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  • 2021.06.09

BtoGのメリット~地方自治体との上手な付き合い方

BtoGのメリット~地方自治体との上手な付き合い方

BtoGという新たなターゲット

企業が商品やサービスを販売する際、誰を対象にするかを検討する必要があります。この点について、これまで、「BtoB」と「BtoC」という考えが用いられてきました。「BtoB」(Business to Business)とは、企業を対象にするという考え方をいい、「BtoC」(Business to Customer)とは消費者を対象にする考え方をいいます。

しかし、最近企業でも消費者でもない新たなものが注目を集めています。それは、政府や地方自治体などの官公庁を対象とするもので、「BtoG」(Business to Government)と呼ばれています。今回は、このうち、主に地方自治体を対象とした「BtoG」について、説明したいと思います。

「BtoG」のメリット

地方自治体を取引の対象とすることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

第1のメリットとしては、取引の対価が確実に回収できるということです。「BtoB」や「BtoC」では、顧客に資力がないなどの事情によって取引の対価が回収できないという事態がしばしば発生します。顧客が破産したため、取引の対価が回収できず、自らも破産しなければならなくなったという事態もしばしば発生しています。
これに対し、地方自治体の場合は、取引の対価を支払わないということは通常ありえませんので、安心して取引をすることができます。

第2のメリットとしては、取引のプロセスの透明性・公平性が確保されているということです。「なぜ自社の商品やサービスが採用されなかったのか納得がいかない」、「なぜ自社には注文の声がかからなかったのか納得がいかない」と思ったことのある企業の経営者は多いのではないでしょうか。

この点について、地方自治体の場合は、原則として競争入札により業者が選定されます(地方自治法第234条第1項及び第2項)。また、例外的に競争入札によって業者が選定しないとき(随意契約といいます。)は、競争入札をしない理由を明確にしなければなりません。随意契約が許されるのは、一定の事情がある場合に限られるとされているからです(地方自治法施行令第167条の2)。このほか、プロポーザル方式(複数の者に企画を提案してもらい、その中から優れた提案を行った者を選定する方式をいいます。)により業者を選定する場合など、審査の過程も公文書として残しています。

これらの公文書は、各地方自治体において定める情報公開条例において、原則として公開されることとなりますので、地方自治体は、どのような理由で業者を選定したかを正確に説明しなければならないのです。この点で、取引の透明性が確保されているといえます。
さらに、地方自治体は、企業を募集する場合は通常公募をすることとなります(地方自治法第234条第6項参照)。このため、特定の企業だけに取引の機会が与えられるわけではないといえ、取引の公平性が確保されているともいえるのです。

第3のメリットとして、自社の社会的信用とブランドにつながることです。地方自治体と取引があるということ自体、その企業が一定の社会的評価を得ていることの証左となります。
特にその地域で事業を展開する際には、地方自治体と取引をしていることが地域への貢献にもなるため、大きなアピールポイントとなります。(なお、取引の内容によっては、その地方自治体内に所在する企業に限り入札できるとなっていることもあります。)

公共工事だけが「BtoG」ではない

地方自治体との取引といえば、公共工事や物品の販売をまず思い浮かべる方も多いかもしれません。かつては、これらが地方自治体との取引の典型でしたし、今でも重要な取引であることは変わりありませんが、行政サービスが多様化していること、「官から民へ」の流れが進んでいることから、現在では業務委託が注目されています。

業務委託の内容としては、ホームページやシステムの制作といった民間企業でもしばしば行われるものはもちろんのこと、受付窓口のアウトソーシングやふるさと納税の管理業務、コミュニティバスの運行業務など、地方自治体ならではのものもあります。

また、地方自治体固有のものとして、指定管理者制度(地方自治法第244条の2第3項)があります。指定管理者制度とは、公民館、図書館、市民ホールなどの公の施設を管理ノウハウのある民間企業等が地方自治体に代わって管理をするという制度です。

これらの施設は、立地などの条件が良く、集客の潜在的可能性がある場合も少なくありませんが、地方自治体自らが運営したのではその可能性を生かすことが困難な場合もあります。そこで、指定管理者制度の活用により民間の企業が運営することで集客の増加やコストの削減が見込め、施設の活性化が図れることとなります。
そして、利用者からの利用料金を徴収する施設の場合は、利用料金を指定管理者の収入とすることも可能なので(同条第8項)、指定管理者に指定される企業にとっても、施設の活性化は大きなインセンティブとなるのです。

BtoGのメリット~地方自治体との上手な付き合い方

「BtoG」の注意点

地方自治体との取引を行う場合は、注意すべき点もあります。

第1に、一般に、取引の対価が「BtoB」の場合と比べて低いことです。取引の対価を回収できないリスクは基本的にはないものの、そもそも回収できる取引の対価の金額が低いため、効率的に収益を得ることができないおそれが生じます。当該取引によりどれくらいの収益を得ることができるのかを慎重に検討し、特段の理由もないのに採算が合わない取引を受注することがないようにしなければなりません。

第2に、取引に関する契約の内容について、企業に不利な内容になっていることがあるということです。地方自治体が企業と契約をする場合は、基本的に契約書案を当該地方自治体が作成します。ところがその契約書の案の内容をよく見ると、極端に企業に不利な内容になっている場合があります。

しかも、「BtoB」の場合と異なり、当事者間で協議をして契約内容を修正していくということができないことも少なくありません(既に地方自治体と取引をしている企業の経営者のなかには、地方自治体の担当者から、錦の御旗のように「税金を使っているから。」、「業者間の公平性を害することになるから。」ということを理由に硬直的な対応をされたことがある方もいるかもしれません。)。
受注しようとする取引の契約内容がどのようなものなのかを十分に検討し、甘受できないリスクがある場合は受注をしないようにすることも、場合によっては必要となってきます。

第3に、入札をするための資格等において、当該業務に関する実績を求められることが多いということです。そもそも当該業務に関する実績を有していなければ入札参加資格がない場合もありますし、実績があっても他の地方自治体との取引実績をもとめられる場合もあります。このため、いわゆるスタートアップの企業において、地方自治体と取引をすることができないこともあり得ます。

地方自治体とうまく付き合うことが「BtoG」のポイント

これまで、地方自治体はビジネスの相手方として、必ずしも認識されてこなかったのではないかと思います。

しかし、注意すべきポイントを押さえたうえで、うまく付き合うことができれば、地方自治体を相手とする事業展開も大いにありうるのではないでしょうか。
本稿が参考になれば幸いです。

武田 宗久

武田 宗久

PROFILE

ライター,コンサルタント
1978年生まれ,大阪府出身。京都大学大学院法学研究科修了
2011年弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2020年中小企業診断士登録

債権回収や離婚等の一般民事事件を担当する一方,大阪の中小企業や自治体を元気にするため,法務・労務を中心とした支援に取り組む。著書に『改正民法対応!自治体職員のためのすぐに使える契約書式解説集』(令和2年,第一法規,共著)など。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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