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  • 2023.07.26

企業が海外進出する方法とは?形態や流れを解説

企業が海外進出する方法とは?形態や流れを解説

企業の海外進出には、どのような方法があるのか知りたい人もいるでしょう。

当記事では、企業の海外進出の形態や進出する際の流れを解説します。自社の海外進出を考えている人は参考にしてみてください。

企業における海外進出の形態

海外進出には様々な形態があり、企業によって適した方法が異なります。

【企業における海外進出の形態】

形態

概要

現地法人

日本企業が海外現地で新たに法人を設立する方法。

メリット:現地ネットワークの拡大や運営コストの削減につながる
デメリット:初期コストが大きい、カントリーリスクの影響を受けやすい

支店

現地に支店を設置し、日本の本社と同一の事業を海外で行う方法。

メリット:現地法人よりもコストや手続きの手間を抑えられる
デメリット:日本の税率が適用されるため税負担が大きくなりやすい

駐在員事務所

将来の海外進出に向けて、市場調査や情報収集の目的で現地に設置する事務所。

メリット:設置や撤退時のコストと手間を最小限に抑えられる
デメリット:情報収集を行うための拠点であり、営業活動は不可

現地委託生産

自社製品の製造を海外の工場などに委託する方法。

メリット:税率や人件費の安い国へ委託することで生産コストを抑えられる
デメリット:生産技術やノウハウが流出する恐れがある

間接貿易

輸出業者などを通じて自社商品を海外の事業者と取引する方法。

メリット:取引上のトラブルやカントリーリスクを抑えられる
デメリット:中間手数料が発生し、自社収益の減少や現地での販売価格高騰の恐れがある

直接貿易
(越境EC)

商社や輸出業者を通さず、自社製品を直接海外へ輸出する方法。

メリット:ノウハウの構築やビジネスチャンスの創出につながる
デメリット:顧客とのやり取りや業者の手配などを自社で行う必要がある

クロスボーダーM&A

企業の合併や買収(M&A)を海外企業と行う方法。

メリット:組織を1から立ち上げる必要がなく事業が安定しやすい
デメリット:現地企業の情報収集や交渉、各種手続きの手間が大きい

フランチャイズ契約

自社(フランチャイザー)が商標やノウハウを提供する代わりに、海外企業(フランチャイジー)から一定の対価を受け取る方法。

メリット:現地の人材やネットワークを活用できる
デメリット:業績不振により立て直しコストが発生する場合がある

一口に海外進出と言っても現地で法人を設立する方法や、現地に商品の生産のみを委託する方法、日本で生産した商品を海外へ輸出する方法など複数の選択肢があります。

それぞれメリットやデメリットなどの特徴が異なるため、自社の海外進出の目的や予算などに応じて適切な方法を選択しましょう。

海外拠点の有無は進出形態を決めるための判断軸のひとつ

海外進出の形態は、海外に拠点を設けて現地で事業を展開する方法と、拠点を設けずに海外への販路を拡大する方法の2つに大別されます。それぞれに異なるメリットとデメリットがあるため、拠点の有無は自社の目的に合った進出形態を決める際の判断軸のひとつとなります。

【海外拠点の有無によるメリットとデメリット】

海外拠点の有無

拠点あり

拠点なし

メリット

・販売拠点を拡大しやすい
・人件費やコストを削減できる可能性がある

・比較的低コスト、低リスクで海外進出を行える
・現地の治安や災害などによる影響を受けにくい

デメリット

・現地の社会情勢の変化によるカントリーリスクの影響を受けやすい
・人材確保や現地調査など準備に手間が掛かる

・拠点を設ける場合に比べてリターンが少ない

主な進出形態

・現地法人の設立
・海外支店
・駐在員事務所

・現地委託生産
・貿易(越境EC
・クロスボーダーM&A
・フランチャイズ

海外に拠点を設ける場合、現地市場の拡大や新たな需要の発掘などから大きなリターンを得られる可能性がありますが、準備や運営にかかるコストのほか日本との習慣の違いによるトラブルや現地の治安悪化などのリスクも考えられます。

一方で、現地に拠点を設けない場合、販路の拡大という面では大きなリターンにはつながりにくいですが、海外に拠点を置く場合と比較してコストやリスクを抑えることが可能です。

海外進出の目的だけでなく、ノウハウや必要な人材の有無などによっても適した事業形態が異なります。メリットだけでなくデメリットも考慮した上で、自社に合う海外進出方法を検討してみてください。

企業の海外進出の流れ

企業の海外進出を検討している場合には、以下の流れで準備を行いましょう。流れに沿って準備を進めることで計画の不備や情報の見落としを防ぎ、海外進出が成功しやすくなるためです。

【海外進出の流れ】

① 海外進出の目的を明確にする
② 海外進出計画案を策定する
③ 国内での予備調査と現地調査を行う
④ 最終的な意思決定

企業の海外進出を成功させるためには、事前の計画や情報収集が大切です。海外では商習慣の違いなどから日本での事業展開とは異なる部分も多いため、明確な目的や計画なく海外進出を実行した場合はトラブルの発生や事業撤退のリスクもあることを留意しておきましょう。

海外進出の目的を明確にする

海外進出を検討している場合、まずは自社が海外進出する目的を明確にしておきましょう。目的を定めることで海外進出の必要性を確認できるだけでなく、目的が定まっていない状態では資金計画やマーケティング戦略が曖昧になり、海外での事業展開に失敗する原因となるためです。

たとえば、コスト削減を目的として海外進出を考えている場合、日本よりも人件費や税金が安い国への進出が必要です。目的が曖昧な状態で進出先を決めてしまうと、日本よりも人件費や税金が高く、かえってコストが増加する恐れがあります。

また、販路拡大を目的として現地に拠点を設立したい場合には、自社の製品やサービスへのニーズがある地域へ進出しなければ現地での事業展開が困難となります。特に、食品や飲料などは好みや宗教上の制限により、現地で受け入れられない可能性もあります。

海外進出の目的を定めることで事業展開の方向性や調査すべき内容が明確になり、海外進出全般においてスムーズな判断ができるようになるでしょう。

海外進出計画案を策定する

海外進出の目的を明確にしたら、事業展開の大まかなプランとなる海外進出計画案を策定しましょう。進出先や進出の形態、達成すべき目標などを決めていくことで海外進出のイメージがより具体的なものとなり、資金計画や事前調査を行いやすくなるためです。

【海外進出計画案として検討しておくべき項目】

・達成すべき具体的な目標(売上、投資回収など)
・目標達成のための要件(海外進出先、形態)
・調査、手続き、採用などの具体的なスケジュール

投資回収の目安としては35年程度をかけて中・長期的に黒字へ転換できるプランが望ましく、適切な期間で目標を達成するための要件として、進出先の地域や進出形態などを設定していきます。

また、海外進出の準備工程や時期を記した計画表を作成しておくことも有効です。具体的なスケジュールに沿って準備を進めることができるため、作業の遅れなどの問題点も把握しやすくなります。

海外進出計画案を指標とすることで、事前調査や実際の事業展開を進めやすくなるでしょう。

国内での予備調査と現地調査

海外進出計画案として大まかなプランが決まったら、事前調査と情報収集を行いましょう。

新規事業やプロジェクトの実現可能性を調査することはFSFeasibility Study)と呼ばれ、海外進出においても重要な段階です。現地の情勢や法規制、商習慣などを調査することでリスクを把握し、起こり得る問題への対策を講じることができます。

また、国内での予備調査に加え、実際に現地に赴きデータでは分かりにくい治安や顧客ニーズを調査することも大切です。新興国などでは経済成長のスピードも速く、既存のデータと実態が大きく異なる可能性があります。

調査不足により、想定外のトラブルの発生など事業が計画通りに進まなくなることも考えられるため、計画を実行する前に十分な情報収集を行っておきましょう。

最終的な意思決定

海外進出計画案や事前調査の結果をもとに、海外進出を実行するかの最終的な意思決定を行いましょう。

海外進出には企業にとって販路拡大や経費削減などのメリットをもたらす可能性がある一方で、初期コストや現地でのトラブルといったデメリットとなる面も存在します。

事業計画の実現可能性やメリット、デメリットを総合的に判断し、海外進出を決めた場合は計画の実行に向けてプロジェクトの立ち上げや各種手続きなど準備を進めましょう。

なお、事業計画の実現が難しいと感じる場合でも、計画案の練り直しによって海外進出が可能となる場合もあります。課題となっている部分を洗い出し、予算の削減やスケジュールの調整など計画案の見直しを行ってみてください。

海外進出の意向が決まったら資金調達方法も検討しておく

海外進出の意向が決まったら、資金調達の方法も検討しておく必要があります。海外進出の方法によっては、事前の準備や現地での事業展開に多額のコストが掛かる場合があるためです。

【企業の海外進出における資金調達の方法】

・銀行からの融資
・補助金や助成金の活用
・ベンチャーキャピタルからの出資
・親会社から現地法人への融資(親子ローン)

銀行からの融資や補助金の活用のほか、スタートアップ企業やベンチャー企業への投資を行う会社であるベンチャーキャピタルから資金提供を受ける方法などもあります。

金融機関との関係の構築や融資の金利の高さなどから、現地での資金調達に課題を感じている企業も多く存在するため、必要な資金を調達できるルートを確保しておきましょう。

なお、中小企業庁のHPでも、海外展開を目指す中小企業のための各種支援施策や制度情報等を紹介しています。地域別の支援情報も見ることができるため、補助金や支援制度を調べる際には「海外展開支援」のページを参考にしてみてください。

海外進出支援サービスの利用を検討する

海外進出に不安がある場合は、地方自治体や民間企業が提供する支援サービスを利用することも検討しましょう。企業が海外進出する際には、資金調達をはじめ様々な課題に直面することが考えられるためです。

支援サービスの内容は、資現地調査や人材教育、専門家の紹介など多岐にわたります。支援サービスによって、サポートジャンルや対象となる国が異なるため、自社の抱える課題や海外進出計画に合わせた支援先へ依頼しましょう。

企業の海外進出サポートについて詳しく知りたい人は「企業の海外進出サポートサービスの内容や選び方のコツを解説」を参考にしてみてください。

まとめ

海外進出には様々な方法があり、目的や予算、取り扱う商品などにより適切な形態が異なります。拠点の有無によってもメリットやデメリットが異なるため、海外進出の形態を決める際は自社の状況に合わせた方法を選択しましょう。

また、海外進出を成功させるためには事前の計画と情報収集が大切です。まずは海外進出の目的を明確にし、事業計画や情報収集を念入りに行うことがトラブルや事業撤退などのリスクを抑えることにつながります。

企業の海外進出では、日本での事業展開以上に様々なコストやリスクが発生する場合があります。自社の海外進出に不安がある場合は、海外進出支援サービスの利用も検討してみてください。

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