1. TOP
  2. Alibaba JAPAN PRESS
  3. 1 on 1の活用~コーチングの手法で個の能力を最大化
  • 2021.02.05

1 on 1の活用~コーチングの手法で個の能力を最大化

1 on 1の活用~コーチングの手法で個の能力を最大化

1 on 1とは、定期的に上司と部下が行う1対1の対話のことです。半期ごとに実施するような従来の目標設定や進捗確認の面談と異なり、月に1度~2度の頻度で行います。米国のシリコンバレーでは1 on 1は文化として根付いており、日本でも採用する企業が増えてきています。

現代のような変化の激しい世の中では、課題に対して会社や上司が正解を持っていないことも多く、上司が部下に指示をして部下がそれに従うという従来のやり方が通用しなくなっています。これからは、部下が持つ多様な価値観を生かし、部下が自ら考えて答えを見つけ、課題解決に取り組むことが求められています。それには、部下が強みを発揮できる環境を上司は提供する必要があります。上司は今以上に部下の価値観や強みを理解する必要があり、1 on 1はそのきっかけとなるコミュニケーションの機会として注目が集まっているのです。

しかし、1 on 1の本来の目的を理解しないままだと、「時間の無駄だ」「ストレスでしかない」などのマイナスの状況に陥り、効果が出ないまま形骸化してしまいます。1 on 1のやり方は様々ありますが、この記事では、コーチングの手法を基にした1 on 1の進め方をご紹介します。

1 on 1とコーチングの共通性

一般社団法人日本コミュニケーショントレーナー協会によると、「クライアントに質問を投げかけ、クライアント自身が答えにたどり着き行動するようサポートすること」が一般的なコーチングの定義になっています。これは、1 on 1の目的の1つである「部下が自ら考えて答えを見出し、課題解決に取り組める環境を上司が提供すること」に共通する部分があり、コーチングを1 on 1に応用できる理由となります。

コーチングで大切な3つの考え

1 on 1の目的を達成するには、「部下の価値観を理解すること」「部下に自ら考えて答えを引き出す力を習得させること」が必要となります。これには、次に述べるコーチングの3つの考え方を活用することができます。

① Being(ありたい姿)とDoing(行動)

Beingは、「自分はこうありたい」や「自分が大切にしていること」という理想や価値観を指します。Doingは、Beingに向かうための具体的な行動を言います。BeingDoingは、両輪のような存在でどちらも大切です。

ただ、一般的にBeingを意識していない人が多いと感じます。なぜなら、Doingは具体的な行動として表面化しやすいのに対し、Beingは抽象的で普段の生活で意識する機会が少ないからです。そのため、Doingだけに意識が向いているクライアントに対しては、Beingを具体化していく質問を投げかけるようにして、クライアントの価値観を引き出していきます。

例えば、「コミュニケーションスキルを身につけたい」という課題をクライアントが持っていた時、「どのようにして身につけますか(Doing)」という方法論に向かうのではなく、「コミュニケーションスキルを身につけたら、どんな自分になれると思いますか(Being)」という投げかけをして、自分のありたい姿をイメージしてもらうことが大切です。

② 答えはクラインアント自身が持っている

コーチングは「ある課題に直面にした時、それを解決する答えはクラインアント自身が持っている」という前提で実施します。
コーチの役割は、クライアントの内省を促す質問を投げかけて、クライアント自身の中にある答えを引き出すサポートをすることです。ティーチングのようなアドバイスや指導は不要です。

③ 沈黙こそがクライアントが最も成長できる時間

沈黙はコーチングで最も大切な時間です。沈黙の瞬間、クライアントは自分と向き合い、深く内省し、自分自身の中にある答えを引き出そうとしています。
沈黙は気まずいと感じるかもしれませんが、クライアントの内省を妨げるような質問や発言をするのは控え、クライアントの答えをじっと待ちましょう。クライアントが内省している沈黙の時間こそが、クライアント自身が気づいていなかった考えに意識を向け、成長を促す出発点なのです。

1 on 1の活用~コーチングの手法で個の能力を最大化

1 on 1は部下のための対話である

1 on 1で上司がまず意識すべきことは、「1 on 1は部下のための対話である」ことです。上司は聞き役に徹し、「部下にたくさん話をしてもらう」「話は最後まで聞く」「自分の考えを先に言わない」を心掛けましょう。

よくある間違いが、上司が伝えたいことを一方的に話し、部下が聞き役になってしまっていることです。このような間違った方法で続けていると、部下は一向に心を開いてくれず、部下の価値観や個の力を押し潰してしまうことになります。1 on 1は、報連相ではなく、部下の話に耳を傾ける場なのです。

コーチングの考えを取り入れた1 on 1の具体的な進め方

① テーマは部下が決める

テーマ設定は1 on 1の出発点です。ポイントは、上司が話したいテーマではなく、部下が話したいテーマを設定することです。「今日は何ついて話しますか」と最初に問うようにして、部下にテーマを決めてもらうのが良いと思います。
最初は、部下が戸惑うかもしれませんが、そのうち部下が事前にテーマを考えてきてくれるようになるでしょう。

② Howだけではなく、Whyを聞く

課題や悩みについて話をしていると、「どうやって解決するか」というDoing(行動)に会話が進みがちです。もちろん行動も大切ですが、コーチングではBeing(ありたい姿)を意識してもらうことが大切です。
質問のコツとして、Howではなく、Whyを聞くようにしましょう。「なぜ、その課題を解決したいのか」「なぜ、その悩みが生まれたのか」を深堀していくことで、部下が自分でも気が付いていなかった価値観が見えてきます。

③ 話を遮らない、助言しない

コーチングでは、「課題を解決する答えは部下自身が持っている」と考えます。そのため、部下が話しやすい環境を作ることが重要です。部下が話している時は、遮ることなく、頷いたり、相槌を打って聞くことを心掛け、「話をしっかりと聞いているよ」という安心感を与えてください。キーワードを繰り返す「オウム返し」も有効です。

また、部下が内省して沈黙している最中、上司はアドバイスをすることなく、じっと答えを待ってください。沈黙こそが部下が最も成長できる時間なのです。

④ 部下の答えは絶対に否定しない

部下が内省して引き出してきた答えは最大限に尊重してください。部下は自分の答えを尊重してもらうことで、「1 on 1は安全な場」だと認識します。否定は厳禁です。
仮に上司の考えと真逆の答えだったとしても、否定をしてはいけません。1 on 1における部下への否定は、信頼関係の断裂につながりかねません。部下がどんな答えを引き出してきたとしても、それを受け入れるようにしましょう。

⑤ 最後は行動宣言で終わる。行動できなくても否定しない

1 on 1の最後は、新しい気付きをどこで生かすかを部下に宣言してもらいましょう。「次までに何をしようか」と最後に聞いてください。その内容は、上司ではなく、部下自身に決めてもらいます。上司は、部下の自発的な行動宣言に対して、助言をする必要はありません。
そして、次回の1 on 1では、その行動宣言の実践具合を聞きましょう。気を付けることは、行動できていなくても非難しないことです。行動の障害になっているものを聞くことで、部下の内省を深め、新たな教訓を引き出していきます。

1 on 1で部下が能力を発揮できる環境をつくる

コーチングの手法を1 on 1に取り入れることで、部下は上司との1 on 1を「安心安全な場」だと認識し、徐々に心を開いてくれます。すると、上司と部下に信頼関係が生まれ、部下が個の力を発揮してイキイキと働くことができます。それが結果として、組織の力となり、会社全体の強みになるのです。

この記事では、コーチングを活用した1 on 1の進め方を紹介しました。1 on 1を開始した当初は、戸惑う人が多いかと思いますが、もし部下との対話の仕方に悩んでいましたら、この記事を参考にしてコーチングの手法を活用してみてください。粘り強く続けることで、部下が「あなたと会話して良かった」と感じるようになっていくはずです。

下司 健二郎

下司 健二郎

PROFILE

ライター、コンサルタント

埼玉県出身。東京大学大学院を修了後、日系大手食品メーカーに入社。入社後は、加工食品の研究開発に従事し、タイ駐在を経験。帰国後、新規事業の企画開発と販促を担当し、現在はタイ駐在の経験も生かして、アジアへの事業展開に携わっている。

2020年中小企業診断士登録。
製造業での幅広い現場経験をもとに、企業支援や執筆などを行っている。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

SHARE

おすすめ記事

公正な人事評価を行うために

2021.05.12

公正な人事評価を行うために

子育て中の女性を生かすには

2021.04.12

子育て中の女性を生かすには

BtoBマーケティングの基本とは

2021.04.09

BtoBマーケティングの基本とは

資料のご請求や
お問い合わせはこちら