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  • 2022.01.17

イノベーションの時代を生き抜くために
必要な要素と、求められる人材・組織づくりとは?

イノベーションの時代を生き抜くために必要な要素と、求められる人材・組織づくりとは?

昨今の社会では、少子高齢化や急速な技術革新により、変化が一層激しくなっています。IoTAI、ビッグデータ、ロボットなどを中心とした「第4次産業革命」に注目が集まり、将来の予測がつかない「VUCA
Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代」とも呼ばれるなど、ビジネス環境の変化はますます顕著になっています。

変化の激しい環境下で競争を勝ち抜いていくためには、これまで以上に「イノベーション」が求められます。既存事業だけに固執していては、変化する外部のニーズに応えられなくなり、いつしか衰退してしまうリスクが大きいからです。しかしながら、イノベーションを加速する人材の育成・組織づくりは、決して容易ではありません。

この記事では、「イノベーションを加速するために必要な要素、人材、組織とはどのようなものなのか」について掘り下げていきたいと思います。

イノベーションを起こすのに欠かせない3つの要素とは

イノベーションとは、「新しいアイデアや技術を取り入れて、新たな価値を生み出し、社会に大きな変化を起こすこと」です。よく「技術革新」と訳されますが、技術に限った概念ではなく、モノ・仕組み・サービス・組織・ビジネスモデルなど、広い範囲が対象となります。

決して簡単ではないイノベーションを起こすためには、ある3つの要素が不可欠です。この3つの要素を満たすような人材育成・組織づくりができれば、イノベーションが現実的なものになるでしょう。

まず「ビジネス」の要素です。新しい製品やサービスを市場に浸透させるためには、経営戦略や組織戦略、マーケティングなどの知見が欠かせません。どんなに優れたものを開発しても、それを届ける手法が適切でなければ、日の目を見ずに終わってしまいます。

また、イノベーションは技術に限った概念ではないものの、新しい技術がもたらされることによって起こるものが多いのも事実なので、「テクノロジー」の要素も外せません。ひとつの例として、「デジタルカメラ」を取り上げてみましょう。かつては写真フィルムが業界のスタンダートで、コダック社が圧倒的なシェアを誇っていました。そんな中で「デジタルカメラ」という新しい技術がもたらされ、イノベーションが起きた結果、対応できなかったコダック社は最終的に経営破綻に追い込まれました。このように、新しい技術は、業界構造を大きく変える力を持つケースが少なくありません。

イノベーションに不可欠な3つの要素の最後は「デザイン」です。「ビジネス」や「テクノロジー」と比べると、少しだけ特殊に映るかもしれませんが、現在の社会でイノベーションを起こす上で、デザインは欠かせません。この点については次の章で詳しく触れたいと思います。

繰り返しになりますが、イノベーションを起こすためには、「ビジネス」「テクノロジー」「デザイン」の3つの要素が重要であり、この3つに着目した人材育成・組織づくりが必要ということです。

なぜ「デザイン」の要素がイノベーションに必要なのか

イノベーションになぜ「デザイン」が必要なのかについて、もう少し詳しくみていきましょう。

先述したように、社会構造や技術などの変化が著しい環境下において、消費者のニーズも絶えず変化しながら多様化・高度化しています。その結果、ただマーケティングのアプローチが優れていたり、技術が優れていたりするだけでは、なかなか消費者の心を捉えることができませんし、仮に捉えられても一時的なもので終わってしまいます。

ここで指す「デザイン」とは、ただ外見が美しい、というだけではありません。一見して操作方法が分かりやすいかどうか、無駄な手間がかからずストレスフリーかどうか、使っていて心地よく満足感があるかどうか、などの点をトータルで考えたデザインのことを指しています。

最近、特にWebサービスやアプリケーションを中心に、UI(ユーザーインターフェース…ユーザーが目にするもの・操作するもの全般)やUX(ユーザーエクスペリエンス…ユーザーが製品やサービスを通じて得られる体験)という言葉がよく使われますが、まさにこの観点を含めた「デザイン」こそがイノベーションには不可欠です。新しいテクノロジーを、優れた戦略と優れたデザインのもとでユーザーに届けてこそ、多様で高度なニーズを持った消費者に「イノベーション」として受け入れられるようになります。

イノベーションの時代を生き抜くために必要な要素と、求められる人材・組織づくりとは?

3つの要素の融合が人材育成・組織づくりのポイントになる

「ビジネス」「テクノロジー」「デザイン」の3つの要素はイノベーションに不可欠なので、人材育成においてもこの点を意識する必要があります。

その時に特に留意したいのは、「完全分業を避ける」ということです。「ビジネス」の専門人材、「テクノロジー」の専門人材、「デザイン」の専門人材をそれぞれ育成しても、なかなかイノベーションにはつながりません。それら3つを融合させて初めて、イノベーティブな製品・サービスの開発と、マーケットでの定着につなげることが可能になります。

先ほどコダック社の事例を挙げましたが、実は、デジタルカメラの技術を最初に発明したのはコダック社だと言われています。優れた「テクノロジー」はあったものの、それを活用する「ビジネス」や「デザイン」の観点がなかったために埋もれてしまった事例とも捉えられるでしょう。この事例からも、ある特定の要素だけが強くてもイノベーションの実現には結びつかず、統合させていく必要性が感じられると思います。

とはいえ、なかなか3つの要素すべてを深めた人材を育成するのは難しいので、最初は2つの要素だけでも深めていくとよいでしょう。例えば「テクノロジー」に強い人材の部署異動を通じて「ビジネス」の知見も深めてもらう、「デザイン」に強い人材を「テクノロジー」の分野に配置して製品化の精度を高める、などが考えられます。

ある特定の要素を深める育成制度は備えていても、それらを組み合わせることに意識を置いている企業は意外と多くありません。ある特定の専門分野だけに知見が偏ってしまうと、どうしても発想が限定的になってしまう傾向にあるので、その融合に意識を置いた育成(ジョブローテーションなど)を心掛けるとよいでしょう。

組織づくりの観点でも、3つの要素を融合させることに重点を置くことが大切です。既述の通りジョブローテーションを工夫するだけでなく、「ビジネス」「テクノロジー」「デザイン」それぞれに強い人材でプロジェクトチームを組成することが有効です。分業ではなく、融合させていく仕組みができれば、たとえそれぞれの人材が3つの要素すべてを満たしていなくても、組織として満たすことができ、イノベーションの創出・定着に近づきます。

イノベーション人材を育成するには「越境学習」も有効

多くのイノベーションは、「通常であれば組み合わさらないはずの複数の要素が、独特の形で融合することで、新たな価値へ結びつく」という側面があります。先ほどから説明している3要素(ビジネス・テクノロジー・デザイン)についても同様で、優れたテクノロジーが、優れたビジネス、優れたデザインと組み合わさることでイノベーションが生まれるのであり、それができる人材と組織づくりが大切であるといえます。

この「通常であれば組み合わさらないはずの複数の要素が、独特の形で融合する」ことを促進する別の手段として、「越境学習」があります。この越境学習とは、普段勤務している会社を離れて、まったく異なる環境に身を置くことで、新たな視点を得る学びのことです。越境学習を自ら行なう人材のことを「越境人材」と呼んだりもしますが、2つ以上の領域を行ったり来たりする人材がいると、視点や着想が豊かになり、イノベーションの起点になりやすいと考えられています。

具体的な越境学習の方法としては、他企業への出向、社外研修への派遣、ビジネススクールへの参加などが代表的です。最近では副業を解禁する企業も増えていますが、副業も越境学習につながります。

知らず知らずのうちに自社や業界の独自の常識を「当たり前」と捉えてしまっているかもしれませんが、それはイノベーションの大きな阻害要因です。会社外の環境に身を置くことで、新たな3要素の視点を得る機会にもなるでしょう。

イノベーションには3つの要素を組み合わせる
人材・組織が重要

今回は、イノベーションに必要な3つの要素と、それらを融合させられる人材・組織が重要であることについて説明しました。昨今の急速な環境変化に対応するためには、従来の製品・サービス、従来のやり方に固執せずに、ユーザーの価値に着目した価値づくりが必要です。ただ、特定の専門領域にしか目がいかない人材では、新たな価値への感度が鈍ってしまいます。

イノベーションは、口で言うほど簡単に起こせるものではありません。だからこそ、3つの要素を兼ねそろえる人材を育成すること、それぞれの専門知識を持ちあえるチームを組成すること、越境を促進する仕組みを導入することなどを通じて、少しでもイノベーションが起きやすい環境を整えていくことが大切です。

企業が成長するための手段としてイノベーションが必要だと考えられている場合には、この記事を参考に、どうすればイノベーションを生み出しやすくなるかについて、あらためて考えてみてはいかがでしょうか。

松本 崇

松本 崇

PROFILE

ライター、コンサルタント
福岡県出身。東京大学経済学部卒業後、大手不動産デベロッパーに入社。オフィスビル部門にて営業や事業企画を担当した後、J-REITのIR室長として投資家コミュニケーションに携わる。

2020年中小企業診断士登録。
同年pfworkを創業。専門性と複業を特長として、企業の経営支援・プロジェクト支援に取り組んでいる。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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