1. TOP
  2. Alibaba JAPAN PRESS
  3. モノ売りからコト売りへ 価値提供型の営業とは
  • 2021.03.05

モノ売りからコト売りへ 価値提供型の営業とは

モノ売りからコト売りへ 価値提供型の営業とは

今の日本はモノにあふれています。昔のような「作れば売れる時代」は終わりました。かつては多くの企業が、モノに焦点を当てた技術開発を切磋琢磨してきました。そして、高機能で多機能な製品を発売し、その機能性を強みにして営業をしてきました。このようにモノ(製品)起点で開発して営業することを「モノ売り」と言います。しかし、たいていの必需品は誰でも手に入るようになった現在、モノそのものの価値が下がってきています。そして、目新しい機能を作り出すことは難しくなり、製品で差別化することが難しくなってきています。また、ITの発展により、業界間の参入障壁も下がり、競合との価格競争も激化しています。

このような環境では、単に機能を追求した製品を上市しても売れません。モノ売りが難しくなってきた世の中で企業が生き残っていくためには、コト起点での売り方、つまり、「コト売り」の考え方が必要です。
この記事では、コト売りの考え方やBtoBでの活用をご紹介します。

「モノ売り」と「コト売り」の違い

コト売りとは、製品を購入したことで得られる体験や感動を売ることを言います。お客様はモノではなく、コト、つまり、体験や感動に価値を感じるようになってきました。つまり、コト売りとは、お客様が求めている価値に焦点を当てた営業活動と言えます。

ここではモノ売りとコト売りの考え方の違いについて例を挙げて説明をします。
(あくまで仮定の内容になりますので、ご留意ください)

繊維メーカーのA社は、自社の技術を生かした保温性の高い毛布を販売しているとします。売れ行きも好調で、A社の社員は、「とにかく暖かい毛布が売れるのだ」と考え、その技術をとことん突き詰めていきました。そして、さらに保温性の高い毛布を新たに開発し、販売を開始しました。ところが、新製品は思ったように売れていません。お客様に聞いてみると、「新製品は暑すぎて寝苦しい」や「汗で蒸れて気持ち悪い」という声が多かったのです。「保温性を高めれば売れる」というモノ視点での考えにとらわれた結果、冬場の快適な睡眠を提供するという毛布本来の目的を見失っていたのです。これがまさにモノ売りの典型的な失敗例です。

では、少し視点を変えてみましょう。暖かい毛布が好調だった理由を調べていると次のことが分かってきました。購入層は女性が多く、「冷え性で困っていた。この毛布を使うと手足が温まって良い睡眠がとれる」という声が多かったのです。つまり、お客様は、高い保温性という機能を求めて製品(モノ)を買ったのではなく、冷え性でも快適な睡眠をとることができるという体験(コト)に価値を感じて購入したと言えます。これが、コト売りの考え方です。

コト視点で考えると、お客様が喜んでくれる新しいアイデアも生まれやすくなります。先ほどの例に挙げた冷え性の女性に対してであれば、足の部分の保温性をより高めた毛布の開発や、体の温まるジンジャーティーとのセット売りなどが考えられます。

「なぜ、お客様はこの製品を購入したのか」「購入した後にどんな体験や感動を求めているのか」、このようにお客様が価値に感じて購入した理由を考えることがコト売りの第一歩となります。

BtoBでこそ「コト売り」の視点が大切

一見、コト売りは消費者へ製品を届けるBtoCにだけ適用できる考え方だと思うかもしれません。しかしながら、コト売りの考え方は、BtoBでこそ生きてきます。特にコモディティーなBtoB製品の場合、製品の差別化が難しくコスト競争に陥りがちです。そして、最終的に体力のある企業が勝つことになります。そのような価格競争から脱するには、コト売りの視点を持つことが必要です。

取引先であるユーザーの立場になって考えてみましょう。ユーザーは、原材料の機能よりも、あなたの会社の原材料を使うことでヒット製品が作れるのかに興味があります。原材料の機能や価格は、それを考える要素にすぎません。極論かもしれませんが、売れる製品ができるのであれば、ユーザーはどのサプライヤーの原材料を使っても構わないのです。

では、ユーザーに対して、サプライヤーはどのような提案をすればよいのでしょうか。

それは、目の前のユーザーではなく、その先の消費者が価値と感じるコトの視点を盛り込んだ提案をすることです。BtoBの場合も、BtoCと同じように、消費者に対して自社の製品がどのような価値を提供できるのか、というコト視点をもとにあなたの会社ならでは提案をすることで、競合と差別化できるのです。

BtoBにおけるコト売りの提案手法

モノ売りでありがちなのが、商談が始まった途端に、「弊社はこんな技術があって、こんな製品を作っていて、その製品の特徴は…」と売り込みを始めることです。もちろん自社のことを知ってもらうのは大切です。しかし、先ほども述べたように、ユーザーはあなたの会社や製品のことよりも、あなたの会社の製品を使ったら売れる製品が作れるのかに興味があります。

コト売りの具体的な提案内容をお見せします。ある食品素材メーカーが、顧客である洋菓子メーカーへ提案をしている場面をイメージしてください。
(あくまで仮定の内容になりますので、ご留意ください)

モノ売りからコト売りへ 価値提供型の営業とは

「フランスで●●●という洋菓子が流行っていて、SNSで話題になっています。斬新な見た目と独特な食感で、これまでにない食体験ができると日本でも若い女性が注目しています。本来、●●●は特殊な作り方をしますが、弊社の技術スタッフが簡単に作れるレシピを開発しました。そのレシピと商品サンプルがこちらです。御社でも、●●●のような製品を作ってみてはいかがでしょうか。我々もサポートします」

もしこのような提案をされたら、どうでしょうか。消費者は●●●という洋菓子に新しい食体験という価値を感じている。つまり、発売すれば売れる可能性が高い。しかも、簡便なレシピも手元にあり、すぐにできそうな状態にある。ここまでお膳立てされたら、関係性が悪くない限り、やってみてもいいかなと思うのではないでしょうか。

コト提案のポイントは次の3つです。

① コト視点を基にした企画の提案を持ち込む
② 自社製品は、企画の中に自然に盛り込む
③ 自社製品の説明は控える

要は、自社製品の売り込みではなく、コト視点の企画内容をまるごと提案します。そして、その企画の中に自社の製品をスペックインさせておき、この企画が採用されれば、自然と自社製品が使われる流れにします。

中には、アイデアや企画だけ盗まれて、他社の製品が使われる可能性があるのではないか、と考える人もいるでしょう。確かにその通りです。コモディティーな製品であれば、他社品を使われるかもしれません。

しかし、つまるところ、商売は人対人。コト視点を入れた提案を続けていると、ユーザーは製品そのものよりも、あなたの提案やアイデアに価値を感じるようになるでしょう。そうなると、ユーザーはあなたを無下にはできなくなっていきます。なぜなら、あなたの提案やアイデアがなくなるとユーザー自身も困ってしまうからです。

コト売りで新しい価値を提供する

モノ売りでは、製品の品質と価格を天秤にかけて、その費用対効果で勝負をしていました。この土俵で戦っている限り、競合と消耗戦を続けることになります。しかし、コト売りの考え方を盛り込んだ提案をすることで、モノ売りとは異なる土俵で商売をすることができ、結果的に価格競争から逃れることができます。

コト売りは、顧客目線にたった価値提供型の営業活動です。顧客目線というと当たり前のように感じますが、意外と実践できていないことも多いです。一度、体験や感動というコト、つまり、消費者が何に価値を感じているのかを徹底的に考えて、コト売りを突き詰めてみてはいかがでしょうか。

下司 健二郎

下司 健二郎

PROFILE

ライター、コンサルタント

埼玉県出身。東京大学大学院を修了後、日系大手食品メーカーに入社。入社後は、加工食品の研究開発に従事し、タイ駐在を経験。帰国後、新規事業の企画開発と販促を担当し、現在はタイ駐在の経験も生かして、アジアへの事業展開に携わっている。

2020年中小企業診断士登録。
製造業での幅広い現場経験をもとに、企業支援や執筆などを行っている。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

SHARE

おすすめ記事

低価格競争からの脱却のために!(ムジンノフクヤ)

2021.06.11

低価格競争からの脱却のために!(ムジンノフクヤ)

行動経済学から考えるマーケティング戦術

2021.06.03

行動経済学から考えるマーケティング戦術

苦しみも成果もシェアする!(若鶴酒造株式会社)

2021.05.31

苦しみも成果もシェアする!(若鶴酒造株式会社)

資料のご請求や
お問い合わせはこちら