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  • 2020.03.04

インバウンド需要を把握するには...?『観光白書』を活用しよう!

インバウンド需要を把握するには...?『観光白書』を活用しよう!

激動のインバウンド市場。
中長期的なトレンドを理解するには?

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、昨年2019年の訪日外国人旅行客数は前年比2.2%増の3,188万人となり、過去最高を更新しました。
観光庁の発表によれば、2019年の訪日外国人の旅行消費額は、前年比6.5%増の4兆8,113億円を達成。7年連続で過去最高を更新しました。

インバウンド需要を把握するには...?『観光白書』を活用しよう!

国土交通省 観光庁「【訪日外国人消費動向調査】2019年暦年 全国調査結果(速報)の概要」より

いっぽう、2020年に流行している新型コロナウィルスの影響により、中国を中心とした海外からの訪日外国人観光客(インバウンド)が急激に減少しています。
2020年1月27日には、中国政府が海外への団体旅行を禁止しました。これをきっかけに、世界の航空会社は中国との航空便を一時停止するなどし、需要の減少に対応しています。
国内外への旅行の足として年々人気が高まりつつあったクルーズ船についても、寄港地や乗下船の制限、日本への寄港キャンセルが発生しており、今後の需要の低迷が懸念されています。

インバウンド需要を把握するには...?『観光白書』を活用しよう!

オリンピックイヤーである2020年にインバウンド需要獲得を目指している方や、既にインバウンド向けの事業を営んでいる方の中には、今後のビジネスのあり方について悩まれている方もいるかもしれません。
また「これから日本にやってくるインバウンドの旅行客に向けた商品を販売したい」と考えていたけれども、現在の市場環境をみて、事業の方向性について悩んでいるという方もいらっしゃるかと思います。

外的な要因によって、観光・インバウンドに関わる市場が、大きな変化の時を迎えることは、珍しいことではありません。
感染症関連では、2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した際にも、国際旅客数が一時的に急減しました。
政治や国際関係も、市場に大きく影響する要素の一つです。直近では2019年以降、日本と韓国の関係が悪化したことにより、訪日韓国人旅行客が大きく減少しています。日本政府観光局(JNTO)のデータによれば、2018年には過去最高の754万人を記録した訪日韓国人客数が、2019年は558万人(昨年比マイナス25.9ポイント)に留まる結果となっています。

このように、観光市場・インバウンドビジネスは、政治や感染症といった外的環境の影響を受けやすいものです。だからこそ中長期的な市場のトレンドを理解しておくことが重要です。観光やインバウンドに関する基礎的なデータを把握するうえで、非常に役立つものが、日本の国土交通省が発行している「観光白書」です。

役立つデータが詰まった「観光白書」

観光白書は毎年、「観光立国推進基本法」の規定に基づき、国土交通省が発行している資料で、観光全般に関するデータや、過去に講じられた政策、今年度に講じられる政策がまとめられているものです。近年の観光の動向や、観光がもたらす経済効果といったデータが多数のグラフと共に掲載されるとともに、幅広い観点から分析されています。

観光白書は、全国の書店や全国官報販売協同組合、AmazonなどのECサイト経由で書籍版を購入することもできますが、PDF版は国土交通省のWEBサイトから閲覧することができます。ぜひご覧になってみてください。
毎年、6月頃に最新年度版が掲載されており、2020年2月現在のものは、2019年6月に更新された令和元年版の観光白書です。

令和元年版は、全体で4部構成となっています。
第一部は、平成30年の観光の動向について記されており、世界の観光動向や訪日外国人旅行者数、日本人の海外旅行及び国内旅行の動向などがまとめられています。

第二部は「裾野が広がる観光の経済効果」と題して、観光の経済効果に関してテーマ別に分析を行っているものです。「モノ消費」から「コト消費」へのシフトと共に、外国人旅行客の地方での旅行消費が増加していること、宿泊業の雇用賃金生産性が伸びていることが示されています。また、外国人旅行者の増加が国内の観光地に与える影響の分析や、俗に「観光公害」と呼ばれる、観光客による混雑等の課題に対する各地域の取り組みの紹介などを行っています。

第三部と第四部は対になる構成となっており、第三部は過年度に政府が講じた施策、第四部は令和元年度に実施する予定の施策についてまとめられています。

白書のうち、第一部・第二部には「コラム」が掲載されており、近年の観光施策が写真やグラフを交えて紹介されています。これらの一部を例に挙げてみますと、

・IR(統合型リゾート)の実現を目指す「IR整備法」
・民泊サービスの普及
・滞在型農山漁村(農泊)の推進
・観光地域づくり法人(日本版DMO)
・訪日外国人旅行者による「コト消費」
・ナイトライフやビーチ利用の拡充などの「体験型観光」
・クルーズ寄港地における着地型観光

など、いずれもこれからの日本における観光・インバウンド市場では欠かせないキーワードがずらりと並んでいます。「コラム」に挙げられているタイトルのうち、「実はよく知らないな」と感じられるものがあれば、ぜひ目を通してみてください。

インバウンド需要を把握するには...?『観光白書』を活用しよう!

世界の観光市場、日本の観光市場の潮流を知ろう

ここで、観光白書で知ることができる、過去数年のデータや事例の一部をご紹介します。

まず第一部では、世界の観光市場の概況を押さえておきましょう。
UNWTO(国連世界観光機関)の2019年1月の発表では、2018年の世界全体の国際観光客数は前年より約7,400万人増(対前年比+5.6%)となり14億人に達しました。2009年には、リーマンショックに端を発する世界的な経済危機の影響により国際観光客数が減少したものの、それ以降は9年連続で増加しています。観光市場は、長期的に見れば成長市場であることがわかります。

インバウンド需要を把握するには...?『観光白書』を活用しよう!

【図表2】2018年 地域別国際観光客数(観光白書 令和元年版より)

日本を含むアジア太平洋地域も例外ではなく、アジア太平洋地域を訪れた国際観光客の数は、2018年では、前年から約1,960万人増加(対前年比+6.1%)し、約3億4,260万人となりました。これは、世界全体でも欧州に次ぐ受入数の多さです。
日本に目を向けてみますと、2018年の訪日外国人旅行者数は、過去最高となる3,119万人(対前年比+8.7%)となり、史上最高の3,000万人に達したことがニュースでも報じられました。成長著しいアジア諸国の海外旅行意欲が高まる中、訪日ビザの発給要件の緩和や、訪日旅行のプロモーション、外国人旅行者向けの免税制度の拡充といった施策を行った結果、世界・アジアにおける国際観光客の伸び率を上回る成長を遂げていることが分かります。

2018年の日本国内では天災が相次ぎました。「平成30年7月豪雨」や9月の台風第21号上陸、「平成30年北海道胆振東部地震」など、大規模な災害が日本各地の観光地に影響を及ぼしたことは、まだ記憶に新しいことでしょう。
また、台風や地震だけでなく猛暑も、日本国内の旅行需要の減少に影響し、日本人の国内旅行は、日帰り・宿泊旅行ともに減少しました。
天災による日本人の国内旅行消費額が減少した結果、相対的にインバウンドによる旅行消費額の比率が高まり、日本国内における旅行消費額(26.1兆円)のうち15%以上がインバウンドによる消費額となっています。

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【図表3】訪日外国人旅行者数及び旅行消費額の推移(観光白書 令和元年版より)

この2018年の訪日外国人旅行消費額、4兆5,189億円の規模感がどれほどのものなのか、数字を見ただけではイメージがつかないかもしれません。そこで、日本が他産業の貿易で得ている輸出高と比較してみたものが図表4です。
2018年の日本において、最大の輸出品目は「自動車」です。自動車の輸出額は12兆3,072億円。次いで2番目の輸出品目である「半導体等電子部品」の輸出額は4兆1,502億円となっています。
そう、実は観光業で日本が毎年獲得している金額は、「半導体等電子部品」の輸出額を追い抜いているのです。
外貨獲得の手段の一つとしてみてみますと、観光産業は既に日本の主要輸出産業に相当する規模にまで成長している、といえるでしょう。

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【図表4】訪日外国人旅行消費額と製品別輸出額との比較(2018年)

これからの日本の基幹産業の一つとして、国外需要を獲得し、成長が期待される観光産業。その潮流を把握するための基礎資料として、「観光白書」はぴったりです。
2020年の東京オリンピック開催に際してインバウンド需要獲得を目指す方は、ぜひ一度WEBサイトをご覧になってみてはいかがでしょうか。

参考資料:国土交通省 観光庁「【訪日外国人消費動向調査】
     2019年暦年 全国調査結果(速報)の概要」(2020年1月17日)

     国土交通省 観光白書令和元年版

狩野 詔子

狩野 詔子

株式会社プロデューサー・ハウス

PROFILE

ライター、コンサルタント
大阪府中小企業診断協会 観光・サービス経営研究会 代表

サービス業・観光業における生産性向上を専門とするコンサルタント。
ヤマハ株式会社、デロイトトーマツコンサルティング合同会社にて、製造業の国内外拠点における業務改善プロジェクトに多数参画。
現在はテーマパーク運営企業にて飲食部門・バックオフィス等の業務効率化を手掛ける。

共著「一人ひとりの『働き方改革』講座」(日本マンパワー株式会社)
執筆記事「サービス業で使える!生産性を上げる『カイゼン』テクニック5選」、「サービス業のマーケティング入門!自社の『7P』を把握しよう」(中小企業庁ポータルサイト「ミラサポ」)ほか多数。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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