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  • 2021.09.17

会社の健康診断ツール
「ローカルベンチマーク」とは?

会社の健康診断ツール「ローカルベンチマーク」とは?

ローカルベンチマークとは

「どうも最近、経営がうまく行っていない気がする」「金融機関との話し合いがあるが、自社をどうアピールすればよいのか悩んでいる」「経営に携わる立場になったが、自社のことが分からなくなってきた」・・・

中小企業の経営を行う上で、さまざまな悩みが尽きません。その理由のひとつに、経営の“見えにくさ”が挙げられるでしょう。自分の会社のことですから熟知しているはずなのに、部門ごとの業務と数値の因果関係や、そもそも自社が他人の目にどう映っているのかなど、わかっているようでわかっていないことは多いものです。簡単に、自社を客観的に見つめ直す方法はないものでしょうか?

そんなときに活用したいのが、経済産業省が作成・提供している「ローカルベンチマーク」です。たったA4横サイズ・3枚のエクセルシートを埋めていくだけで、経営全体が「見える化」できる、シンプルながら優れたツールです。
国が作ったツールだからこその安心感のもと、自社の現状認識、つまり「健康診断」を行うことで、悩みや不安の解消につながります。また金融機関や各支援機関にも広く知られたツールであるため、作成したローカルベンチマークを元に、ステークホルダーと共通言語、すなわち同じ目線で話し合うことができます。

シートは経済産業省のホームページから、簡単にダウンロードできます。なおこのホームページは各種マニュアルや、動画解説が豊富に紹介されています。

(参考)経済産業省「ローカルベンチマーク」ホームページ
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/

シート構成は、

・財務分析シート
・非財務分析シート①「業務フロー、商流」
・非財務分析シート②「4つの視点、まとめ」

3枚です。
それではさっそく記入していきましょう。

財務分析シート

財務情報を入力・分析するシートです。
入力するのは、社名や所在地、業種、従業員数や資本金といった基本事項のほかは、

売上高、前期売上高、営業利益、減価償却費、現金・預金、受取手形、売掛金、棚卸資産、負債合計、支払手形、買掛金、借入金、純資産合計

以上の直近3期分の数値を入力するだけです。すると、

1. 売上増加率(売上持続性)
2. 営業利益率(収益性)
3. 労働生産性(生産性)
4. EBITDA有利子負債倍率(健全性)
5. 営業運転資本回転期間(効率性)
6. 自己資本比率(安全性)

これら1~6の各指標が自動計算され、さらに「評価点数」がつきます。実はこのエクセルシートには全国10万社の経理データをもとに、同業種・同規模企業の中央値を3点とした参照データがインプットされているため、自社の指標が05点で評価されるのです。

最終的に各指標はレーダーチャートで表示された上、ADのランクで「総合評価」されます。これだけでも、自社の姿が「見える化」されたことを感じとれるのではないでしょうか?

会社の健康診断ツール「ローカルベンチマーク」とは?

3枚のシート(出典:経済産業省・最新のローカルベンチマークツールより加工)

非財務分析シート①「業務フロー、商流」

続いて2枚目のシート、非財務分析の「業務フロー、商流」シートです。ここからは数値でなく、記入欄に文章を記入する形になります。

まずシート上部の「業務フロー」では、業務①から⑤まで、「業務名」「実施内容」「差別化ポイント」を記入していきます。「実施内容」は、それぞれの業務で行っていることを具体的に記載します。「差別化ポイント」では、その業務で自社が工夫している点、こだわっている点、他社と異なる点について記載します。
この作業で、自社が提供している製品・商品・サービスが自社の中でどのようなプロセスを経て提供されているかについて、おのずと「見える化」しながら理解することになります。さらに「差別化ポイント」を深掘りしながら記入することで、自社の強みや、強みの基となるポイントを発見できます。

「差別化ポイント」については、自社が日常の業務としてあたりまえに行っていることについては、実際には他社と差別化や工夫されている点であったとしても、そうだと意識できないこともあります。しかし「業務フローの中で一番重要な業務は何?」「お客様が自社を利用するのはなぜ?」など視点を変えながら「なぜ」を繰り返すことで、気付くことがあるはずです。業務フローには企業の「魅力」が数多く詰まっているのです。

そして業務①から⑤の最後に、「提供内容/顧客提供価値」を記入する欄があります。自社の提供物の内容については、すらすらと答えられるでしょう。しかし「顧客提供価値」については、はっきりと答えるのは難しいはずです。

「顧客提供価値」を記入する際には、

・自社は何で社会の役に立っているのか?
・何をめざし、どのような姿になるべきなのか?

といった点を突き詰めて考えることになります。

シートの下部は「商流」部分です。
「仕入先」「協力先」「得意先」「エンドユーザー」の4項目について、それぞれ「社名・取引金額・内容等」「選定理由」を記入します。

「仕入先」については、なぜ自社はこの仕入先から仕入れているかを、改めて考えてみてください。例えば、価格の安さ、そこでしか調達できない希少性などさまざまな理由があるはずです。では先ほどの業務フローで見た「差別化ポイント」と、仕入先の良い点は、つながっているでしょうか?

「得意先」についても同様です。なぜ先方は、自社を選んでくれているのでしょうか?業務フローに記載した自社の魅力が十分に伝わっているからでしょうか?
「業務フロー」と同様に、「商流」の記入においても、項目や各シートのつながりを常に意識しましょう。

非財務分析シート②「4つの視点、まとめ」

続いて3枚目のシート、「4つの視点」部分です。ここでは「経営者」「事業」「企業を取り巻く環境・関係者」「内部管理体制」の4項について、各34問の設問の回答を記入します。

「経営者」欄には、経営理念・ビジョン、経営意欲(成長志向)、後継者の有無や育成状況を記入します。まずは経営者自身の考えを整理することになります。
「事業」欄には、企業及び事業沿革とターニングポイント、強み、弱み、IT投資や付加価値向上に向けた取り組みを記入します。

「企業を取り巻く環境・関係者」欄は、市場動向や競合他社との比較、顧客リピート率や新規開拓率、従業員定着率や平均給与、取引金融機関数や推移を記入します。
「内部管理体制」欄は、組織体制や品質管理体制、事業計画の有無や従業員との共有状況、研究開発体制、人材育成体制について記入します。

そしていよいよ最後の「まとめ」部分です。
「現状認識」と「将来目標」、それを達成するための「課題」と「対応策」をまとめます。
これまでの各シートの設問に、十分に考えて回答していれば、自然に現状と将来目標、課題と対応策が記載できるほど、企業の事業や魅力について理解できている状態になっているでしょう。

「現状認識」の記入にあたっては、シート1の財務分析結果と、シート2,3の非財務(業務フロー、商流、4つの視点)分析結果、それぞれの内容の「関係性」をもう一度確認してみてください。業務フロー、商流、4つの視点の関係を、あらためて簡単な図に描いて整理してみてもいいでしょう。整理する際には「ストーリー化」することを心がけてください。

「ストーリー化」とは、例えば

・経営理念や社長の思いが、このような強みを生み、このような価値を提供している
・他社にない品質管理体制が、強みの源泉となり、顧客リピートを獲得している

などです。

現状が整理できたら、さらに「将来目標」とのギャップを認識し、それを埋めるための「課題」と「対応策」を明確に記入していきます。

おわりに

いかがでしょうか?足早にローカルベンチマークの記入法を見ていきました。

今回は、経営者が自分で記入する形でまとめていますが、実際には支援機関や中小企業診断士などと「対話」しながら作成することをお勧めします。その方が自分では気づかない自社の強みや弱みを、より明確にできる可能性が高いからです。

そしてローカルベンチマークで経営を「見える化」でき、課題と対応策が決まれば、社員や支援機関にも伝わるよう「事業計画書」としてまとめることをお勧めします。それは補助金・助成金の申請の際にも役立つものとなるのです。

渡辺 英史

渡辺 英史

PROFILE

ライター、コンサルタント
東京都中小企業診断士協会 城東支部所属。

福岡生、熊本育ち。上智大学卒業後、大手メディア企業に入社。広告マーケティング・調査、営業、企画開発・イベント運営、ウェブ記事配信、データベース事業等に携わる。現在は新聞系IT企業勤務。2020年中小企業診断士登録、有資格司書。


お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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