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  • 2017.06.23

日本の「お線香」が仏壇のない国でも売れる理由

日本の「お線香」が仏壇のない国でも売れる理由

日本人の思考ではお線香にロウソクといえば、墓前・仏壇と直結しがちです。そうした商品が海外に受け入れられるはずもない、と考えてしまえばそれまでとなり、新たな販路は見出せません。

発想に柔軟性をもたせ、お線香を海外の人気商品とした企業があります。45年の時をかけて花開いた日本香堂の取り組みを通じて、海外進出成功のポイントを探っていきます。

日本の「毎日香」は海外では「Morning Star」として有名

香を扱う企業は、薫香業界に属します。その業界においてゆるぎないリーディングカンパニーとされるのが、株式会社日本香堂です。創業は1575年(天正年間)と誰もが認める老舗ながら、業界初のテレビCMを行ったことでも有名です。

聞き覚えのあるフレーズと「毎日香」「青雲」の商品名は、先祖に向き合う際の日本人の心に深く浸透しています。そのいかにも日本的な商品が、今ではおしゃれなルームフレグランスとして世界的に愛用されるようになりました。

45年前、アメリカの店をひとつひとつ回り、線香を紹介していったのが日本香堂の海外戦略の始まりです。線香や香を焚く文化のない習慣のないところに、新たなマーケットを求めての挑戦でした。

ボストンバックに線香を詰めた営業マンの地道な努力は、少しずつ実を結んでいきます。やがてホームフレグランスの流行もあり、ライフスタイルへの意識が高い層に受け入れられていきました。

海外では毎日香の英名「Morning Star」として、現在約30か国で親しまれています。フランスのエステバン社、アメリカのジェニコ社を傘下に収め、各国の市場動向や消費者ニーズを綿密に分析した商品展開へと広がりを見せています。

日本香堂のホームフレグランス関連商品は、日本国内でも好調な売れ行きを示しており、薫香業界の中で日用品チャネル7割という高いシェアを誇っています。

ヒットのきっかけは日本文化への共感

日本の香の文化は歴史が古く、室町時代には「香道」と呼ばれる芸事が誕生します。

日本香堂は1982年に外務省後援を受け、ニューヨーク国連本部で香道を紹介しました。その様子は、三大ネットワークで全米報道され話題となります。その後、米国中の各大学を巡演するにつれて、それまでひとつのフレグランスであった「香」が、高尚な文化として知識層や富裕層をとりこにしていきました。

単なる良い香りの商品であれば、他国製品でも代わりがあります。しかし、日本の線香が持つ歴史的背景やストーリーを浸透させたことで、日本という国自体のイメージと相まって、独自の価値を持つ商品として認識されるようになったのです。

日本香堂の海外戦略における最大のポイントは、日本文化と線香のつながりを紹介する「教育的マーケティング」にあります。品質が良いだけでは他国との差別化を図れないという課題に対し、見事克服した事例といえます。

パッケージ、販売方法の工夫で売上拡大に成功

海外で売られている「毎日香=Morning Star」には、日本国内では手に入らない商品もあります。これは、同社がその国のニーズをくんだ商品展開を強く意識しているためといえるでしょう。

たとえば多民族国家であるアメリカでは、フローラル、シトラス、ウッディといったバリエーション豊富なラインナップにするなど、その国に合わせた商品展開がなされています。また、イヴ・サンローランやランコム、キャシャレル、クロムハーツなど、一流ブランドとのコラボレーションによって、より洗練された商品を目指した開発も行われてきました。

ドイツで大ヒットとなったのは、日本の四季を感じさせる線香と和柄を施した香皿のギフトセットでした。生活に安らぎを求める現代人のニーズに応え、癒し系音楽のCDと香を組み合わせた商品も販売しています。


グローバル展開においては、エステバン社を始めとする海外のフレグランス企業を傘下に入れたことで、石に香りづけをするなどの新しい技術も獲得してきました。各国のニーズや嗜好にマッチした商品づくりは、今後も注目が集まりそうです。

日本文化とともに商品を輸出する販売手法に勝機あり

日本香堂は、お線香という商品を販売するにあたって、日本の伝統文化としての価値を謳ってきました。そのうえで、各国の生活ニーズや嗜好にマッチする商品づくりを推し進めることで、売上の勢いを落とさない販売戦略を可能としています。

日本人の頭の中にある線香のイメージのままでは、少子高齢化による人口減少著しい国内市場での売上は先細るばかりです。ともすれば古臭い印象さえある線香が、海外では目新しい商品として競争力を発揮することもあります。

振り返れば他にも、凝り固まった視点のせいで見落とされている価値ある商品はあるのかもしれません。「日本文化とともに輸出する」。日本香堂の販売手法は日本文化と商品売上の両方に、好ましい作用を与え続けています。

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