、SDGsという大きな枠組みを分解して、その構成要素とともに成り立ちについて見てきました。
SDGsには、MDGsという途上国向けの課題だったものを、地球全体のテーマにアップデートしたものです。つまり、どこか別の場所にある遠くのテーマではなく、このテーマの中に私たちが存在すると理解してください。
ですから、世界中の人たちが自分ごととして捉えられるように系統立ててロジカルに整理されています。今後もニュースなどで目にする機会は、さらに増えるでしょう。このようにSDGsは、他人事ではありませんし、もはや大企業だけのものでもありません。小難しくは感じますが、私たちのビジネスに直結しているテーマで、実は、とても身近な存在なのです。
まずは、身近なチームで勉強会を開いてみてください。ほとんどの組織で「私たちの事業もSDGsの17の目標に合致していたんだね」と確認できるはずです。それが、この取り組みの第一歩となるはずです。
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