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  • 2021.03.15

英語で読む財務諸表

英語で読む財務諸表

1. はじめに

慣れないとただでさえわかりにくい財務諸表。それが英語であればさらに難解に感じてしまう方も多いことでしょう。しかしながら、おおむね世界共通の枠組があるのもこの分野の特徴、一旦入り込んでしまえば思ったほど難解でもないことに気づかれるのではないかと思います。

本稿では、財務諸表に関する一定の知識をお持ちで、英語の財務諸表を見慣れていない人を対象に、財務諸表における英語表現を解説したいと思います。

2. 財務諸表(Financial Statements)

財務諸表のことはFinancial Statementと言います。Stateというのは「記述する」という意味の動詞で、それが名詞化したものがStatementとなります。ご承知の通り、企業の財務状況を示す一連の書類です。

企業グループ全体で経営成績を公開する会社も多くなってきました。いわゆる連結会計ですが、このときの連結はConsolidatedと言います。Consolidateというのは統合する、という意味を表す動詞ですが、それが-edがついて形容詞化し、いろんな会社の財務諸表を統合したもの、つまり連結財務諸表、という意味になります。

連結貸借対照表はConsolidated Balance Sheet、連結損益計算書はConsolidated Profit and Loss Statement、連結キャッシュフロー計算書はConsolidated Cash Flow Statementと言います。
財務三表それぞれについて、以下ではその明細の中で使われる英語表現について見ていくことにします。

3. 貸借対照表(Balance Sheet)

会社の持つ資産状況を表します。資産のことはassetと言います。
流動資産(Current asset)と固定資産(Fixed asset)に大別されます。
Currentが川の流れや電流など流れるものを表す言葉であることを知っていればCurrent assetという単語を見れば流動資産をイメージしやすいです。また、Fixは固定を表す意味ですので、Fixed assetが固定資産というのも掴みやすいと思います。

負債はliabilityと言います。これは責任を表す言葉ですが、金融機関などから借り入れているお金を返済する責任がある、というようなイメージで捉えるといいです。保険の中でPL保険というものがありますが、これはProduct Liability(製造者責任)のことで、そういう言葉の意味を知っておくと理解が進みます。liabilityの頭にCurrentFixedをつけることで、流動負債(Current debt)、固定負債(Fixed debt)と表現することができます。

また、BSの中で重要な項目に売掛金、買掛金がありますが、これはそれぞれReceivablePayableといいます。売掛金の場合は、顧客に商品を販売して近い将来に受け取る権利のあるお金という意味でReceivable、買掛金はその逆で支払うべきお金という意味でPayable、と理解するといいと思います。また、棚卸資産のことはinventoryと言います。

そのほか、貸借対照表に出てくる代表的な明細についての英語表現は以下の通りです。

資産の部

Asset

現金及び現金同等物

Cash and cash equivalents

Equivalentは同等を表す単語です。

売掛金

Account receivables

未回収の売上を言います。このうち、手形についてnotes receivableとして別建てで記載することもあります。

前払費用

Prepaid expenses

有価証券

Marketable securities

Securityは証券の意味です。

有形固定資産

Property, plant and equipment:

日本語のように有形という言い方はせず、有形固定資産の種類を羅列する言い方をします。略してPPEとも言います。

建設仮勘定

Construction in progress

建設会社などは完成工事高に合わせて売上を計上することがあります。この科目に対する言い方です。

負債の部

Liabilities

流動負債

Current liabilities:

短期借入債務

Short-term borrowings

長期借入債務

Long-term debt

買掛金

Accounts payable

未払費用

Accrued expenses

Accruedとは発生したという意味ですが、当該期に発生したがまだ支払いを終わっていない費用について言います。

未払法人税

Income taxes payable

払うべき法人税であり当該期に計上すべき費用です。

固定負債

Long-term liabilities:

長期借入債務

Long-term debt

未払退職・年金費用

Accrued pension and severance costs

Accrueとは発生するという意味です。現時点で発生していないが負債として当期に認識すべき費用をこの科目で示します。Pensionは年金を意味します。Severanceとは、契約解除の意味で、退職者への支払債務のことを言います。

繰延税金負債

Deferred income taxes

Deferは延期する、という意味です。

資本の部

Equity

株主資本

Shareholders' equity

資本のことをequityと言いますが、株主(Shareholder)に帰属するためこの言い方となります。

利益剰余金

Retained earnings

Retainは保持する、という意味です。これまで稼いできた利益(earning)を積み上げたものです。

自己株式

Treasury stock

Treasuryは金庫という意味です。自社の金庫に保管する株、のようなイメージでしょうか。自社株を買う、とはbuy back sharesと言います。

非支配持分

Noncontrolling interests

非支配持分はその名の通り当該社のコントロールが及ばないためこういう言い方をします。

4. 損益計算書(Profit and Loss Statement)

売上高

Sales

Revenueと示すこともあります。

売上原価

Cost of products sold

COGsと書くこともあります。

販売費及び一般管理費

Selling, general and administrative

SGAと書くこともあります。

減価償却費

Depreciation

Amortization

-prec-は価値を表しますが、それに減るという意味のDe-が語頭について減価するという意味の言葉になります。

のれんなど無形資産の償却の場合はAmortizationとして区別されます。

営業利益

Operating profit

会社を経営することで得られている利益といったニュアンスですね。

支払利息

Interest expense

利息はinterestと言います。Expenseは支出を表す名詞です。

経常利益(損失)

Ordinary income(loss)

通常の運営をしていて経常的に得られる利益(損失)という意味合いです

特別利益(損失)

Extraordinary profit

日本語では特別、と表現しますが、英語では通常(ordinary)でない、という表現をします。

減損損失

Impairment loss

特別損失で計上される損失ですが、減損はImpairmentと言います。

税引き前当期純利益

Income before taxes

税(tax)が賦課される前の利益(income)という意味ですね。

当期純利益

Income after tax

上記と逆で、税を引いた後の純利益となります。

損益計算書に関連して、損益分岐点のことはbreakeven pointと言います(breakevenはこれで1語です)

5. キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)

間接法では税引前当期純利益からスタートしてさまざまな科目を足したり引いたりして計算されています。そこに出てくる代表的な表現を以下に示しています。
4. 損益計算書に出てきた表現は重複するので表示していません)

営業活動からのキャッシュフロー

Cash flows from operating activities

売掛金増減

Change in accounts receivable

日本語では増減と言いますが、changeと表現しています。

棚卸資産増減

Change in inventories

同上

仕入債務増減

Change in accounts payable

同上

運転資金増減

Change in working capital

運転資金はWorking Capitalと言います。

投資活動からのキャッシュフロー

Cash flows from investment activities

有形固定資産の売却

Proceeds from sales of fixed assets

Proceedsとは収益という意味を表す単語です。売却して得たというニュアンスです。

有形固定資産の取得

Additions to fixed assets

キャッシュアウトの項目です。固定資産を追加するという意味でadditionを使います。

財務活動からのキャッシュフロー

Cash flows from financing activities:

配当金

Dividend to shareholders

配当金はdividendといいます。

長期借入債務の増加

Proceeds from issuance of long-term debt

長期借入債務の返済

Payments of long-term debt

短期借入債務の増加

Increase in short-term borrowings

自己株式取得

Treasury stock purchases

自己株式はTreasury stockといいます。

6. 用語は実はまちまち

実は英語の財務諸表の場合、上記で記載した言い方以外にもいろんな言い方があります。たとえば、利益を表すのもProfitを使ったり、上記の例のようにIncomeを使ったりします。但し、基本的な財務諸表の構造を知っていて、キーとなる用語を知っておけば、内容を読み解くのはそんなに難しくはありません。
表記のゆらぎに惑わされず、その企業における自分の見たい数字を探しにいくようなイメージで財務諸表を見ると、1つの財務諸表から得られる情報も格段に増えます。

7. おわりに

いかがでしたでしょうか。
筆者の経験では、財務諸表に出てくる英語については、習うより慣れろ(Practice makes perfect)、無理やり覚えようとするよりも、実務の中で何度もその単語に出くわすことで自然に慣れていきます。

ただでさえある程度の知識が必要な財務諸表、それを他の言語で理解しようというのはそれなりに高いハードルですが、見た目ほどではありません。
本稿がそれを乗り越えられるきっかけになれば幸いです。

安田 雅哉

安田 雅哉

PROFILE

ライター、コンサルタント

1970年生まれ、鳥取市出身
京都大学大学院工学研究科機械工学専攻修了
2018年ファイナルシャルプランナー1級取得
2020年中小企業診断士登録

プラント建設会社、電機会社を経て現在は総合商社で東南アジアに駐在し経営管理を担当。得意分野はプロジェクトマネジメント、業務改革、ファシリテーション、貿易実務、売買契約。

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