海外へ販路開拓する方法とは?
事例や利用できる補助金も解説
自社の販路開拓のために、海外進出を考えている人もいますよね。
当記事では、海外へ販路を開拓する方法を解説します。企業の事例や海外進出で利用できる補助金も紹介しているので、海外への販路開拓を検討している人は参考にしてみてください。
海外へ販路開拓する方法
海外へ販路を開拓するには、さまざまな方法があります。
【海外へ販路開拓する方法】
・自社の現地法人や海外支店を設立する
・現地の小売店や代理店と契約する
・展示会や商談会へ参加する
・越境ECを利用する
現地に拠点を置いて事業を行う方法だけでなく、拠点を日本に置いたまま現地企業への販売委託やイベントへの参加、ECサイトの利用などによって海外への販路を開拓することも可能です。
自社に向いている販路開拓の方法は、海外進出の目的や適切な人材の有無などによって異なるため、自社の状況に合わせて販路開拓の方法を検討しましょう。
自社の現地法人や支店を設立する
販路を開拓するために、自社の現地法人や支店を設立する方法があります。現地法人や支店を設立することで海外の市場に参入し、現地の顧客に対して直接商品やサービスを提供することが可能です。
現地法人と支店はどちらも海外へ拠点を置いて販路を開拓してく方法ですが、それぞれ異なる特徴があります。
たとえば、現地法人を設立する場合は諸手続きや費用が発生するほか、現地の言語や法律の理解などさまざまな準備が必要です。しかし、日本の本社から独立して経営を行えることや現地の法律や税制が適用されることから、制限が少なく比較的自由な事業展開ができます。
一方で、現地に支店を設立する場合、経営にあたり本社の許可が必要となる場面が多いほか、現地の資産の取得ができないなどの制限を受けることがあります。ただし、本社と同一経営のため事務手続きなどの負担が少なくなり、現地法人を設立するよりも手間やコストを抑えることが可能です。
現地法人や支店を設立することにより、現地に根差した販路開拓を行うことが可能です。拠点を設けて販路を開拓していくことで、顧客や現地企業との関係構築や、事業展開のための情報収集にも有効な手段となるでしょう。
現地の小売店や代理店と契約する
海外に自社の拠点を設けず、現地の小売店や代理店と契約して自社の商品を販売してもらう方法もあります。
現地市場に精通した代理店や小売店に販売を委託することにより、現地ビジネスのノウハウがなくても販路を拡大することが可能です。自社製品を扱ってもらえる小売店や代理店が見つかれば、拠点設立のための諸手続きや人材採用の必要がないため初期コストの削減にもつながります。
現地とのネットワークがなく委託先探しが困難な場合には、現地の駐日大使館から取引先候補となる企業のリストをもらうことが可能です。また、JETROの「海外ミニ調査サービス」を利用して販売代理店候補をリストアップしてもらう方法もあります。
ただし、代理店や小売店と契約する場合は販売手数料が掛かるため、企業の利益は少なくなります。販売方針も委託先に従う必要がある点は留意しましょう。
なお、アリババでは海外の取引先や代理店を探すためのオンライン展示会サービスを提供しており、190以上の国と地域のバイヤーから利用されています。日本にいながら海外の取引先を探したいと考えている人は、世界最大級のBtoBマッチングサイト「Alibaba.com」を確認してみてください。
展示会や商談会へ参加する
展示会や商談会へ参加することで、販路開拓につなげることも可能です。
展示会とは、複数の企業がブースを出展し、来場者へ直接商品やサービスをPRできるイベントです。企業の認知度向上が期待できるほか、実際に商品やサービスを試してもらうことができるため、顧客の獲得につなげやすくなります。
また、他の出展企業とも接点を持つきっかけになります。他社はライバルでありながら業務提携などによりビジネスパートナーにもなり得ることから、展示会への出店は事業展開のさまざまなチャンスにつなげることが可能です。
展示会や商談会には複数のバイヤーが参加するため、自社の商品やサービスを効率的にPRできます。これまでに海外との接点がない場合でも、展示会や商談会への参加によって複数の海外企業とのネットワークを構築できるでしょう。
越境ECを利用する
近年注目を集めているのが、越境ECを利用して海外への販路を開拓する方法です。越境ECとは、インターネットを通じて国境を越えた取引を行う電子商取引のことであり、拠点を日本に置きながら世界中の顧客へ自社の商品を提供することが可能です。
越境ECを利用する場合、自社でECサイトを構築する以外にも、多言語多通貨の国際取引に対応している既存のECモールなどに出展する方法があります。現地で店舗を構えることや、代理店などと提携することなく海外へ事業展開ができるため、海外進出時のコストやリスクを抑えられます。
また、現地調査や人材の確保といった準備にかかる費用や手間を削減できることも、越境ECのメリットです。現地とのネットワークがない場合や自社商品の需要を知りたい場合など、まずは越境ECに出展して自社商品のニーズを調査している企業もあります。
スマートフォンの普及などにより、越境ECの市場規模は年々拡大しています。経済成長により新興国や発展途上国でも越境ECが広まることで、今後もさらなる需要の増加が見込まれるでしょう。
海外への販路開拓を成功させた企業の事例
多くの企業が、海外での販路開拓を成功させています。ここでは、海外への販路開拓を成功させた企業の事例を3つ紹介します。
【海外への販路開拓を成功させた企業の事例】
・9店舗の海外支店設置により売上を伸ばす小売業の事例
・展示会への出店から海外企業との関係構築につなげた酒造店の事例
・越境ECの利用により世界37か国との取引につなげた化粧品卸売会社の事例
支店の設立や展示会への参加、越境ECの利用など、企業によって海外への販路開拓の方法は様々です。企業の成功事例から、自社の販路開拓の参考にしてみましょう。
9店舗の海外支店設置により売上を伸ばす小売業の事例
ショッピングモールへの出展を中心に時計やメガネなどの販売を行っている企業では、丁寧な接客と充実したアフターサービスを強みに、アジアを中心とした9店舗の海外支店を展開しています。
取引のあったショッピングモールがベトナムに出店するのを機に、2014年に自社の支店として海外への進出を決めました。その後5年間でベトナム、中国、カンボジアへ9店舗の支店を構えて販路を開拓していき、現地の富裕層からのニーズの高さから当初の目標よりも早い段階での黒字化に成功しています。
2020年には世界的な感染症の流行が影響し売り上げが低迷しましたが、中国の2店舗では大規模な感染拡大が収まると早期に営業を再開しました。その後はロックダウンの反動による消費意欲が後押しとなり、過去最高益を達成しています。
今後は中国へ新店舗の出店が決まっているほか、インドネシアへの進出も検討しているそうです。さらに、実店舗に加えてECサイトにも参入し、海外への販路開拓を進めていく予定です。
展示会への出店から海外企業との関係構築につなげた酒造店の事例
日本酒を中心に製造をおこなう酒造店では、展示会への出店から海外企業との接点をつくり、販路の開拓と販売促進を成功させました。
フランスとシンガポールで行われた展示会に出展したことがきっかけで、現在の輸出先となる海外企業との関係を構築しました。輸出先を確保することで販売促進につながり、継続的な商品提案を行う基盤となっています。
また、海外への販路開拓と併せて力を入れているのが、外国人観光客へ向けた国内での販売促進です。英語版パンフレットとホームページの作成にも注力し、インバウンド旅行者への訴求力の向上もはかっています。
日本酒の国内消費量が低迷していることから、海外への販路開拓は優先すべき課題となっています。今後は市場の動向を踏まえながら、インバウンド旅行者や海外に向けた情報発信を積極的に行ない、日本酒の文化を世界に広げていく方針です。
BtoBの越境ECにより世界37か国との取引につなげた化粧品卸売会社の事例
化粧品や健康食品に関する原料や商品を扱う卸売業者では、BtoB向けの越境ECサイトへの出店により海外への販路開拓を成功させています。企業の規模が小さく少ない従業員で取引先を増やしていくことが困難な中、世界各国へ販路を拡大したいという思いから越境ECの利用を開始しました。
海外進出を成功させるためにどのような商品を扱うか試行錯誤をしていたとき、目に留まったのが多くの観光客が日本のドラッグストアで商品を買い求める姿です。日本製品の品質と安全性に高い需要があることを確信し、クオリティを重視した化粧品や健康食品を取り扱うことにしました。
越境ECに掲載する商品名には「Japanese」や「high quality」といった単語を入れ、日本製の高品質で安全な材料を求めているバイヤーの目に留まりやすいよう工夫をしています。また、原料にも品質や安全性の高さを求める顧客が多いことから、成分表などの細かな資料もすべて翻訳して購入者に読んでもらえるようにしました。
現在は毎月20~30件の有効な問い合わせがあり、世界37か国の企業と取引を行っています。さらに、展示会での出店やベトナムへの支店設立なども実現させ、オンラインとオフライン両方での販路開拓を進めています。
なお、アリババではBtoB向けの越境ECへの出店サポートも行っています。海外の消費者へ向けて商品を販売するだけでなく、取引先となる海外企業を探したいと考えている人は「Alibaba.com」からサービスの詳細を確認してみてください。
企業の海外進出に利用できる補助金や融資制度
企業の海外進出の際に、補助金や融資制度を利用できる場合があります。
【海外進出で利用できる補助金や融資制度】
補助金・融資制度 |
概要 |
・中小企業などが新商品やサービス開発のための設備投資などを支援するための補助金 |
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・新分野展開、業態転換、事業再編などに意欲を有する中小企業を支援するための補助金 |
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・中小企業へITツールの導入を支援するための補助金 |
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・小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援し、生産性向上と持続的発展を図るための補助金 |
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自治体が提供する |
・自治体が独自で提供している補助金等 |
海外展開・事業再編資金 |
・海外での事業展開や事業再編などに利用できる融資制度 |
補助金と融資の主な違いは、返済義務の有無です。融資制度では一時的に資金を借りることになるため、金利を付けて返済する必要があります。
補助金には返済義務はありませんが、多くの場合は事業展開後の後払いとなります。事前に事業展開に必要な資金を用意しておく必要があることや、申請の際に提示した事業計画に沿わない場合、補助金を受け取れない可能性があることも留意しておかなければなりません。
また、海外進出の目的や販路開拓の方法によって、申請できる補助金の種類が異なります。補助金の利用を考えている人は、各補助金のホームページや公募要領から自社が申請の対象となるかを確認しましょう。
なお、アリババでは受給見込みのある補助金や助成金を診断できる「無料補助金診断」を提供しています。自社の課題にあった公的支援制度を知りたい人は利用してみてください。
まとめ
海外へ販路を拡大するにはさまざまな方法があります。法人や支店の設立などにより現地に拠点を設ける方法だけでなく、現地企業への販売委託や展示会などのイベントへの参加などにより、拠点を日本に置いたまま海外への販路を開拓することも可能です。
近年、販路開拓の方法として注目を集めているのが、インターネットを通じて世界各国へ自社の製品やサービスを提供できる越境ECです。他の販路開拓方法と比較して費用や手間を抑えられるほか、スマートフォンの普及により今後もさらなる需要の拡大が見込まれています。
海外への販路を開拓する際には、資金調達に補助金や融資制度を利用できる場合もあります。販路開拓の方法によって対象となる補助金や融資が異なるため、利用を検討している場合はそれぞれの支援先のホームページや公募要領などを確認しましょう。
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