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  • 2021.09.09

初めて見る英文売買契約書 ~売買契約書の英語~

初めて見る英文売買契約書 ~売買契約書の英語~

1. はじめに

ビジネスパーソンであれば関わりの深い契約書、ボーダレスになってきたこの世の中では海外との取引のために英文契約書を取り交わすことも多くなってきていることでしょう。英文契約書は多くのビジネスシーンで交わされますが、本稿では特に一般的なビジネスマンに身近と思われる売買契約書の例を通して、そこで頻繁に使われている英語をご紹介しながら、契約書で使われる典型的な表現を中心にご紹介します。

2. 英文売買契約書の構成

英文だからといって日本語と特別に異なる部分があるわけではありません。
その意味では必要以上に身構える必要がないとも言えます。売買契約書とは、売り手と買い手の間で、製品あるいはサービスを取引するときの決めごとを記したものです。当事者間でトラブルが起きることのないよう、起こり得る事態を想定してそのときの対処の仕方について規定しています。その規定の内容が英語に置き換わっている、と理解すればハードルが下がるのではないかと思います。

一般的に以下のような構成になっています。

見出し

内容

契約書のタイトル

Sales AgreementとかSales Contractと表示します。
呼び名によって効力が変わるものではありません。

前書き
(契約当事者、契約対象物の規定)

Recitalsと記載し、契約に至った背景や目的を記載することがあります。(ない場合もあります。)
このときのRecitalとは前文という意味です。見出しにWitnessthと記載することがありますが、これは契約書独特の表現で、次に記載されていることを証する、といった意味です。

この前書きの中では、契約当事者がどういう役割を果たすのかを以下の表現で示すことが多いです。

(例)
Whereas, ABC Corporation desires to sell…
Whereas, DEF Corporation desires to buy…
(ABC Corporationは…を販売し、一方でDEF Corporationは…を買い入れる)

定義

Definitionなどの表現で記載されます。
契約書で使われる言葉について定義します。契約書中に何度も使われる固有名詞を定義することが多いです。

例えば、売り手や買い手の会社名をそれぞれBUYERやSELLER、契約書で取り扱う製品やサービスをGOODSやSERVICEと定義します。
契約書が冗長になって、わかりにくくなることを防ぎます。

(例)
BUYER shall mean ABC Corporation.
(BUYERとはABC Corporationのことを指す)これ以降の条項でBUYERと出てきたらABC Corporationのことと読み替えます。

なお、BUYERとSELLERを総称してPartiesという場合があります。その場合も、混乱を防ぐために以下のように定義されることが多いです。

(例)
Parties shall mean both BUYER and SELLER.
(PartiesとはBUYERとSELLERの双方を指す)

いずれの場合も固有名詞を表していることから、契約書の中でSELLERあるいはSellerのように、すべてあるいは頭文字を大文字にすることで一般名詞とは異なることを強調します。

契約期間

Termなどの表現で記載されます。
この契約の有効期間を示します。

(例)
This Agreement shall be valid until 31-March-2022.
(この合意は2022年3月31日まで有効である)

The validity of this Agreement is effective until 2 years from the
date when both parties enter into the contract.
(この合意の期間は双方が契約状態に入ってから2年間とする)

This Agreement cannot be terminated during the period in
SCHEDULE.
(この契約はSCHEDULEの中に規定のある期間は終了することはできない)

註:SCHEDULEというのは契約の添付に示されることの多い契約上のサイクルのようなものです。例えば、支払タイミングを契約時、契約発効から2か月後、商品提供から1か月後、のように規定するものです。

責任範囲

Limitation of Liabilityなどの表現で記載されます。
契約当事者の責任範囲を示しています。

(例)
SELLER shall not be responsible to BUYER for any consequential,
indirect damages including but not limited to, lost profits, lost
revenues, lost business chance.
(SELLERはBUYERが被った逸失利益、売上、機会損失などの間接的な損害については責任をもたない)

契約終了

Terminationなどの表現で記載されます。
契約期間が決まっていても、何らかの理由で契約を終了したい場合があります。その際の手続について規定します。

(例)
Either party may terminate this Agreement after this period of this Agreement by giving the other party two (2) months’ written
notice in advance of its intention to do so.
(契約を終了したい場合は、書面で他方に2か月前までにその意思を通知するものとする)

契約金額

Contract Amountなどの表現で記載されます。
契約金額を契約書上に記載する場合は数字とその読みを併用して記載することがあります。

(例)
Contract Amount:
US$2,100,000-
US Dollar Two Million One Hundred Thousand only
末尾のonlyは日本語で言うと金〇〇円也 と言うときの”也”に相当するもので、習慣的につけているものです。必ずなくてはならないわけではありません。

支払方法

Paymentなどの表現で記載されます。
銀行送金(Telegraphic Transfer)や小切手(Check)などの支払いの方法を規定します。

(例)
BUYER shall make payment by telegraphic transfer upon receipt of GOODS…
(BUYERはGOODSを受領後銀行送金で支払うものとする)

権利の承継可否

Transferなどの表現で記載されます。
契約上の権利義務を第三者に移管することの可否について取り決めることがあります。契約相手が自身の義務(たとえば代金を支払う義務や商品を引き渡す義務)を移管されてしまっては当方が損失を被る可能性があるため、それを防ぐために規定します。

(例)
Either party shall not transfer its obligation under this Agreement to third party(parties) without written consent of the other party.
(契約上の義務は相手方の書面での合意がなければ移転できない)

情報管理

Information Securityなどの表現で記載されます。
この契約で知り得た情報は秘密情報として取り扱い、他方の同意なくして開示してはならないことを規定します。

(例)
Each Party shall not disclose and take all necessary measures in
order to avoid disclosure to third party or parties of any
information concerning the other Party. Such information includes but not limited to , pricing, patent, trademark, copyright of the
GOODS
(両者は他方の情報を第三者に開示してはならない。そしてそれが開示されることに対してあらゆる必要な措置をとるものとする。その情報には価格、特許、商標、版権に限らずあらゆる情報が含まれる。)

契約違反の際

Breach of Contractなどの表現で記載されます。
契約当事者の一方が契約違反をした場合の対処について規定します。
他方の契約違反が発覚したら契約を打ち切ることができる、生じた損害を請求できる、などの内容を規定します。

(例)
The Parties agree that the breach of any provision in this
Agreement may result in termination.
(契約上の条項不履行は契約終了につながる可能性があることを双方は合意する)

不可抗力

Force Majeureなどの表現で記載されます。
地震などの天変地異、テロ、戦争など、契約当事者の責任とは関係ない事象が生じた際に双方の義務を免除する項目です。

(例)
In the event of Acts of God, flood, typhoon, earthquake, tidal
wave, landslide, fire, plague, epidemic war, terrorism, earthquake ……, SELLER shall not be liable for loss or damage, or failure of or delay in performing its obligations under this Agreement.
(洪水、台風、地震..などの天変地異があった場合は、売り手はこの契約における義務の履行を免除される)

準拠法

Governing Lawなどの表現で記載されます。
契約書にすべてを盛り込むのはかなり難しいため、通常は準拠する法律を規定します。契約書に記載のない項目については、この準拠法の規定に基づいて対処をすることになります。

(例)
This Agreement shall be interpreted in accordance with the laws of Japan.
(本契約は日本法に基づいて解釈される)

仲裁機関

ArbitrationとかJurisdictionなどの表現で記載されます。
この契約に関して争いになった場合に、契約上申し立てることができる機関を規定します。
BUYER、SELLERのどちらかが属する国の裁判所にするケースや、第三国(米国や英国などの先進国??に設定することが多いようです)の裁判所にすることが一般的です。

(例)
The Parties agree to the jurisdiction of the United States District
Court located in the State of New York, the United States of
America for the settlement of all disputes arising under this
Agreement.

(双方は本契約書で生じる係争を解決するための管轄裁判所を米国のニューヨークにある連邦地方裁判所とすることに同意する)

 

3. 契約書における独特な表現

これまでに本稿で触れた以外にも、契約書の中には普段の英語では使わない見慣れない表現が出てきます。契約書の中によく出てくるそのような表現を以下に纏めておきます。(アルファベット順)

単語

意味、用法

construe

~と解釈する、という意味で、受動態で使うことが多いです。

The failure of BUYER to implement full performance of any
provision hereof shall be construed as a waiver of such
provision

(ここに既定のある全ての条項をBUYERが満たせない場合は、ここに規定のある項目は放棄したと解釈される)

dispute

疑義、意見の相違

hereby

「ここに」という意味です。

The Parties hereby agree that…
(両者はここに…を合意する)といったように使います。hereinと言うこともあります。

notwithstanding

~にも関わらず、という意味です。

Notwithstanding anything contained herein, this Agreement
cannot be terminated…
(ここに記載のある事項に関わらず、本契約は<…という条件下では>終了させることはできない。)

not limited to

具体例を例示するときに使います。例示だけではすべての場合をカバーできないため、ここに示している例に限定するわけではないが、と断りを入れるようなニュアンスです。

provided

Ifと同じ意味で、条件を表します。契約書のような書き言葉で使われることが多いようです。

provision

契約書の中にある「条項」のことです。

whereof

その、それについての

このほか、助動詞の使い分けについても留意したいです。

よく使われる助動詞にshall/will/canというものがありますが、契約書の中でshallと表現する場合は、契約上の義務となります。これに対して、willやcanは〇〇することができる、という意味であり、契約上の制約は受けません。

また、shall not と表現する場合は、契約上は行ってはいけない禁止事項となります。

4. おわりに

英文売買契約書でよく見かける表現を中心に紹介してきました。習うより慣れろ、多くの契約書に触れているうちに決まった表現があることに気づくと思います。

なお、本稿では一般的な売買契約に出てくる英語表現の解説に重点を置いており、その法的拘束力については触れていません。実際の契約にあたっては、契約の重要度に応じて弁護士などの専門家にご相談下さい。

本稿が少しでも英語でビジネスを行う皆さんのお役に立てば幸いです。

安田 雅哉

安田 雅哉

PROFILE

ライター、コンサルタント

1970年生まれ、鳥取市出身
京都大学大学院工学研究科機械工学専攻修了
2018年ファイナルシャルプランナー1級取得
2020年中小企業診断士登録

プラント建設会社、電機会社を経て現在は総合商社で東南アジアに駐在し経営管理を担当。得意分野はプロジェクトマネジメント、業務改革、ファシリテーション、貿易実務、売買契約。

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