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  • 2023.03.20

小規模事業者持続化補助金を活用しよう!

小規模事業者持続化補助金を活用しよう!

資金力の弱い小規模事業者にとって、様々な取り組みに要する費用は頭の痛い問題である。
販売促進のために新しいWebサイトをつくる、生産性向上のために機械を購入する、そうした取り組みには少なからざる投資が必要になる。そして、そうした投資費用がなかなか捻出できずに気がついたらじり貧になっていく、というのは小規模事業者のありがちな負けパターンである。

そうした状況に陥らないために活用できるのが、各種の補助金だ。補助金には様々なものが存在するが、小規模事業者持続化補助金はその名の通り、小規模事業者のみが応募できるものであること、金額は低い代わりに採択件数が多く、求められる要件も少ないことから、最初に取り組む補助金として利用しやすいものとなっている。

小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者持続化補助金は、「小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とし、小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)や、地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するもの」として定義される。

なお、小規模事業者持続化補助金も含めた公的な補助金は、毎年国会(地方自治体が提供する場合は地方議会)で承認される予算の一部であり、一見毎年同じ補助金制度が行われているようでも、正確には会計年度ごとに分かれている。また、同じ会計年度であっても、通常年に数回ある募集の回数によって、公募要領(補助金のルールブック)が更新され、若干内容が異なる。そのため、応募を検討する場合は、常に最新の公募要領の内容を確認することが必要になる。

以下に説明をする内容は、令和元年度補正予算・令和3年度補正予算「小規模事業者持続化補助金(第12回締切分)」の公募要領を前提としたものであることに留意をいただきたい。

補助を受けられる経費の範囲

小規模事業者持続化補助金においては、何に対してどの程度の補助を受けられるのだろうか?
2023年3月3日発行の小規模事業者持続化補助金公募要領においては、以下のように一般枠では最大50万円、特別枠では最大200万円までの補助を受けることができるとされている。なお、取り組みのために支出した経費の全額ではなく、類型ごとに決められた補助率に応じた割合が支払われることとなる。

また202310月1日からインボイス制度が開始されるのに伴い、免税事業者が適格請求書発行事業者への転換に伴う事業環境変化に対応することに対し政策支援がある。具体的には、2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者については、補助上限額が一律50万円上乗せされる。

小規模事業者持続化補助金を活用しよう!

小規模事業者持続化補助金公募要領より著者作成

補助対象の経費として認められる費用は、公募要領に記載された経費類型に当てはまるものでなければならない。例えば、令和元年度補正予算・令和3年度補正予算「小規模事業者持続化補助金持続化補助金」では以下の経費が認められている。

小規模事業者持続化補助金を活用しよう!

小規模事業者持続化補助金公募要領より著者作成

注意点

補助金は基本的にお金をもらえるものであるため、損をすることはないと思いがちである。しかし、実際にはいくつも落とし穴が存在する。

①煩雑な事務手続き
まず、第一の落とし穴が事務手続きの煩雑さだ。補助金に採択されたとしてもポンとお金を渡してもらえるわけではない。あくまで、取り組みを行った後、実際にかかった費用の一部清算を行う形で支払いが行われるものである。

小規模事業者持続化補助金を活用しよう!

小規模事業者持続化補助金の流れ
出展:小規模事業者持続化補助金事務局ウェブサイト

具体的には、実績報告書や経費を支出した証拠書類の提出をして、補助金事務局が確認し金額の確定をしていくわけだが、この確認および書類の修正依頼はかなり細かいうえに何度も対応を求められる場合が多い。相当程度の事務作業量を要するものである。
小規模事業者持続化補助金は他の補助金に比べて利用がしやすいが、補助金額は少ない。一方で、清算手続き自体は他の補助金に比べて大きく簡便になるわけではないため、金額のわりに事務手続きが煩雑となる傾向がある。
ありがちな間違いとして、少数の大きな経費に集約するのではなく、できるだけ上限金額まで補助金を得ようとして様々な細かい経費をまとめて申請をしようとしてしまうことがあげられる。

例えば、喫茶店が顧客を増やすために新たにランチを提供しようとしたとしよう。
この際、例えば75万円の業務用冷蔵庫を購入するのであれば、経費は1つだけとなり、たった1セットの書類を提出すれば、上限金額の50万円がもらえることとなる。
しかし、いろいろなものをそろえようとして、40万円のオーブンと、5万円の調理器具×3種類を別々の会社から購入、食器・什器類を1組5万円×4種類これも別々の会社から購入したとする。すると、この会社は補助される金額は変わらないにも関わらず8セットの書類を用意しなければならない。
もしも、100円ショップなどで細々したものを買ってしまったりしたら、割に合わない事務作業量になることがご想像いただけるだろう。

また、事務手続きが煩雑になりがちな経費もある。例えば、インターネット広告があげられる。FacebookGoogleといった大手プラットフォームにインターネット広告を掲載すると、1日単位で数十円、数百円といった細かい金額を払っていくような請求書になっていることが多い。さらに、支払いはクレジットカードで行うことが普通である。しかしながら、本補助金においては、クレジットカードの明細だけではなく、クレジットカードの引落が実際になされている銀行口座の通帳の写しまでが必要となる。すると、インターネット広告を利用した際に提出する書類は膨大な量になる。

現在は電子申請であるため、書類の量が目に見えることはないが、紙の書類を郵送で補助金事務局に郵送していた時には、書類が多すぎて、封筒がサイコロのような形になっていた事業者もあったそうだ。50万円といえば小さな金額ではないが、年収600万円の人の1月分程度と考えると、あまり事務作業量が多くなってしまうのは効率が悪い。できるだけ欲張らずに効率的な申請を行う必要がある。

②対象外経費の存在

小規模事業者持続化補助金を活用しよう!

公募要領では、「補助対象外となる経費」も列挙されているので、注意が必要だ。一例としては、「販売や有償レンタルを目的とした製品、商品等の生産・調達に係る経費」すなわち、商品の仕入に係る経費は対象にならないということになる。他にも一部例外はあるものの自動車等車両やパソコン等も購入することができない。そういったものに当てはまってしまうと、当初の計画内で認められていても、その分の金額を削減されて補助金が支払われることになる。取り組みの計画書を苦労して作成し採択され、さらに一生懸命証拠書類を用意したとしても、それが全部無駄になってしまうわけである。最新の公募要領をよく読むようにしたい。

また、補助金がでるから、ということで不必要な出費をするべきではない。
そもそも、補助金は支出した経費の全額出るわけではないし、上述のように事務局に否認されるケースは多い。そうすると不必要な出費がそのまま余計な出費になってしまい、損をすることとなってしまうのである。

こうした落とし穴にはまり、リスクなく補助を受けられると思っていたのに、後で泣くことになる事業者は少なくない。

小規模事業者持続化補助金を活用する意義

このような落とし穴があってなお、小規模事業者持続化補助金に応募する、金銭面以外に何かメリットはあるだろうか?結論からいえば、ある。

小規模事業者持続化補助金を活用するには、①審査員を納得させられるだけの事業計画を策定すること、②補助金事務局に経費を承認してもらえるだけの事務手続きを行えること、の2点が必須である。これができないのであれば、補助金申請をしてもなかなか採択されずにくたびれもうけに終わったり、煩雑な事務手続きに疲弊したうえ、大幅に補助金額をカットされてしまい、割に合わない結果に終わってしまったりしかねない。

見方を変えれば、経営・管理ができている事業者には恩恵がある反面、経営・管理ができていない事業者がお金欲しさに挑戦しても、かえって損をしてしまうのが、この小規模事業者持続化補助金という制度の特徴ともいえる。
すなわち、補助金を得るというよりも、自社の事業計画を作成する、煩雑な事務手続きをこなしていく、という経験を積むことで、自社の事業を客観視する機会とすること、管理体制を整えるよい機会になること、が真のメリットである。

自分自身がそうした能力に自信のある事業者であっても、例えば従業員に申請を任せてみることで、従業員の能力の引き上げを図る、あるいは将来事業承継を考えている後継者に任せてみることで、経営を引き継ぐ準備ができているか見極める材料にする、といったような使い方も可能である。

そうした意味でも、何か取り組みをする際には挑戦してみることをおすすめしたい。

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