距離を縮める! Zoomのビジネス中国語
1.はじめに
中国人とのウェブ会議ですぐに使えるビジネス中国語の基本的表現をご紹介します。
新型コロナウイルス感染症の影響で海外出張がままならないなか、ZoomやTeams等のウェブ会議が急速に普及し、いまや会議といえばウェブでという会社も増えてきました。アフターコロナになっても、恐らくリアル会議とウェブ会議が使い分けされるようになるでしょう。
そこで、ウェブ会議で話せば、中国人が「おっ!」となるような、シンプルだけど中国らしい表現をご紹介したいと思います。
補足
・中国語の発音記号(ピンイン)を覚える暇はない、とりあえず通じればいい、という方々向けに、カタカナでも読み方を示しています。ただし中国語をカタカナで示すのは本来無理があることはご留意ください。
・「※」印は中級者以上向けのちょっとマニアックな解説です。初級者は読み飛ばしていただいても結構です。
2.会議開始前
・各位早上好! / 下午好!/ 晚上好! |
<解説>
会議を始める際の挨拶として、ニーハオよりも会議らしい表現です。時間帯によって3つ使い分けます。「各位」の発音がどうしても苦手な方は、「大家」(ダージャー)のほうが言いやすいので置き換えても構いません。意味はほぼ同じですが、「各位」のほうがより正式な感じです。
・喂,听得见吗? --- 听得见。 / 听不见。 |
<解説>
通信状況を確認しあうときの鉄板フレーズです。このまま覚えましょう。「喂(もしもし)」は、語尾を上げるように言うのがポイントです。ガラの悪い人が「あ~?」と聞き返すときのイントネーションに似ています。「喂喂」と繰り返してもよいです。
※辞書では、「喂」の声調は4声「Wèi」ですが、電話やウェブ会議ではほとんど2声になります。4声でも言わないことはないものの、言い方によっては少し粗雑な印象を与えるリスクがあるので、2声が無難です。言い換え表現として、「喂,听得到我说话吗」もあります。
・人都齐了吗? --- 齐了。 / 还没呢。 |
<解説>
ウェブ会議を始める前に、参加者が揃ったかどうか確認する表現です。「人」は文字通り「人」の意味ですが、日本語より多少ニュアンスが広く、この場合は参加者になります。
※ここの「都」は、dōuとハッキリ言わず、doくらいに軽くいうようにするとネイティブらしく聞こえます。
・可以开始吗? --- 可以(啊)。 / 请稍等,李部长还没有来。 |
<解説>
定刻になっても人が揃わず、こちら側の上長もいら立ってきた。リモート時代のあるあるなのですが、そういうときは始めてよいかどうか聞いてみましょう。
「可以」の「可」は日本語に無い母音「e」のマスターが必要なので難しいのですが、それだけにきれいに発音できるようになると通じやすさが飛躍的に上がります。発音の記事ではないので実用的なコツだけ簡単にお伝えすると、「か~」と言いながら口角を横に引っ張るイメージです。
※カタカナ表記では「コーイ」と書きましたが、こもるように発音すれば広東省なまりにも聞こえるので、これはこれで使えます。
・请打开我发给您的邮件,点击链接就可以。 |
<解説>
なかなかzoomに接続できない人を、電話やWechat(中国のLINEに近いアプリ)でフォローするときの表現です。そもそも中国ではzoomがあまり普及していないので、相手が子会社のスタッフでも辛抱強く丁寧に教えましょう。
・好像有人还没到? --- 不好意思,他今天有事情不能参加了。 |
<解説>
キーマンの姿が見えない場合に尋ねるフレーズ、そして来られなくなったことを答えるフレーズです。「有人」は、ある特定の人を婉曲的に指し示すときに使える便利な単語です。この場合は、まだ参加していない重要人物を指します。「对不起」(申し訳ありません)はこういう時にはあまり使わず、「不好意思」(すみません)で済ませます。
日本語を直訳すると「他今天不能参加了」になりますが、中国語では必ず出席できない理由を何らか付け加えるのが自然です。「有事情」を直訳すると「用があって」です。直前に不参加となった理由を言わずにさらっと流すときに使います。
3.会議中
・那就开始吧。 --- 好的。/ 好吧。 |
<解説>
比較的カジュアルな打ち合わせや会議を始めるときに使います。
・现在开始营业会议。 |
<解説>
正式な会議の宣言で使う表現です。
・我现在共享屏幕。大家看得到吗? 看得到。/ 看不到。 |
<解説>
画面を共有することをお知らせし、見えているか確認するときのフレーズです。画面共有ができていないまま資料を説明すると、日本人同士でも理解が大変です。ましてや異文化交流だけに相手の理解度は激減します。ウェブ会議ならではのフレーズとして、使えるようになると便利です。
※逆に相手側が画面共有できていない場合は、「我看不到PPT」(PPTが見えていません)とお知らせしましょう。PPTはそのままで通じます。
・请打开音频。 / 请解除您的静音。 |
<解説>
音声が聞こえず、口を一生懸命パクパクさせている方がいたら、こうお伝えしましょう。これもウェブ会議あるあるの気遣いフレーズですね。「请打开音频」は直訳で「音声をオンにしてください」です。「请解除您的静音」は直訳で「ミュートを解除してください」です。言いやすいほうで覚えましょう。
なお「ミュート」は中国語で「静音」です。日本語が堪能な中国人でも、「ミュート」が通じない可能性があるので、覚えておくと便利です。(日本語のカタカナ英語は、本来の英語と発音がかけ離れているので、外国人にとって非常にハードルが高いためです)
※日本語の婉曲的な表現を直訳すると「您好像是静音状态」ですが、この場合はミュートが明らかな事実なので「好像」を付けると逆に変です。日本語では婉曲的な表現が好まれますが、中国語では直接的な表現が使われます。
・请各位保持静音。 |
<解説>
逆にミュートにしてほしい場合のフレーズです。なお、中国ではzoomがあまり普及していないので、操作に慣れてないスタッフがいてもイラっとこないようにしましょう。
・请等一下,我的电脑很慢。 |
<解説>
海外とのウェブ会議では、通信トラブルがつきものです。慌てずにこのようにお伝えしましょう。なお、「等一下」を連呼する方が時々いますが、これではなぜ待つのか相手に伝わらないので、ぞんざいに聞こえてしまいます。気を付けましょう。
・大家有没有问题? Dàjiā yǒu méiyǒu wèntí? |
<解説>
発表を終えた後に使います。ちなみに中国語の「问题」は、この場合は「質問」ですが、文字通り「問題」の意味もあります。そのため、日本語のできる中国人の方が、質問を促すときに「問題はありますか?」と言い間違えるケースが結構あります。
※教科書的には「有问题吗?」でも通じることは通じるのですが、言い方によっては失礼に聞こえる場合もあります。「有没有问题?」のほうが無難です。
4.クロージング
・今天的会议就到这里。 |
<解説>
会議を締めくくるときの決まり文句です。なお中国語を少し習った方には「今天的会议完了」と言う人もいますが、ここで「完了」を使うと違和感があります。
※より正式な会議の場合は、ちょっと難しいですが「今天的会议到此结束」という表現もあります。
・各位辛苦了! |
<解説>
中国語の「辛苦」は意味が広いので、日本語の「艱難辛苦」のように苦しい語感から、「お疲れ~」くらいの軽いイメージまであります。
※もともと中国では、「辛苦了」は政治のリーダーが民衆に対して言うような独特の語感がありました。日本語の「お疲れ様」が「辛苦了」と翻訳された結果、日常会話として浸透してきたという説があります。
・谢谢各位参加今天的会议。 |
<解説>
「谢谢」だけで締めくくっても良いですが、ちょっとカジュアルな感じになるので、会議らしくビシッと締めるときにはここまで言えると良いです。
5.おわりに
日本語を話せる中国人が非常に多いので、そもそも中国語を習得する必要がないと感じられる方は多いかもしれません。しかし、かといってありきたりな「ニーハオ」「シェシェ」だけではちょっと物足りないですよね。ウェブ会議の中国語を少しでも習得して、距離を縮めるきっかけとなれば幸いです。
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