ビジネス英語 これが言いたい! ビジネスで使いたいちょっとした英語表現2
1.はじめに
前回も同じタイトルで紹介させていただきましたが、その続編として使える英語表現をご紹介します。
前回はビジネスそのものにおける英語が中心でしたが、本稿では、ビジネスに付随する様々なイベントを取り上げてみます。日本の教室では習うことが少ないという背景があるせいか、知らない言い回しが多々あるのに気づかれるかもしれません。でも知っておけば役に立つことは間違いないと思います。会話で使う言い回しを中心に記載していますので、少し覚えれば、さっそく使えます。
特に、「日本人が使う英語」という観点で活用しやすい表現を集めたつもりです。逆に、英語を母語とする人々の使う慣用句的な表現は経験上、筆者も含めた一般的な日本人には使いにくいので、前回と同様に極力避けるようにしました。
2. シチュエーション別・使える表現
■オンライン会議で
・今日はオンラインで会議を行います。まずは注意事項を説明します。
-Today’s meeting will be online. First of all, I would like to talk about some Dos and Don’ts.
(解説)この数か月で一気に普及した感のあるオンライン会議。読者の方が主催することもあるでしょう。そのときに使える表現です。オンラインならではの注意事項もあり、知っておくに越したことはないでしょう。
・オンラインでは反応が見えづらいです。反応をオーバー気味にしてください。
-Your rection cannot be seen through the display. Please exaggerate your reactions.
(解説)こういうことを事前に言う必要があるのは日本人だけかもしれません。
・マイクはミュートにしてください。
-Please mute your microphone when you are not speaking.
(解説)これは言うまでもないでしょう。マイクのことは、日本語と同様に、単にMicということもあります。
・ブレークアウトルームに皆さんをご案内します。
-I’m going to put you into different break out rooms.
(解説)これも使いそうな言い回しです。ブレークアウトルームに送る、というようなニュアンスでのI’m going to put…という言い方になります。
・ブレークアウトルームでは番号の若い順から自己紹介を行ってください。
-Once in break out rooms, please introduce yourself.
Use the numbers allocated to you to determine who should start, lowest number going first/,
beginning with the lowest number first.
(解説)大人数のセミナーの合間に小グループを作ってワークをする場面を想定しています。日本人ばかりだと誰から自己紹介?という風になってしまうかもしれないのでこういう表現を準備しましたが、日本人以外の人たちが入っている場合は心配はいらないかもしれません。でも時間などをコントロールしたい場合はこうして番号順に自己紹介をしてもらうこともあるでしょう。
■プレゼンテーションの際に
・今回は○○について触れたいと思います。
-Today I am going to touch upon ( ).
(解説)○○について話す、と言いたい場合、( )に入るのはinflation in 2020とかdeciding the
marketing strategy など、名詞あるいは動名詞となります。
・では、…
-Now,…
(解説)よく使われる表現です。文字通り「いま」という意味もありますし、「さて」とか「では」など、話題を膨らませるときに使える便利な表現です。
このあとに、moving on, let’s now look at….(では話題を移して今後は…について見ていきましょう)などと繋げていきます。
■普段の仕事で
・わが社の社長が御社を表敬訪問します。
-Our president will make a courtesy call to your company.
(解説)表敬訪問はcourtesy callと言います。
・この件は私に任せてください。
-Leave it with me.
(解説)手続きなど少しややこしい案件を頼まれた際、自分の裁量に任せてもらうことを申し出る表現です。こう言われると大船に乗ったような気がして非常に安心できます。
・お客様を工場にご案内してください。
-Please usher the guest to the plant.
(解説)customer、guestともに日本語に訳すとお客さんとなりますが、customerは製品やサービスを購入してくれる対象、guestは会社を訪問してくれた他社の人、といったニュアンスですので区別して使います。ここでは、来客のことですからguestを使うことになります。また、ご案内する、というのはusherという動詞が使えます。
■避難訓練で
・今度の金曜日に避難訓練を実施します。
-We will have an emergency drill this coming Friday.
(解説)日本と同様、災害はいつ起きるかわかりません。万が一のときに備えて避難訓練を行うこともあるかもしれません。そのときに使う表現です。
・アラームが鳴ったら全員建物から退避してください。
-Everybody must evacuate the building in an orderly manner when the alarm rings.
(解説)建物から避難する、というのはevacuateという単語を使います。建物から離れて建物を空にする、というイメージです。
・訓練中は電子タバコも含めて禁止です。
-Smoking or vaping is not allowed during the emergency drill.
(解説)電子タバコはvapeと言います。
以下のように言うこともできます。
-Please do not smoke or vape during the emergency drill.
-Please refrain from smoking or vaping during the emergency drill.
・全員退避したことを確認するためにこれから点呼を取ります。
-To make sure everyone has safely evacuated the building, we will now take a roll call.
(解説)点呼はRoll callと言います。
・避難の際はヘルメットと蛍光ベストを着用してください。
-When you evacuate, please wear your hard hat and luminous vest during evacuation.
または
-Hard hats and luminous vest must be worn at all times during evacuation.
(解説)helmetという単語もありますが、避難用や工事現場で使うようなヘルメットはhard hatと言います。helmetはスポーツ等で使うヘルメットを指し、若干ニュアンスが異なります。蛍光はluminousを使います。
・はい、仕事に戻ってください。
-Okay, please just get back to work.
(解説)これは訓練が終わって締めくくるときに使いたい言い回しですね。
■職場のイベントで
・今度の金曜日に新年会を開催します。
-We are going to have a new year party this coming Friday.
(解説)willとの比較において、be going toは必ず実施することを言うときに使われるようです。ただあまり厳密なものではないので、どちらを使っても間違いではありません。
・まずは壇上にXXXさんをご案内し、スピーチをお願いしたいと思います。(司会者アナウンス)
-To begin proceedings, I’d like to invite XXX to give the opening address.
(解説)スピーチspeechとも言いますが、公式なあいさつの言葉の場合は、addressを使うことが多いようです。ちなみに司会者はChairmanと言います。壇上に案内して、という意味でto stageを挿入することも可能ですが、特に言わなくてもわかるので言わないことでもいいようです。
■医療関連
・彼女は妊娠して産休をとるようです。
-She is pregnant and has applied for maternity leave.
(解説)妊娠する、はpregnantと言います。産休を取った結果として現在もオフィスにいない、というニュアンスを表すために、has appliedと現在完了形を使っています。
・彼は子供が生まれるのに合わせて育休を取るようです。
-He is now to be a father and he will take paternity leave.
(解説)母親の産休maternity leaveに対して、父親の場合はpaternity leaveと言います。
・出産予定日は2021年12月24日です。
-The baby is due on 24-Dec’21.
(解説)出産予定を言うときはbe dueという言い方を使います。
・会社で健康診断を実施します。
-The company requires you to undergo a medical checkup.
(解説)健康診断はmedical checkupと言います。
・彼は腎臓結石と診断されてしばらく入院することになりました。
-He was diagnosed with Kidney Stones and has been hospitalized for some time.
(解説)診断される、はbe diagnosed、入院する、はbe hospitalizedと言います。例文では入院していまもオフィスに出てきていないという状況を表すために、過去の出来事の結果、ある状態が現在まで続いていることを表す現在完了形を使っています。チームの重要な人が病に倒れると人のやりとりも大変になります。できればこのような言葉は使う場面が訪れてほしくないものです。
3.知っておくと便利な単語
最後に取り上げた医療に関連し、日本の本社からの海外赴任ということであれば、現地の病院にお世話になることもあるかもしれません。以下に関連した単語を記載していますので参考にして下さい。
病院の診療科(Department)の呼び方を以下に列挙しています。
ほとんどが日本人にはなじみがなく、また発音も難しいのでなかなかハードルが高いですが、ある程度見覚えがあるくらいにしておいたほうが安心ですね。
ただ、英語で生活しているネイティブスピーカーでも何て言うんだっけ?と迷うことがあるようなので、完璧に覚えていなくても生活はできそうです。
耳鼻科 |
ENT (Ear, Nose , Throat) |
内科 |
Internal medicine |
眼科 |
Ophthalmology |
泌尿器科 |
Urology |
心臓外科 |
Cardiology |
整形外科 |
Orthopedics |
小児科 |
Pediatrics |
放射線科 |
Radiology |
皮膚科 |
Dermatology |
健康診断でおなじみの検査についての表現は以下の通りです。
心電図 |
ECG (=Electro-Cardiogram) |
レントゲン |
X ray |
胃カメラ |
Gastric camera |
体重測定 |
weight check |
尿検査 |
urinary test |
PCR検査 |
swab test |
その他、医療関係では日常的に使うと思われる医療系の単語も挙げておきます。
意外と会話でよく使うので知っておくといいと思います。
注射 |
inoculation 予防接種 flu jab また、「注射」を直訳するとinjectionとなりますが、これは注射を打つという行為そのものを指します。 |
処方箋 |
Prescriptions |
糖尿病 |
Diabetes |
緑内障 |
Glaucoma |
白内障 |
Cataracts |
痛風 |
Gout |
痔 |
Hemorrhoids |
4.留意事項
前回の繰り返しになるのですが、筆者の経験上、重要なポイントだと思いますので、実際にビジネスの場で英語を使うにあたり気をつける点を以下に再掲します。
・英語を母語としない人との会話は平易な言葉で
英語で話す対象は英米人や豪州人など英語を母語とする人ばかりとは限りません。英米で使うような慣用句は、英語を母語としない人には通じないこともあります。何となく雰囲気でわかる言葉もあるようですが、平易な単語でオーソドックスに伝えたほうがいい場合のほうが多いです。
・話す内容を明確にする
特に何かを説明する場合に顕著ですが、ビジネスにおいては、きれいな英語を話すよりも、話す内容に何を盛り込むか、ということが重要です。そもそも英語「を」使ってビジネスをする、ということであって、主はあくまでもビジネスです。伝わらなければ意味がありません。
まずは伝えたい内容を事前に頭の中で整理をした上で説明をするのが望ましいです。
・流暢さは必要ない
会話にはリズムがあるので流暢であることに越したことはありませんが、ことビジネスにおいては、必要なことを伝える、必要な情報を得る、という目的がありますので、流暢さという表の部分は気にしなくていいと思います。
・むしろ日常会話のほうが難しい
ビジネス上の英語でのやりとりはテーマが決まっていますので一定の業界用語や専門用語に平易な表現を知っていれば多くの部分が対処できます。
むしろランチタイムや懇親会など、話題が、政治、経済、趣味など自由に広がるときのほうが話者の互いの文化的な背景が異なることもあり、むしろ難易度が高いです。それを考えると、ビジネス英語を必要以上に恐れる必要はないと思います。
5.おわりに
本稿を機会に読者の皆さんの引き出しの中に一つでも多くの表現が加わり、ビジネスで活かしていただくことができればと思います。
本稿が少しでも英語でビジネスを行う皆さんのお役に立てれば幸いです。
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