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  • 2020.02.21

会社を発展させる次世代経営者がやっていること

会社を発展させる次世代経営者がやっていること

経営者の高齢化が進む中、休廃業・解散件数は増加傾向にあり、中小企業の事業者数は減少傾向にあります。中小企業が廃業してしまうと、日本経済の活力となる事業・技術やノウハウといった経営資源がなくなることにつながります。事業の承継は簡単なことではありませんが、今、次世代経営者が会社をより発展させる努力も着々と進められています。本稿では、会社を発展させる次世代経営者が行っている取り組みについてご紹介します。

1.事業承継の現状と課題

(1)経営の担い手は高齢化の傾向

会社を発展させる次世代経営者がやっていること

(出所:中小企業庁編「2019年版中小企業白書」)

上図は経営の担い手の推移について調査をしたものです。59歳以下の経営の担い手は、1992年には802万人いたものの、2017年には438万人まで減少しています。一方、60歳以上の経営の担い手は、同じ期間で359万人から447万人まで増加しています。2017年の時点では、経営の担い手の数は60歳以上が59歳以下を上回っているのです。この結果から、経営の担い手の高齢化が進んでいることがわかります。

会社を発展させる次世代経営者がやっていること

(出所:中小企業庁編「2019年版中小企業白書」)

上図は年代別にみた中小企業の経営者年齢の分布を調査したものです。グラフの山は6569歳の枠に移動しており、ここからも経営者が高齢化していることがわかります。

(2)企業を伸ばす次世代の経営者

会社を発展させる次世代経営者がやっていること

(出所:中小企業庁編「2016年版中小企業白書」)

上図は、経営者の交代があった企業と、交代がなかった企業の経常利益率の推移を比較したものです。経営者の交代があった企業は、総じて形状利益率が大きくなっていることがわかります。

会社を発展させる次世代経営者がやっていること

(出所:中小企業庁編「2019年版中小企業白書」)

上図は、事業を引き継いだ後継者の年齢別に、事業承継が売上高に与える効果を調査したものです。事業を引き継いだ経営者が30代から40代の場合、事業承継をした1年後から5年後まで、売上高成長率を押し上げているという結果がでています。
これらの結果から、若手の次世代経営者に引き継ぎをした企業は、企業を発展させている傾向がわかります。

事業承継をしたあとも、次世代経営者の経営努力なしでは、事業を継続することはできません。次世代経営者は先代の経営方針を受け継ぎつつも、改革に乗り出し企業の発展を試みています。私が公的支援機関でご支援をする中で出会った、次世代経営者の改革事例を次項からご紹介します。

2.次世代経営者の挑戦事例

(1)人事評価制度の刷新〜経営者の独断から透明性重視の評価へ

A社は、プロ美容師・理容師向けのハサミを開発・製造しています。事業を引き継いだ40代の社長は元美容師。この会社では、経営者は自社製品を使うユーザーである「美容師・理容師」の経験を積んだのち入社していることが特徴で、ユーザーに寄り添った製品を多く開発しています。

社長が改革した点は人事評価制度です。事業承継以前、人事評価は先代の経営者がほぼ1人で決めていたといいます。それにより、評価に疑問や不満を抱く社員も存在しました。

社長がこの問題に気がついたのは、社員へとったアンケート結果からでした。人事評価に対する不満を訴える従業員が多かったのです。また、社長も1人で多くの従業員の評価を決めることに対する業務量の限界も感じていました。そこで、社長は公的支援機関のサービスを利用し、人事制度に詳しい専門家の派遣を受け、人事評価制度の構築に乗り出しました。

①ステージ制度の創設

まず、製造に主に従事する職人たちには、技能レベルごとにステージ制度を新たに創設しました。どのスキルを保有すればどのステージにあたるかを明確にし、ステージと給与との対応性をもたせました。

会社を発展させる次世代経営者がやっていること

②評価面談の実施

A社では、それまで社長と従業員が面談をする機会がありませんでした。社長は年2回社員と面談をする機会を設け、なぜこの評価になったのかを話すとともに業務の悩み等を聞き、深く従業員とコミュニケーションをする機会を設けました。

専門家の助言を受けながら改革のPDCAを回していくことにより、制度構築から運用まで円滑に進んだと社長は話しています。急な変革には力が必要であるため、社長は人事制度の仕組みを少しずつ整備し、運用の中で変更も加えながら、会社にふさわしい仕組みに整えています。
評価の仕組みが明確になったことにより、従業員のモチベーションアップにもつながっているそうです。

(2)ITで町工場の「つながり」を実現

①町工場で共通のITシステムを構築

次に、ステンレス板金加工事業等に従事するB社の事例をご紹介します。B社の社長は、大手企業の管理部門で勤務経験を積んだ後、B社に入社しました。

現在、B社は業務上関係の深い町工場と連携し、ITで製造工程の「見える化」に取り組んでいます。
例えば取引先から、ある部品について「今どこの工程にあるのか」と問い合わせがあった場合、自社の工程を離れて別の町工場にいってしまっていると、確認に時間がかかりました。

そこを社長は町工場と連携し、共通のシステムを構築しました。B社の手を離れC社の工程にいった場合も、システムを見れば「どこの工程にあって」「いつ納品されるか」等、作業工程がタイムリーにわかるようになりました。
このシステムは、システム構築に精通した若手社員の手により、日々改善が図られているそうです。

②町工場共同の人材育成

長年勤務した職人の技を若手につなげることも中小企業の使命です。しかし、この技術を教えたいが、教えることができる職人が社内にいない、逆に職人はいるが伝える若手がいないという事態もあります。少人数で業務に携わる中小企業では、人材育成になかなか時間が割けないことも実情です。

そこで社長は、共通のITシステムを構築した町工場間をインターネットでつなぎ、無料で使える通話アプリ等を駆使しながら、遠隔で共同の研修を実施しています。
このように、町工場の強みを生かしつつ、複数の中小企業が連携することにより、強みをより深化させる努力を続けています。

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(3)社内体制整備に注力する次世代経営者

これら2社の経営者に共通している点は、「社内体制整備」や、より生産性向上につながる「しくみづくり」に注力しているということです。次世代経営者は社内の仕組みを整え、極端にいれば「経営者が不在でも」事業が進むような仕組みを整えることを目指しています。

また、社内体制整備にあたっては機動的に公的支援の支援や補助金を活用するなど、外部の力もうまく取り入れています。

3.経営者の減少を支える次世代経営者

経営者は責任が重大であり、1人で会社を回すことはできません。今回ご紹介した2社の次世代経営者は、外部の力もうまく取り入れながら社内の仕組みを整え、社員のモチベーションアップや生産性向上につなげています。

事業承継では、経営者の高齢化やどのように資源を引き継ぐかに論点が集まりがちな傾向もあるように感じます。しかし、引き継いだあとに企業を動かすのは次世代経営者たちです。次世代経営者の好事例をより広く発信するとともに、次世代経営者が孤独にならないよう、経営者間の交流促進や各種支援がより支援者には求められていると考えます。

令和の時代を切り開く次世代経営者の取り組みは、着々と進んでいます。

米澤 智子

米澤 智子

株式会社プロデューサー・ハウス

PROFILE

ライター、コンサルタント

1985年生まれ、神奈川県出身。

2009年地方銀行入行、債権管理および中小企業融資業務に従事した後、総務部門で銀行全体の通信設備管理や株主総会運営に携わる。

2016年中小企業診断士登録。

2017年より公的機関に勤務、専門家派遣事業において小売・サービス業を中心とした支援に携わる。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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