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  • 2023.12.21

中国における越境EC市場の現状は?
参入する際の注意点も解説

中国における越境EC市場の現状は?参入する際の注意点も解説

越境ECを利用して、中国への販路を開拓したいと考えている人もいるでしょう。越境ECとは、インターネットを通じて行う国境を越えた電子商取引のことであり、スマホやタブレットなどの電子端末の普及とともに市場が拡大しています。

企業へ商品を卸すBtoB取引が主である一般貿易とは異なり、海外の消費者と直接商品の取引をおこなうことも可能です。税金や規制の面で優遇を受けられる可能性があるほか、個人での利用や海外へ拠点を設けず運営する方法もあり、海外進出の手段のひとつとして注目されています。

当記事では、中国における越境ECの現状や参入する際の注意点を解説します。今後、越境ECを通じて中国への販路を開拓したいと考えている人は参考にしてみてください。

世界全体のEC市場シェアの過半数を中国が占めている

経済産業省のデータによると、世界全体のEC市場シェアの過半数を、中国が占めています。

【国別EC市場シェア】

国名

割合

中国

50.4%

アメリカ

18.4%

イギリス

4.5%

日本

3.1%

韓国

2.5%

参考:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書

2022年度の中国におけるEC取引市場規模は28,790USドル(約400兆円)にのぼり、1国で世界シェアの半数以上を占めています。中国のオンラインショッピング利用人口も年々増加傾向にあり、2022年のデータでは世界で最も多い86,620万人と推定されています。

EC取引の中でも、国境を超えて取引をおこなう越境ECの市場規模は今後も拡大が見込まれ、2030年には世界全体で現在の約10倍である79,380USドルまで成長することが予測されています。

また、中国では、オンラインショッピングを利用する人の90%以上がモバイル端末から商品を購入しています。スマートフォンやSNSなどの普及にともない、中国における越境EC市場規模は今後も拡大していくと考えられるでしょう。

越境ECを通じた中国からの日本製品購入額は2兆円以上

経済産業省のデータによると、2022年度における越境ECを通じた中国からの日本製品購入額は、2兆2,569億円でした。

一方で、日本での中国製品購入額は392億円となっています。人口による市場規模の差はあるものの、中国での越境ECの利用が活発であることがうかがえます。

日本製品の購入経験に関するアンケートによると、中国人回答者の7割程度が日本製品の購入経験があると回答しています。中国での日本製品に対する評価は高く、越境ECを通して中国へ自社独自の商品を販売することで、販路の拡大と利益の向上が見込めるでしょう。


越境ECを通じて多く購入されている日本製品は化粧品

越境ECを通じ、中国から最も多く購入されている日本製品は化粧品などの美容関連製品です。日本製の化粧品や美容製品は、品質と安全性の面から、中国でも高い人気を維持しています。

【中国の消費者が購入している/購入したい日本製品】

製品

割合

化粧品・美容関連製品

44%

衣料品・アパレル

43%

食料品・アルコール

30%

参考:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書

感染症の流行によるマスク生活の影響もあり、日本では化粧品の売り上げが低迷しましたが、中国への輸出総額は年々増加しています。中国での人口増加や美容意識の向上などが影響し、化粧品の利用者が増えていることが主な要因であると考えられます。

中国人が越境ECを利用して日本製品を購入する理由としては「国内にないものを購入できる」「正規品等、信頼できる先から購入できる」「高品質である」などが多く挙げられています。また、旅行などで日本に訪れた際に購入した商品が気に入り、継続して利用したいため越境ECから購入しているという意見もありました。

購入品目の上位を占める化粧品やアパレルのほかにも、健康食品やサプリメント、デジタル家電などが売れ筋となっています。商品やブランドが気に入っているものの、中国では入手が難しい日本製品を、越境ECを通じて購入する動きが見られています。

越境ECを通じて中国市場へ参入する際の注意点

越境ECを通じて中国市場へ参入する際には、注意点もあります。

【越境ECを通じて中国市場へ参入する際の注意点】
・中国の越境ECを利用する場合は中国電子商取引法を遵守する
・直送モデルと保税区モデルで税制が異なる
・模倣品を防ぐためには中国でも商標登録が必要となる
・中国向けの決済サービスに対応する必要がある

中国と日本では法規制や税制などが日本とは異なり、知らずに運営をおこなうことでトラブルに発展する恐れもあります。また、日本向けのECと同じ運用方法では売上につながりにくくなる可能性もあるため、事前に注意点を把握して対処法を検討しておきましょう。

中国の越境ECを利用する場合は中国電子商取引法を遵守する

中国の越境ECを利用する場合には、中国電子商取引法を遵守する必要があります。中国電子商取引法とは、中国におけるインターネットを通じた電子商取引を管轄する総合的な法律であり、中国のEC事業者向けの項目としては主に以下の内容が定められています。

【中国電子商取引法の内容(一部)】
・営業許可の取得義務
・納税申告の義務
・領収書の発行義務
・商品の安全性保障と取引禁止商品の提供禁止義務
・情報開示の義務
・個人情報保護の義務

中国電子商取引法は、中国国内で越境ECをおこなう場合に適用される法律です。中国の越境ECプラットフォームへ出店する場合や、中国で自社のECサイトを立ち上げて取引をおこなう場合には、記載されている内容を遵守する義務が発生します。

なお、日本の越境ECを利用する場合には中国電子商取引法の対象外となりますが、経済産業省が定める 「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」 には従わなければなりません。越境ECの始め方が決まったら、自社が遵守するべき法規制を確認しておきましょう。

直送モデルと保税区モデルで税制が異なる

中国における越境ECの配送モデルには、直送モデルと保税区モデルの2種類があり、それぞれ税制が異なります。越境ECを通じて中国へ輸出を行う場合は、自社商品や取引の規模から、どちらの配送モデルを利用するかの選択が必要です。

【直送モデルと保税区モデル】

直送モデル

保税区モデル

概要

  • 中国に倉庫を持たず、注文を受けたら直接消費者の元へ配送する
  • EMS等の国際宅配便を利用する
  • 中国の「保税区」に商品をまとめて配送しておき、注文が入り次第消費者へ発送する

税金

行郵税

  • 品目により13%、20%、50%のいずれかを課税
  • 税額50元(約1,000円)以下の場合は
    免税

越境EC電商税

  • 関税:0%
  • 増値税・消費税:一般貿易の70

メリット

  • 輸入禁止品目以外は全て輸出可能
  • 保税区モデルよりも手間や費用を抑えられる
  • 税制の優遇を受けられる
  • 一括運送により、輸送コストを抑えられる可能性がある

デメリット

  • 注文が入ってから消費者の元に届くまで時間が掛かる
  • 商品返品時の対応が複雑
  • 取り扱える商品はポジティブリストに記載の品目に限られる
  • 倉庫保管にコストが掛かる

直送モデルは、国際郵便などを利用して、中国の顧客の届け先住所へ直接商品を発送する方法です。注文が入るごとに輸送と通関をおこなう配送モデルであり、税額50元以下の少額取引であれば関税や増値税、消費税が掛からないため、小規模な取引を行う場合に向いています。

保税区モデルは、注文が入る前に保税区へまとめて商品を輸送しておき、注文が入り次第通関をおこない消費者へ発送します。倉庫使用の費用は掛かりますが「ポジティブリスト」に記載されている品目は税制優遇を受けられるほか、一括輸送により輸出費用を抑えられる可能性があります。

なお、いずれも「1回あたりの購入額5,000元(約100,000円)」および「年間の購入額26,000元(約536,000円)」の限度額を超える場合は一般貿易として扱われます。規模の大きな取引では、越境ECに適用される税制優遇を受けられなくなる点に注意しましょう。

模倣品を防ぐためには中国でも商標登録が必要となる

中国へ向けて商品を販売する場合、模倣品を防ぐための商標登録を中国でもおこなう必要があります。日本で商標登録をしていても、商標が保護されるのは日本国内に限られるため、海外で商品展開をおこなう場合は現地で新たに商標権や著作権を取得しなければなりません。

中国ではEC取引が活発におこなわれていますが、日本製品の模倣品が販売されることや、日本の商標やブランドが無断で中国での商標出願がおこなわれる「冒認出願」といった被害も発生しています。

万が一、模倣品を発見した場合、大手の越境ECプラットフォームでは模倣品や知財侵害リンクの削除申立ができる場合もあります。日本貿易振興機構(JETRO)でも「知的財産に関する情報」として模倣対策マニュアルなどを公開しているため、事前に対処法を確認しておきましょう。

中国向けの決済サービスに対応する必要がある

中国向けに越境ECでの販売をおこなう際は、中国向けの決済サービスに対応しましょう。商品やサービスが優れていても、中国の消費者が利用しやすい決済サービスがなければ、購入につながらない恐れもあるためです。

現在、中国では「支付宝(Alipay)」や「微信支付(WeChatPay)」などのアプリ決済や「銀聯(UnionPay)」によるカード決済が主流となっています。日本でなじみのあるクレジットカードやデビットカードによる決済も可能ですが、中国での利用者は減少傾向にあります。

越境ECでの取引において、普段利用している決済サービスが利用できることは、消費者にとっての安心材料のひとつになります。中国向けに越境ECをおこなう場合には、中国での利用率の高い決済サービスを取り入れることを検討しましょう。

まとめ

中国は世界のEC市場シェアの過半数を占めており、オンラインショッピングを利用する人口も世界で最も多い国と推定されています。国境を越えてインターネット上で取引をおこなう越境EC市場は世界的に拡大傾向にあり、中国においてもさらなる利用の増加が見込まれます。

中国における越境ECを通じた日本製品の購入額は、2022年時点で2兆円を超えており、化粧品やアパレル、食料品などが多く購入されています。中国での日本製品に対する評価は高く、リピーターとして製品を愛用するために越境ECを利用している消費者もいます。

中国向けの越境ECを成功させるためには、法規制や消費者のニーズを理解し、現地に合わせた方法で越境ECを運用していくことが大切です。日本と同じ方法で越境ECを運用した場合はトラブルに発展する恐れもあるため、事前に注意点を確認して対処法を検討しておきましょう。

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