「知」の資産を増やそう。読書量を数倍にする本の読み方
ビル・ゲイツ氏や柳井正氏、孫正義氏など、名だたる経営者はこぞって読書家です。ある調べによると、財を成した大富豪の読書量は、年収300万円の人の38倍だという話もあるほどです。
ビジネスマンや経営者の中には、読書習慣はあるものの時間をとれず多くの本を読めないという声がよく聞かれます。限られた時間の中でいかに本から知力を得ていくのか、読書の達人がすすめる読書量を増やす方法を紹介していきます。
驚異的な読書量を誇る達人がやっている読み方とは?
多数の番組に出演し、現代人が知るべきあらゆる出来事について、易しいことばで解説し続けるジャーナリストの池上 彰氏。独自の視点からの鋭い分析で知られる、元外務省主任分析官で作家の佐藤 優氏。いずれも日本を代表する「知識マスター」です。
この2人の共著、「僕らが毎日やっている最強の読み方」では新聞・雑誌・ネット・書籍といったあらゆる情報から世の中を読み解く極意が伝えられており、14万部を突破するベストセラーとなっています。
月90本以上の締め切りを抱えながら、毎月300~500冊という超人的な読書量を誇る佐藤氏によると、第一のポイントは「熟読用」と「速読用」に仕分けることだといいます。
まず読書の仕分けに先立ち、ページ全体を俯瞰しながらキーワードを押さえる、「超速読」を行います。これにより、本のおおよその内容の把握と読むに値するかどうかが決定づけられます。すでに基礎知識のある分野ならば、キーワードに着眼しながら読む「普通の速読」で、1冊30分が目安といいます。
基本的な知識を学ぶときや、長期の仕事に直結する本については、書き込みやアンダーライン、「?」マークを記すなどして、徹底した理解につなげます。池上氏も同様に、ページの角を折ったり、メモを取ったりしながら理解に努めていると語ります。
第二のポイントは、「熟読用」の本は3回読みを行い、インプットを強化していることです。初回は線を引きながらの通読、2回目は重要箇所の抜き書き、3回目の通読で理解を完成させます。
基礎知識がない分野の場合は、ざっとポイントを読み進める速読では意味を理解することはできません。まずは基礎知識を「熟読」で身につけることが、大きなポイントになるようです。
理解を深めるコツは「読書をする前の準備」
「本の内容を知っているほど、速く読めるようになる」と語るのは、「速習法」メソッドを提唱する園善博氏です。単に速く読むだけでなく、内容を覚えられるようにするためには、読書前の準備が必要であると述べています。
本を読む前に、「何のためにこの本を読むのか」「何が得られるのか」という目的を設定し、さらに知識を得ることによるベネフィット=良いことがあるイメージを想定します。
読み始める前には、全体をパラパラとめくって本の全体像をつかみます。このとき、本の帯や書評などからヒントを得て、キーワードを決めておくとより効果的です。人の脳は一度見たものを覚えやすく、受け入れやすいという性質があります。こうした傾向を知っておくと、読書に取りかかるのが容易になり、内容を深く理解するのに役立ちます。
「2つの準備」後の読書は、何もなしに本を読むのと比較して、各段の効果がみられるといいます。この方法に慣れるにしたがって、速く、しかもしっかりと理解できる読書法が身についていきます。
知識とは自分ではない誰かが考えたり、経験したりしたことを、自身の内側に取り込むことで蓄積されます。時代が変わっても知識を効率的に得るためには、読書が最良の方法であるのは間違いありません。読書で得られる知識は人生の資産となります。しかし、単に読んだ本の数が増えれば良いというものではありません。本の中に込められた意味を理解し、知力を身につけられる読書法が大切です。
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