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人材のキャリアアップをするなら、
「キャリアアップ助成金」を活用しよう

人材のキャリアアップをするなら、「キャリアアップ助成金」を活用しよう

1.キャリアアップ助成金とは

「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規で働く人のキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善に取り組んだ場合に助成される制度です。国にとっては雇用者の雇用促進や雇用条件の向上に繋げるために助成を設けているのですが、事業者にとっても、労働者の意欲や能力を向上させて事業の生産性を高めることや、優秀な人材を確保することができるメリットがあります。
条件に合致し、かつ必要な書類が提出できれば必ず受給でき、返還義務もありません。

そのため、有期雇用労働者等の処遇等を検討している場合は、ぜひ活用することをお勧めします。具体的にどのような場合に受給できるか、みていきましょう。

2.キャリアアップ助成金がもらえる条件とは?

キャリアアップ助成金は、7つのコースがあります。いずれか1つだけ選択してもいいですし、複数を実施してもかまいません。

以下に令和3年度のコースと、助成金額の具体例を紹介します。

コース

適用条件

助成金額 例(中小企業)

正社員化コース

・有期雇用労働者を正規雇用労働者に転換

・有期雇用労働者を直接雇用に転換

有期⇒正規雇用労働者に転換

57万円(1人あたり)

障害者正社員化
コース

・有期雇用労働者を正規雇用労働者
 または無期雇用労働者に転換

・無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換

有期⇒正規雇用労働者に転換

120万円(1人あたり)

賃金規定等改定
コース

有期雇用者の基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給

すべての有期雇用労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定

28.5万円(対象者が10人の場合、1事業所あたり)

賃金規定等共通化
コース

有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と
共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用

57万円(1事業所あたり)

諸手当制度等共通化
コース

・有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と
 共通の諸手当制度を新たに設け、適用

・有期雇用労働者等を対象とする「法定外の
 健康 診断制度」を新たに設け、延べ4人以上
 実施

38万円(1事業所あたり)

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

・労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置
 の 導入に伴い、その雇用する有期雇用労働者
 等について、働き方の意向を適切に把握し、
 社会保険の適用と働き方の見直しに反映させ
 るための取り組みを実施し、当該措置により
 新たに社会保険の被保険者とした

19万円(1事業所あたり)

短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者の週所定労働時間を延長するとともに、処遇の改善を図り、新たに社会保険の被保険者とした

週所定労働時間を5時間以上延長し、新たに社会保険に適用した場合

22.5万円(1人あたり)

3.キャリアアップ助成金をもらうための手続き

キャリアアップ助成金をもらうためには、手続きが必要です。事前にキャリアアップ計画を提出し、それに基づき正社員化等の取組みを実施して、それを申請してはじめて助成金が支給されます。

具体的には以下の手続きです。

1)キャリアアップ計画の作成・提出

「キャリアアップ計画」とは、有期雇用労働者等のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため、今後のおおまかな取り組みイメージ(対象者、目標、期間、目標を達成するために事業主が行う取り組み)をあらかじめ記載したものです。

計画を作成するために、具体的には以下を行います。

①計画期間を決める。
3年以上5年以内の期間を決めます。なお、実施する中で当初の計画期間内で実施できない場合は、開始日から最大5年まで延長可能です。

②「キャリアアップ管理者」を決める。
有期雇用労働者等のキャリアアップに取り組む者として必要な知識及び経験を有していると認められる方、もしくは事業主や役員がキャリアアップ管理者になることができます。
雇用保険適用事業所ごとに設置する必要があるため、事業所が複数ある場合は複数の選任が必要です。

③「有期雇用労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」に沿って、おおまかな取り組みの全体の流れを決める。
本ガイドラインには、具体的に何を取り組むべきか、配慮することが望ましい事項等が定められています。これに沿って、全体の流れを決めます。

「有期雇用労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000758164.pdf

④計画を達成するために企業が行う取り組みを決める。
いつ、誰に対してどのような対応を行うかを具体的に決めます

⑤計画の対象となる有期雇用労働者等を含む、事業所におけるすべての労働者の代表から意見を聴く。
当該計画に対して労働者の代表に意見を聞き、計画の対象となる有期雇用労働者や無期雇用労働者の意見が反映されるよう、必要に応じて計画を修正しましょう。

2)就業規則等の改定

正社員化コース等、就業規則等への規定が必要なコースを実施する場合には、就業規則の作成義務のない事業所であっても 就業規則又は労働協約その他これに準ずるものを作成する必要があります。そのうえで、必要な規定を整備して労働者に明示します。

なお、就業規則の作成義務のない事業所が就業規則を作成する場合には、支給申請前に所轄の労働基準監督署長に届け出る等の対応も必要です。

3)取り組みの実施・対象労働者への6か月間の賃金支払い

取り組みを実施し、対象者に対し、実際に6か月の賃金を支払います。
取り組みにおいては、必ず事前に作成した「キャリアアップ計画」通りに実施する必要があります。
計画通りでない場合、助成金が受給できなくなります。もし、計画とは違う取り組みをしたい場合は、必ず計画の変更をしてから実施しましょう。

4)支給申請

コースごとに定められている支給申請期間内に、支給申請書および添付書類を事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。地域によっては、ハローワークへの提出も可能です。
書類の不備があると支給されませんので、厚生労働省のホームページ等で確認しながら作成しましょう。

人材のキャリアアップをするなら、「キャリアアップ助成金」を活用しよう

出典:厚生労働省 キャリアアップ助成金HP 「キャリアアップ助成金のご案内」

https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000765576.pdf

4.キャリアアップ助成金を申請する際のポイント

申請の際に気になるポイントをまとめてみました。

(1)雇用保険適用事業所の事業主であること

助成金を受給するためには雇用保険適用事業所であることが必要です。雇用保険適用事業所であっても、過去に労働保険料を納入していない場合は受給できません。

(2)申請数に上限がある。

たとえば、正社員化コースの場合は20人まで、賃金規定等改定コースの場合は100人まで、かつ1年度1回のみと決まっています。
各コースにはそれぞれ上限がありますので、注意しましょう。

(3)3親等以内の親族は、支給対象とならない

たとえば、代表者の子供を正社員化した場合は、3親等以内になりますので、正社員コースの対象とはなりません。注意しましょう。

4生産性要件

キャリアアップ助成金は、キャリアアップとともに事業者全体の生産性を向上させる場合、その助成額または助成率が割増されます。
具体的には、助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」(※)が以下のいずれかの要件を満たしている場合に助成額が増額加算されます。

3年度前に比べて6%以上伸びていること
3年度前に比べて1%以上伸びており、金融機関から一定の「事業性評価」を得ていること

※生産性=(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数

例えば、正社員化コースで 有期雇用労働者から無期雇用労働者に転換する場合、通常は57万円ですが、生産性の要件を満たしている場合、72万円になります。
取り組みを行うと同時に、生産性向上も図ることができれば、事業の利益率もあがり、受給額もあがり、一石二鳥です。

(5)年度ごとに設定されるコースや内容が変わる

設定されるコースやコースの内容は年度ごとに見直しされます。そのため、必ず最新の内容を確認する必要があります。特に年度の切り替わり時期に実施しようとしているときは、次年度の要件でも適用されるのか十分確認しましょう。

5.困ったら専門家に頼ろう

さて、ここまでキャリアアップ助成金について一般的な内容を記載してきましたが、実際申請するとなると、わからないことも出てくるでしょう。
そんなときに頼りになるのはハローワークです。せっかく計画を作成したのに、実際に申請しようとしたらできなかった、、、なんてことにならないように、わからないことはハローワークで聞いてみるとよいでしょう。

また、書類の作成を自分でするのが難しいという場合は、社会保険労務士(社労士)に相談してみましょう。書類の作成をお願いすることができます。

6.まとめ

さて、キャリアアップ助成金についてみてきましたが、いかがでしょうか。
キャリアアップ助成金は助成金をもらうことが目的ではなく、労働者の意欲や能力を向上させて、事業の生産性を高めることや、優秀な人材を確保することが本来の目的です。本来取り組みたいことに対して助成金を活用することで、人材への投資をさらに加速させることができますし、ひいては事業拡大へもつなげることもできます。

実施後の申請はできませんので、「なんとなく使えそうだな…」と思ったら、ぜひ事前にハローワーク等に問い合わせてみることをおすすめします。

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