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  • 2021.07.16

今日から使える交渉術

今日から使える交渉術

ビジネスを行う上で欠かせない交渉

取引の条件を決めるときや、トラブルを解決するときなど、ビジネスにおいてはさまざまな場面で交渉が行われます。
交渉は、自分の主張や要求を相手に押し通すことであると考えている方も少なくないと思います。また、交渉は結局「自己主張の強い声の大きい人」が勝つと考えている方もいるかもしれません。

しかし、このような考えで交渉を行い続けると、個々の交渉では自分に有利な結果で終わったとしても、長い目で見ればそれ以上の不利益を被るおそれがあります。なぜならば、ビジネスは継続した活動である以上、自己の主張を展開するだけの交渉を行うと相手方との信頼関係が失われるからです。
交渉にもセオリーがあります。そこで、今回は交渉の基本についてご紹介いたします。

交渉はお互いが「win‐win」となるための
コミュニケーション

交渉とは、何らかの利害の対立が生じている当事者間において、対話や議論を通じて合意に向かうためのコミュニケーションであるといえます。
交渉とはコミュニケーションですので、交渉の際に自分がどのような要求をしようとしているかを把握することも重要ですが、それ以上に相手がどのようなことを考えているかを検討することが不可欠となります。
具体的な事例をもとにして考えてみましょう。

【事例】

ある姉妹が1個のオレンジをめぐってけんかをしています。お互いに1個分のオレンジが欲しいので、半分ずつ分けるという解決はできそうにありません。しかし、このけんかはすぐに解決することができました。なぜすぐにこのけんかが解決したのでしょうか。

この事例では、一見すると姉も妹も1個のオレンジを欲していてけんかは解決できないように思われます。ところが、実は姉はマーマレードを作るためオレンジの皮が必要であったのに対し、妹はオレンジジュースを作るためオレンジの果肉が必要であったのです。互いが必要とするものが異なることが具体的に明らかになったので、けんかがすぐに解決したのです。

このように、一見するとお互いの要望が対立しており到底交渉がまとまらない場合であっても、相手の要望の真意を踏まえると実はお互いの要望が両立するということが明らかとなり、交渉が成立するというケースがあります。
そして、お互いの要望がともに実現する形で交渉が成立するということは、双方とも望んでいた状態が実現することを意味します。

すなわち、交渉とは一方が勝者で他方が敗者となるものではなく、お互いが「win‐win」となるためのコミュニケーションを目指していくものなのです。
そして、「win‐win」となるためのコミュニケーションを行うためにも、相手がどのような要望を持っているのかなどを考えていることが極めて重要となるのです。

交渉の前にBATNAを把握する

交渉の前には、相手が考えていることの検討以外にも準備すべきことがあります。そのうちの一つにBATNAがあります。BATNA(バトナ Best Alternative to a Negotiated Agreement)とは、相手の提案に合意する以外の選択肢の中で、一番良いものをいいます。BATNAについて、具体的に事例で考えてみましょう。

【事例】

あなたは、自分が所有する自動車を売却しようとしています。P社に自動車の見積もりを依頼したところ、100万円で買い取るとのことでした。あなたはP社に自動車を売却すべきでしょうか。

この事例では、110万円で自動車を買い取ってくれる業者があればそちらに自動車を売却するべきですし、ほかの業者は90万円でしか買い取ってくれないのであれば、P社に売却するべきでしょう。
そうすると、P社に自動車を売却するべきかどうかは、P社の提案に応じる以外の選択肢のなかで一番良いものが、P社の提案よりも良いかどうかによるということになります。

相手の提案よりも自分にとって良い内容のBATNAがあるということは、自信をもって相手の提案を拒否できるということを意味します。これは、自分が相手方よりも有利な立場にあるということを意味します。逆に相手の提案よりも自分にとって悪い内容のBATNAしかない場合は、基本的には相手の提案を受け入れざるを得ないということになり、自分が相手方よりも不利な立場にあるということを意味します。

このように、BATNAを把握することで自分が相手に対し、有利な立場にあるのか不利な立場にあるのかを把握することができるのです。このため、合理的な交渉を進めるためには、自分はどのような選択肢をとることができるのかを交渉の前に把握しておく必要があるのです。

また、相手のBATNAを把握することができれば、自分の提案を相手が受け入れざるを得なければならない状態なのかどうかが分かります。そして、相手が自分の提案よりも悪い内容のBATNAしかないのにそのことを理解していないときは、相手に自分の提案を受け入れる以外のベストチョイスがないことを説明することで、相手に自分の提案を受け入れてもらうことができます。

今日から使える交渉術

交渉で重要となる最初の提示条件

交渉で最も重要な場面は、最初に条件を提示するときです。事例で考えてみましょう。

【事例】

家電メーカーのQ社は、新製品の掃除ロボットを販売することとなりました。Q社としては、新製品を卸売業者に販売する際は、1個10万円であれば妥当な価格であると考えています。では、Q社は卸売業者にいくらで販売することを提示すべきでしょうか。

Q社は、新製品の掃除ロボットの販売価格について、卸売業者と交渉をしなければなりません。
この場合、いきなり妥当な価格である10万円をQ社が卸売業者に提案するのではなく、「ぼったくり」とはいえない程度に高い価格をまずは提示し、その後、譲歩をしていくというプロセスを経るべきです(あまりにも高い価格を提示してしまうと、かえって相手の信頼を損なうため、長期的にビジネスを継続していくうえで支障が生じてしまうので注意が必要です。)。

例えば、Q社が新製品の掃除ロボットの価格を20万円と卸売業者に提案し、交渉の結果、12万円で販売することになったとしましょう。
Q社が最初から10万円を提示していたのであれば、卸売業者は「2万円も高く売りつけられた。」と不満に思うかもしれません。しかし、Q社が20万円を提案し、最終的に12万円となったのであれば、卸売業者は「8万円も値引きしてくれた。」と満足するでしょう。

このように、卸売業者は最初にQ社から提案のあった価格を基準として考えます。最初に提示された条件を基準にして考えることを、アンカリングといいます。
そして、最初に提示した条件から譲歩をする際も、なるべく相手にとって重要ではあるものの、自分にとってはさほど重要ではない条件から譲歩していくのもポイントです。(例えば、事例の場合、卸売業者が1000個買い取ることを条件に20万円から12万円に値引きするというQ社による提案は、Q社にとっては価格面こそ譲歩していますが、大量に販売することができるのでむしろメリットとすらいえます。)

相手に満足感・納得感を与える交渉を

上記のほかにもさまざまな交渉のポイントがあります。とはいえ、交渉が合意に向けたコミュニケーションである以上、相手を徹底的に分析したうえで、どうすれば相手に満足感・納得感を持ってもらう解決ができるかを模索していくことが交渉の本質であると考えてよいでしょう。
本稿が参考になれば幸いです。

武田 宗久

武田 宗久

PROFILE

ライター,コンサルタント
1978年生まれ,大阪府出身。京都大学大学院法学研究科修了
2011年弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2020年中小企業診断士登録

債権回収や離婚等の一般民事事件を担当する一方,大阪の中小企業や自治体を元気にするため,法務・労務を中心とした支援に取り組む。著書に『改正民法対応!自治体職員のためのすぐに使える契約書式解説集』(令和2年,第一法規,共著)など。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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