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世界で見つけた日本製品【ノルウェー編】

スマートな「エシカル消費」が進む
ノルウェーのマーケット事情

スマートな「エシカル消費」が進むノルウェーのマーケット事情

ノルウェーってどんな国?ノルウェーの基礎知識

世界有数の福祉国家、男女平等社会、電気自動車シェア率世界ナンバーワンなどのトピックで知られるノルウェーは、日本とほぼ同じ面積の国土に対し、わずか人口530万人。豊かな水産資源はもちろん、1960年代に発掘された北海油田のおかげで石油や天然ガスに恵まれてきました。

しかしこちらは主に輸出用であり、自国の電力はほぼ水力発電によって賄われるというエコ先進国。近年では石油産業の衰退からIT産業やエコビジネスへのシフトを積極的に推し進めており、欧州の新しいテック系スタートアップの拠点としての存在感を強めています。また、あらゆる手続きがオンラインで完結するペーパーレス社会、財布いらずのキャッシュレス社会をいち早く実現した国でもあります。

まさに開発ラッシュ!首都オスロは急成長の真っ只中

そんなノルウェーの首都オスロは、市民の3割を外国人労働者や移民が占め、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちで構成されるマルチカルチャー都市として急成長中。移民の増加と都市開発が進むにつれて、これまで乏しかったエンタメや外食産業が賑わいはじめ、新しいコンセプトを持つ飲食店、商業施設が次々オープンしています。そのスピード感はほんの5年前と比較しても比にならないほど。2013年にスタートしたワーホリ制度、結婚、現地就職、駐在をきっかけに移住する日本人もじわじわと増え続けており、ここ数年で日本製品や日本・アジア系飲食店の需要も格段に増している印象です。

そもそもの人口の少なさやEU加盟国でないこと(EEAEFTAには加盟)、高い人件費や税などを要因に、マーケットの規模が小さいものの、各分野においてまだまだ競合が少ないことからあらゆるアイテムやビジネス参入の「隙間」が充分にあるといえるのではないでしょうか。

スマートな「エシカル消費」が進むノルウェーのマーケット事情

和食を中心に拡大中。ノルウェーで目にする日本製品

「日本ブランド」は、おもに自動車、建設機械、家電、映像・デジタルマルチメディア機器、ゲーム、文房具、一般のスーパーにもすっかり顔なじみとして並ぶ一部の食材品(醤油など)で知られています。意外なところではコーヒー器具でしょうか。過去10年続いている「スペシャリティコーヒー」カフェシーンを密かに支えているメイド・イン・ジャパン製品が、コーヒー好きの多いことで知られるノルウェーでも支持されています。

以下、日本人在住者だからこそわかる、ノルウェーのマーケット事情をカテゴリごとにご紹介します。

外食産業編

もともと日常的な外食が一般的でなく、馴染みない食材や料理にもやや懐疑的な人びとが多い北欧ですが、都市部では異なります。日本食としてすっかり定着しているものといえばやはり「SUSHI」。ノルウェーらしい、サーモンの巻き寿司が定番である従来のテイクアウト寿司に加え、シェフのおまかせコースで日本酒やクラフトビールとのペアリングを楽しむカウンター式の高級寿司店(通称 “OMAKASE”)が食通の現地人のあいだで話題です。ベトナム系移民の影響で以前からフォーや春巻きなどのベトナム料理は知られていますが、日本式のラーメンや餃子、唐揚げ、お好み焼きなどが上陸したのはつい最近のこと。オスロではここ12年のあいだに立て続けに数軒オープンし、いずれも大盛況。それと同時に盛り上がりを見せているのが小皿をシェアして大人数で楽しむ「IZAKAYA」スタイルのアジアン創作料理(フュージョン)系飲食店です。「ひとつの料理をつつきあう」ことが近年まで馴染みなかったノルウェー人にとって、まだ「浸透」までには至らないものの、今後、ごく普通のことと変化していきそうな予感がします。

日本人オーナーを持つ店もいくつかあるなか、日系チェーン店の上陸はまだありません。日本ではおなじみの調理器具の数々もこちらでは貴重な存在。店内の装飾品を含め、日本にわざわざ来日して個人で買い付けに行く経営者も少なくないとか。

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食料品編

年々拡大を見せているアジアスーパーですが、そのメインはベトナム、タイ、中華系食材。日本食材は比較的高価なものという位置付けでしょう。オスロのアジアスーパーで入手可能な日本食材は、日本米、豆腐、納豆、乾燥わかめ、そば、冷凍うどん、ポン酢、わさび、ふりかけ、ブロックのカレールー、インスタントラーメン、味噌、菓子類など。この数年で一気にバラエティが増えました。外食産業における日本・アジア料理のトレンド、外国語で紹介される日本料理のレシピ動画へのアクセスが容易くなったことなどから「ラーメンや餃子などを自作してみたい」と考える現地人も少なくありません。抹茶パウダー、寒天、梅干しなどは意外なことにローカルのオーガニックストアでも取り扱いがあります。動物性食品が含まれない一部の日本食は、欧州で増え続けているベジタリアンに大きな需要があるようです。もはやどこのスーパーでも手に入り、ノルウェー人家庭においても馴染みあるアイテムになったのは醤油やゴマ油。昨今、日本メーカーによる冷凍枝豆、海藻類、大根やしいたけ、オクラ(中東やアフリカ系移民のあいだで食べられるため)といった食材も見かけるようになりました。

前述したように、もともとコーヒーカルチャーの強いノルウェーですが、クラフトビール、ナチュールワイン(自然派ワイン)のトレンドに続き、これまで甘いフレーバー付きが主流だった「お茶」を無糖で飲み比べ、茶葉そのものの香りを楽しむ人たちもミレニアル世代を中心に増えています。

一般的に食のトレンドがNYやロンドン、パリといった大都市から入ってくるのはワンテンポ遅め。例えば、日本でも大疾風を巻き起こした「タピオカドリンク」もまだ「流行」には至っていません。

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ホビー・カルチャー編

オスロにはフィギアやコミック、ゲームやアニメのキャラクターグッズ、日本語学習の商材を扱う専門店があります。それのみならず日本のペットボトル飲料やスナック菓子、インスタント食品コーナーも設けられ、ターゲットは限られるものの、日本ファンの現地人と在留日本人の両方にとってうれしい存在となっています。

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デザイン・ライフスタイル編

北欧といえば、シンプルかつ温かみのあるデザインで世界的人気を獲得していますが、北欧のミニマリズムと日本の「侘び寂び」精神を融合させたインテリアデザイン「Japandi」を意識した店舗や施設が増えています。それに伴ってか、ヒノキや桜、柚子、白壇といった日本人には馴染み深い香りのフレグランスアイテムやバスグッズ、日本のアートクラフトも一部のコンセプトストア(高級セレクトショップ)で流通するようになりました。

一方、コスメや日常生活における便利グッズ、ちょっとしたお菓子などを取り揃える「ドラッグストア」形態のチェーン店がいよいよ本格的に参入し、価格競争が起きはじめています。輸入もののプチプラコスメ、フェイスマスクなどは、1020代を中心に注目を集めているようです。

夏は涼しく短いのが通常であったノルウェーもここ数年は歴史的な猛暑になっています。長い冬を快適に過ごすためのアイテムは充実を見せていますが、夏の暑さと乾燥をしのぐアイテムやビジネスモデルは、ニーズがありながらも発展途上のように感じます。

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新しいもの好きだが、環境に配慮した消費傾向

ノルウェーを含める北欧人消費者の動向として、彼らはスピード感ある大量消費よりも、クオリティとサステナビリティ(持続可能性)を重要視する傾向にあります。また労働環境や生産・販売ルートにおけるトランスパレンシー(透明性)にも非常に敏感ですので、現地人をターゲットに考えるのであれば、時間と労力がかかったとしても、これらのポイントをクリアすることは最優先事項だといえます。決して表面的ではない「アイテムやサービスを購入することによって、消費者がサステナブルな社会の実現に貢献できることのアピール」が北欧圏における消費者獲得の上で必須といえるでしょう。

テクノロジーにおいては、シニア世代を含め「新しいもの好き」が多く、最新技術やシステムの移行、アプリやSNSを使った真新しいサービス、デジタルプロモーションにも抵抗のない国民性です。それに対し、生活アイテムに関しては「まずは中古品から探す」、「壊れても直して長く使う、リサイクルに出す」、「過剰な包装や装飾は不要」などの価値観が根付いており、海洋プラスチックをはじめとするゴミ問題や気候変動の話題が尽きないなか、その風潮はさらに強まっています。

以上、スマートな「エシカル消費」が進むノルウェーのマーケット事情をご紹介しました。食に関してはやや保守的でありながらも多様性が広がりつつある、テクノロジーの活用やソーシャルグッドな取り組みに関しては先進的だということ念頭に、ノルウェーへの進出を検討してみてはいかがでしょうか。

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