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  • 2021.10.13

株式会社にするメリットとデメリット

株式会社にするメリットとデメリット

事業を新たに創業される方にとって「株式会社を設立するか」「個人事業主として事業を開始するか」は非常に頭を悩ませることです。また既に個人事業主として事業をされている方は「株式会社にすることでメリットがある」という話を聞くことがあるかもしれません。しかし、株式会社にするメリットとデメリットがよくわからないという方も多いと思います。

今回は株式会社にするメリットとデメリットの両面について解説していきます。

1.株式会社にするメリット

(1)信用面でのメリット

株式会社にすることで信用度が高くなると言われます。
1990年の商法改正により株式会社設立に際して資本金として1,000万円資金を用意しなければならないという資本金規制が導入されました。(資本金規制は2000年廃止)。これにより開業届を提出すればすぐに開業できる個人事業主と違い、株式会社にすることで高い社会的信用度を得られやすいという背景がありました。

また資本金などの会社情報が登記されることや貸借対照表情報が公開されることも株式会社にすることが信用力を上げている要因になります。
株式会社にすることで会社の信用度が高くなり,新規取引先との交渉面や従業員採用で有利に働くなどのメリットがあげられます。

(2)節税面でのメリット

株式会社にするメリットを節税面から解説していきます。
節税面のメリットが生じる要因は①課税方法による税率の違い②法人経費として認められる経費の違いがあるからです。

ア.課税方法による税率の違い
個人事業主の課税方法は累進課税制度になります。累進課税制度は、所得が増えれば増える程税率が上がる制度です。
個人事業主の場合は累進課税制度が適用されるために、稼げば稼ぐほど税率が高くなるしくみになります。

株式会社にするメリットとデメリット

出典:国税庁HP 所得税の税率

それに対して法人の課税方法は法人税になります。法人税は利益がいくら増えても税率は一定税率以上にはなりません。

株式会社にするメリットとデメリット

出典:国税庁HP法人税の税率

個人事業主の場合は、所得水準が高くなるに連れて、税率も最大45%まで引きあがります。それに対して法人税の場合、税率は最大でも23.20%までになります。
個人事業主において売上が順調に推移した場合に、法人化を検討することも税金面でのメリットが得られることが大きな要因です。

イ.役員報酬計上による給与所得控除
法人の場合、社長の役員報酬は経費算入が可能です。
それに対して個人事業主の場合は事業で得たお金は「事業所得」として扱われ経費算入することは出来ません。

役員報酬は経費の中でも比較的多額になりますので、節税効果が高いと言えます。
また、役員報酬を受けた社長も給与所得控除により課税所得を引き下げることができます。

参考:給与所得控除

株式会社にするメリットとデメリット

出典:国税庁HP 給与所得控除

ここで事業所得が1,000万円の事業者を想定して具体的に考えていきましょう。

①個人事業主の場合

 税金:
 (事業所得1,000万円-青色申告特別控除65万円-基礎控除48万)×所得税率23%―控除額636千円
  =1,404,100

②株式会社において、役員報酬500万円計上している場合
 (資本金1億円以下の法人の場合)

 法人課税
  売上1,000万円―経費500万円=法人所得500万円
  税金:課税所得500万円×法人税率15%=750,000円

 個人課税
  給与収入500万円-給与所得控除144万円=給与所得356万円
     (給与所得控除:500万円×20%+44万円=144万円)
  税金:課税所得356万円×20%―控除額427,500円=284,500円

 法人税金750,000円+個人税金284,500円=1,034,500円

役員報酬500万円計上することにより個人事業主の場合と比べて369,600円の節税になります。
以上から株式会社にすることで節税面でのメリットがあることがわかります。

ウ.出張日当
出張した際に交通費、宿泊費が経費として認められることは個人事業主と法人でも共通です。
しかし、株式会社などの法人の場合、代表者に対して出張日当を付けることができることが大きな特徴としてあげられます。(ただし個人事業主の場合、個人事業主本人に出張日当は出せませんが、従業員に出張日当を出すことは可能です。)

そして出張日当をもらった代表者にもメリットがあります。それは出張日当が非課税であることです。

例)出張日当を15,000円と定めた場合
・法人は5,000円を経費計上することにより節税につながる
・代表者は出張日当として5,000円を税金がかからず受け取ることができる。

以上から出張日当は法人、代表者共にメリットが大きいと言えます。
ただし、あまり高額な出張日当は税務調査で指摘を受ける可能性がありますので、注意が必要です。

エ.青色欠損金の繰越控除
会社設立にあたり「赤字計上したらどうしよう・・・。」と考える事業者は多いと思います。会社が軌道に乗るまでは売上は不安定になり、赤字計上するリスクも大きくなります。
赤字計上した場合「青色欠損金の繰越控除」という制度を利用することにより、その年に発生した赤字を、翌年以降に発生した利益と相殺することができます。

これは青色申告を行っている個人事業主でも利用可能な制度ですが、繰越出来る期間が違います。個人事業主は3年間利用可能に対して、法人は最大10年間利用可能です。青色欠損金の繰越控除を10年間利用できることは株式会社の大きなメリットです。

赤字決算自体は良いことではありませんが、創業当初など初期投資が嵩み赤字計上が見込まれる企業にとっては大いに活用ができる制度と言えるでしょう。

<繰越欠損ができる期間:平成28年度税制改革による改正>

欠損金が発生した事業年度

繰越できる期間

平成204月~平成30331日以前

       9年間

平成314月以降

       10年間

2.株式会社にするデメリット

資本金規制が無くなり株式会社設立のハードルは下がりました。しかし、安易に株式会社を設立した場合、思わぬ落とし穴があります。
ここからは株式会社にするデメリットを解説していきます。

(1)会社設立コスト

株式会社にするデメリットに設立費用が高いことがあげられます。

<株式会社と合同会社の設立費用>

株式会社

合同会社

定款用収入印紙代

40,000

40,000

定款の認証手数料

50,000

0

定款の謄本手数料

2,000

0

登録免許税

150,000円または資本金額の
0.7%のうち高い方

60,000円または資本金額の
0.7%のうち高い方

合計

242,000

100,000

・電子定款を利用した場合は定款用収入印紙代40,000円を節約することができます。

株式会社設立費用として最低でも242,000円(電子定款利用時は202,000円)はかかります。それ以外に法人印作成費用、司法書士などに設立依頼した場合は手数料などが別途かかります。
設立費用を抑えられる合同会社と比べて株式会社は設立費用が高いことが言えます。

2)社会保険に強制加入

個人事業主の場合、常時雇用している社員数が5名以下であれば社会保険加入は任意となっています。しかし、法人では従業員を雇わない社長一人の法人でも役員報酬を支給する際には社会保険への加入は義務となります。社会保険料は厚生年金と健康保険料の2つを会社と従業員が折半で負担するために、会社の資金繰りに影響を与えます。社会保険に加入していない個人事業主が法人成りする際には特に注意しなければなりません。

3)その他

・株式会社には決算公告義務があります。(個人事業主や合同会社では決算公告義務はありません。)
・法人住民税の均等割は赤字計上しても毎年課税されます。資本金の額や従業員数によって変わりますが最低でも7万円程度の税金が毎年課税されます。

3.まとめ

株式会社にするメリットとデメリットを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。まずは「自分の会社をどうしていきたいか」という今後の方向性を踏まえた上で、株式会社のメリットを享受できるのか?デメリットの方が大きいのかを比較検討されることをおすすめします。

髙岡 健司

髙岡 健司

PROFILE

ライター,コンサルタント
1975年生まれ,栃木県出身。埼玉大学経済学部卒業
2020年中小企業診断士登録
地方銀行を24年勤務後、現在は総合病院で経理事務を担当。
得意分野は資金繰り及び財務改善支援。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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