1. TOP
  2. Alibaba JAPAN PRESS
  3. 気をつけたい広告の表示
  • 2020.11.29

気をつけたい広告の表示

気をつけたい広告の表示

虚偽広告・誇大広告には法的なリスクがある

企業が商品やサービスを開発したときは、これらの情報を発信し、消費者による認知や理解を深め、販売へと結びつけていく必要があります。その意味で、広告は、情報発信の最も基本的な手段であるといえます。

しかしながら、自社の商品やサービスの販売を促すあまり、必ずしも事実ではない内容の広告をしてしまうと虚偽広告・誇大広告であることが判明した場合、消費者からの信頼を失うだけではなく、法的リスクもあります。
そこで、今回は広告の表示において注意すべき点についてご紹介します。

消費者を保護する景品表示法

そもそも、虚偽広告や誇大広告はなぜいけないのでしょうか。
それは、実際の商品やサービスよりも良く見せる広告が行われると、消費者がその広告を信用してしまい、実際には消費者の求めていない製品やサービスを購入してしまうおそれがあるからです。

そこで、消費者が商品やサービスの購入について自主的かつ合理的な判断ができるようにするという観点から、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」といいます。)という法律が、広告について規制を行っています。具体的な規制として、広告に不当表示が含まれる場合、その広告が景品表示法に違反することとなります。ここにいう不当表示とは、以下のものをいいます。

【不当表示:景品表示法によって禁止される表示(景品表示法第5条)】

1) 商品又はサービスの品質、規格、その他の内容について⇒優良誤認表示

2) 商品又はサービスの価格その他の取引条件について⇒有利誤認表示

3) その他誤認されるおそれのある表示

(本稿では説明を省略しますが、無果汁の清涼飲料水等についての表示、商品の原産国に関する不当な表示、消費者信用の融資費用に関する不当な表示、不動産のおとり広告に関する表示、有料老人ホームに関する不当な表示などがあります。)

1.内容に関する不当表示:優良誤認表示(景品表示法第5条第1号)

【事例1】

大学受験予備校を営むA社は、「国立大出身90%!受験に精通した講師陣による親身の指導!」と記載したパンフレットを作成し、高校生に配布していた。しかし、実際には、国立大学卒業の講師は約1割にすぎなかった。

『著しく』優良とは何か

商品やサービスの内容について、実際のものよりも著しく優良であると示したり、事実に相違して競合事業者のものよりも著しく優良であると示したりする表示は、優良誤認表示として、景品表示法に違反するおそれがあります。なお、『著しく』優良であることが優良誤認表示の要件とされているのは、広告に通常含まれる程度の誇張であれば、消費者の適切な選択を阻害することがないという考えによるものです。

【事例1】において、国立大学を卒業した講師が多数であるかどうかは、消費者が予備校に入学するかどうかを決める要因となりうるものです。したがって、実際は1割程度の国立大学卒業者を「90%」と表示する広告は、実際のものよりも著しく優良であると示し、これにより消費者の自主的かつ合理的な選択が阻害される以上、優良誤認表示にあたるといえます。

なお、消費者庁長官は、優良誤認表示の判断のために必要な場合は、事業者に対し、15日以内に合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとともに、資料の提出がない場合は、優良誤認表示とみなされてしまうことに注意する必要があります(このような広告を、不実証広告規制といいます。景品表示法第7条第2項)。

デメリットを表示しなければ優良誤認表示になるのか

商品やサービスにデメリットがある場合、そのデメリットを表示しないことは優良誤認表示になるのでしょうか。景品表示法は、不当な表示を制限するものであり、何かを表示しないことを規制するものではありません。しかし、商品やサービスのメリットと不離一体の関係にあるデメリットについて、これを殊更表示しなかったり、明確に表示しなかったりするような場合は、優良誤認と評価される可能性があります。

例えば、法令上の制限のために新築や改築ができない土地付建物の広告において、当該制限を何ら記載せずあたかも当該制限がないような表示をしている場合は、優良誤認表示となるおそれがあります。

2.取引条件に関する不当表示:有利誤認表示(景品表示法第5条第2号)

【事例2】

スーパーを営むB社は、「本日パンの日!定価の3割引」と書いたポスターを店内に掲示していたが、実際はこのスーパーでは、常に定価の3割引で販売していた。

『著しく』有利とは何か

商品やサービスの価格やその他の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると示したり、競合事業者のものよりも著しく有利であると示したりする表示は、有利誤認表示として、景品表示法に違反するおそれがあります。『著しく有利』であることが有利誤認表示の要件とされているのは、優良誤認表示と同様に、ある程度の誇張であれば、消費者の適切な選択を阻害しないとの考えによるものです。

【事例2】では、実際には毎日定価の3割引で販売しているにもかかわらず、「パンの日」に限り3割引で販売しているかのような広告をすれば、消費者はあたかも「パンの日」である今購入すれば安い価格で購入できるとの誤認を生じさせることとなりますので、有利誤認表示にあたるといえます。

しばしば問題となる二重価格表示

「定価5万円のところ、特別価格2万5000円」といった広告を目にしたことがあると思います。このように別の価格と比較して販売価格の安さを強調する二重価格表示は有利誤認表示にならないのでしょうか。

過去に実際に販売していた価格であっても、相当期間にわたるものではない価格を比較対照価格に用いる場合は、比較対照価格がいつの時点でどの程度の期間販売していた価格であるかなど、その内容を正確に表示しない限り、有利誤認表示となるおそれがあります。二重価格表示をする場合は、比較対照とする価格がどのような根拠によるものなのかについて、意識をする必要があるといえます。

なお、どのような場合に相当期間にわたって販売されていた価格といえるかについては、(消費者庁『不当な価格表示についての景品表示法上の考え方』)をご参照ください。

強調表現を用いる場合の注意点

【事例3】

架電小売店を営むC社は、決算セールを行うため、チラシに以下のような記載をした。

気をつけたい広告の表示

「全て」等の断定的な表現を使って商品やサービスの内容や価格等の取引条件を強調する表示(強調表示といいます。)自体、真実である限り特段の問題を生じません。しかし、例外がある場合、例外があることの表示(打消表示といいます。)を明確なものにしなければ、消費者が誤認するおそれがあり、優良誤認表示や有利誤認表示となる可能性があります。
【事例3】の広告は、ポイント10倍の対象となる商品についての記載が小さく、例外がないと消費者が理解しうるものであることから、有利誤認表示となるおそれがあります。

このため、基本的には、メリットの範囲を具体的にするなどして、打消表示の使用を避けるのが無難であるといえます。とはいえ、どうしても打消表示を使用しなければならないときは、①打消表示の文字は小さくないか、②強調表示の文字と打消表示の文字の大きさのバランスは適切か、③打消表示の配置が強調表示と近接したところにあるか、④打消表示の文字の色と背景の色との区別がつきにくくないかといったことに注意する必要があります。

・企業に大きなダメージを与える措置命令

景品表示法に違反した場合、消費者庁長官や都道府県知事から措置命令が発令されることがあります(景品表示法第7条)。具体的には広告の差止め、訂正広告により消費者の誤認を排除すること、再発防止策を講じること、今後作成する広告物を行政へ提出すること等が命じられます。

既に作成している広告物の配布ができなくなったり、新たに訂正広告をしなければならなくなったりすることは、企業にとって大きな経済的損害となります。また、措置命令が発令されたことは公表されますので、企業の信用も大きく損なわれることとなります。
さらに、売上の3%に相当する課徴金の納付を命じられることもあります(景品表示法第8条)。これは、景品表示法に違反する広告によって企業が得た利益をはく奪することを企図したものです。

なお、消費者庁のウェブサイトには、実際に措置命令が発令された事例が掲載されています(『景品表示法における違反事例集』と題する事例集もダウンロードできます。)。実際にどのような広告が措置命令の対象となったのかを知ることは、リスクのない広告を作成するための第一歩として大いに参考になりますので、是非ご確認ください。

・広告を作成する際に注意しなければならない法律は景品表示法だけではない

景品表示法のほかにも、広告を作成する際に注意しなければならない法的リスクはあります。例えば、広告に他人が作成したイラストを無断で使用した場合、著作権を侵害することとなり、イラストの著作権者から差止めや損害賠償請求をされるおそれがあります。また、通信販売の広告では、所定の事項を表示しなければならないことが特定商取引法で規定されています(特定商取引法第11条)。

このように、広告に関する法律の規制は複雑なものとなっています。一見自社の商品やサービスを訴求する良い広告のように見えても、思わぬリスクが含まれていることがあります。
早めに弁護士や中小企業診断士などの専門家に相談することで、小さなリスク、大きな販促効果となる広告戦略を展開していきましょう。

武田 宗久

武田 宗久

PROFILE

ライター,コンサルタント
1978年生まれ,大阪府出身。京都大学大学院法学研究科修了
2011年弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2020年中小企業診断士登録

債権回収や離婚等の一般民事事件を担当する一方,大阪の中小企業や自治体を元気にするため,法務・労務を中心とした支援に取り組む。著書に『改正民法対応!自治体職員のためのすぐに使える契約書式解説集』(令和2年,第一法規,共著)など。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

SHARE

おすすめ記事

令和4年4月から施行される「個人情報保護法」の改正のポイント

2021.06.16

令和4年4月から施行される「個人情報保護法」の改正のポイント

気をつけたい広告の表示

2020.11.29

気をつけたい広告の表示

実践的な直接貿易契約の進め方

2020.11.12

実践的な直接貿易契約の進め方

資料のご請求や
お問い合わせはこちら