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  • 2023.03.06

キャッシュフロー経営で経営を安定させる

キャッシュフロー経営で経営を安定させる

キャッシュフロー経営とは

ゼロゼロ融資(新型コロナウイルス禍で売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で融資するしくみ)の返済が始まり、資金繰りが厳しくなっている方もいらっしゃると思います。このような場合には、キャッシュフロー経営への転換をすると、資金繰りの改善に有効です。

キャッシュフロー経営とは、一般的に行われている損益計算書(P/L)を重視した経営ではなく、現預金(以下キャッシュ)の収入と支出を重視した経営のことです。キャッシュの管理を重視することで、資金ショート(キャッシュが不足して支払いができなくなること)に陥りにくくなります。

利益とキャッシュは全く別物

「利益が出ているからキャッシュ面も問題ない」と考えられている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、利益とキャッシュは全く別物です。倒産した企業の約半数が黒字倒産となっています。
黒字倒産が発生するのは、売上・費用が発生するタイミングとキャッシュの出入りのタイミングが異なり、支払いができなくなるためです。大きなタイミングのズレとしては、以下の3つがあります。

①固定資産を取得した場合

例えば100万円の支出で機械を取得した場合には、キャッシュは100万円減少します。しかし、機械のような固定資産の場合には、払ったときに全額費用とはなりません。会計上は減価償却という手続きにより、数期間(耐用年数)の費用として分割計上されます。先ほどの例で耐用年数を5年とし、定額法で償却をする場合には、5年間にわたり毎年、20万円の減価償却費が計上されます。この場合においては、固定資産取得期の資金繰りに注意が必要です。費用は20万円ですが、キャッシュは100万円減少しますので、資金繰りが厳しくなります。

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②在庫がある場合

例えば在庫50万円(仕入単価5万円×10個)を購入しても、その支出がそのまま費用とはなりません。費用になるのは売れた分の在庫金額のみです。5個売れた場合には半分の25万円が費用となります。売上単価を6万円とすると、5個売れた場合の収入は30万円となりますが、キャッシュの支出は50万円となるため、結果的には20万円のマイナスとなります。

過剰な在庫や長期滞留在庫は支出したキャッシュが回収できていないことになり、資金繰りを悪化させ、資金ショートの原因となります。在庫は圧縮する必要があります。在庫の圧縮によりキャッシュフローは改善します。

③売掛金・買掛金がある場合

多くの企業で掛け売りや掛け仕入れを行っています。この場合には売上・費用の計上時期とキャッシュの入金、出金の時期にズレが発生します。そのため注意しないと、資金ショートの危険があります。
キャッシュフローの改善には「回収は前払い、支払いは後払い」が理想です。早期の入金が可能な場合には、早めの設定を心がけましょう。ただし、取引先との信頼関係も重要であるため、柔軟な対応が必要となります。

キャッシュフロー経営の進め方

キャッシュフロー経営で経営を安定させる

キャッシュフロー経営を実践するためには以下の手順で進めるのがよいでしょう。

①キャッシュフローの現状を把握する

まずは現状のキャッシュフローを把握するために、過去3期分のキャッシュフロー計算書を作成します。キャッシュフロー計算書は一定期間における現金および現金同等物の増減と残高を表した計算書であり、営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)、投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)、財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)の3つの区分から構成されています。

営業CFは会社本来の営業活動から生じた現金および現金同等物の増減を表しており、健全な会社であればプラスとなります。投資CFは固定資産の取得や売却などにかかわる現金および現金同等物の増減を表します。健全な会社は積極的に投資活動を行っていると考えられますので、通常、この値はマイナスとなります。

営業CFから投資CFを差し引いた値をフリーキャッシュフロー(FCF)といいますが、原則としてFCFはプラスであることが望ましいです。財務CFは金融機関からの借り入れや返済、増資、配当金の支払い等、財務活動全般にわたる現金および現金同等物の増減を表します。

下記に間接法によるキャッシュフロー計算書の例を記載します。

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②将来のキャッシュフローを計画する

キャッシュフローの現状分析ができたら、それを基に将来のキャッシュフローを計画していきます。資金繰り表を作成し資金ショートを起こさないように、将来のキャッシュフローを計画します。資金繰り表には過去のお金の流れを管理する「資金繰り実績表」と将来のお金の流れを管理する「資金繰り予定表」がありますが、ここで作成する必要があるのは「資金繰り予定表」となります。月別に作成し3~5年分を確認できるようにするとよいでしょう。

資金繰りのコツ

中小企業の資金繰りは非常にタイトです。どうすれば資金ショートを防げるでしょうか。それにはまず支払いにターゲットを絞ることです。
最初に、当面の支払予定を時系列ですべて把握します。例えば、表計算ソフトで縦軸に月日をとり、横軸に支払う金額を書くようにします(下記、総合資金繰り表参照)。これを作成することにより「いつ、いくら必要か」がわかるようにします。そのうえで、それぞれの支払日にその資金が準備できるかを調べます。

そして現在の手元の現金・預金残高をチェックし、手元のお金で支払いが可能かをチェックします。手元のお金で支払いができない場合には、入金予定の売上代金等で支払いができるかを確認します。費用の支払期限よりも前に、入金される場合には、これを支払いに充当することができます。
もし、予定の入金でも支払いができない場合には、どこかからお金を調達する必要があります。主な方法として2つあります。①お金を借りる、②支払いを待ってもらう(延期してもらう)などです。

キャッシュフロー経営で経営を安定させる

キャッシュフロー経営の効果

キャッシュフロー経営により手元のキャッシュを確保し、資金ショートによる倒産のリスクを回避することができます。キャッシュをどうやって増やすかを重視した経営手法であるため、長期にわたって安定して企業経営を行うことが可能となります。日頃から資金繰りを改善しておくことにより、仮に1カ所から入金がされなかった場合にも連鎖的に倒産するリスクを減少させることができます。

キャッシュが増えると倒産の心配が少なくなるため、対外的な信用力が高まります。取引先との信頼確保のみならず、金融機関からの借り入れも行いやすくなると考えられます。金融機関から融資を受ける際には事業計画書や資金繰り予定表などの提出を求められることが一般的です。日頃からキャッシュフロー経営を行い、資金繰りをモニタリングすることにより、説得力のある資金繰り予定表を提出することができ、金融機関に安心感を与えることができるようになります。

手元のキャッシュが潤沢になるため、新規の事業投資を行うなど、経営の自由度も高まりやすくなります。資金ショートの不安があると投資に消去的になり、企業の成長が鈍化してしまう恐れがありますが、将来の資金繰り計画を適切に策定することにより、将来のキャッシュの状況が見えやすくなります。そのため、新規の事業投資にも取り組みやすくなります。

このようにメリットがたくさんあるキャッシュフロー経営の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

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