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  • 2020.10.02

海外工場で使える英語
~ニュアンスを正確に伝えよう!

海外工場で使える英語~ニュアンスを正確に伝えよう!

選ぶ単語でニュアンスが異なる

ご存知のように、英語の単語には複数の類義語があることが少なくありません。わかりやすい例は「見る」ですね。これを意味する英単語には、seelookwatchgazeglanceviewobserveなど、さまざまなものがあります。
残念ながら日本人の多くは、「どうせ似た意味なのだから、覚えやすい単語だけを使って表現すればよい」と高をくくっている人も多いように思います。もちろん、それで最低限の会話は成り立つでしょう。
しかし、そのようなやり方では本来伝えたい「ニュアンス」はそぎ落とされ、誤った印象を相手に与えてしまうことが多いのです。

本稿では、基本的な英会話・英文法を習得済みの読者を対象に、海外工場で使われそうな英単語の類義語が持つニュアンスの違いを解説してみたいと思います。海外工場に出張・駐在される皆様がこうした英語の機微をマスターして、「英語ができる日本人」と現地社員に一目置かれるようになることを祈っています。

工場運営で使われる英語

皆さんは「工場」はすべてfactoryだと思っていませんか? 実は工場を表す英単語は複数あり、それぞれニュアンスが異なるのです。

plant:なんらかの工業的な装置を持つ工場。製造に関わらない設備を含みます。factory:モノ(有形物)を製造する工場を指します。
workshop:建物型の工場。比較的小規模で、職人によるモノづくりのイメージです。
works○○ works”など、通常は特定の工場の名前の一部として使われます。

よって、規模のイメージは、plantfactoryworkshopの順となり、worksはこれらを含む特定の工場の名前に使われるということになります。また、発電所や排水処理場など製造業ではない工場はplantであって、factoryではない、ということも覚えておきましょう。

「製造」を表す言葉にもいくつかありますよ。

production:原料から製品を作ることですが、製造工程だけでなく、市場調査、調達、出荷など、製造業の活動全般を含みうるものです。
manufacturing:モノを扱う工程のみをイメージした製品製造です。
fabrication:ある程度できあがっている部品を組み立てて製品を作る作業です。

よって、規模のイメージは、productionmanufacturingfabricationの順となります。また、無形物の製造にはproductionしか使えないことも覚えておくとよいでしょう。

工場運営には適切な「目標」の設定が不可欠ですね。目標を表す英語として、多くの方はtargetを思い浮かべたかもしれません。
ここで注意してほしいのは、targetは数値目標、すなわち達成の度合いを計測できる場合に使われる言葉だということです。もし工場の目標が「年間生産量100万ロット」であれば、targetとして問題ありません。
一方、「操業安定化の実現」など、一概に計測できない目標の場合はgoalと表現する方が適切です。

多くの工場において、「コストダウン」は至上命題のひとつでしょう。さて、これを英語にする際、皆さんはそのままcost-downと言っていませんか? 残念ながら、それは和製英語なのです。もちろんcost-downでも意図することは伝わると思いますが、できるビジネスマンを目指す皆さんはなるべく使わないようにしましょう。正しくは、cost reductioncost savingcost cuttingといった表現になります。

効率的な工場運営のためには「在庫」の圧縮が望まれます。この在庫、すべてstockだと思っている方も多いのではないでしょうか。実はstockは商品すなわち販売するモノの在庫を指します。もし原料や仕掛品を含めた工場内の在庫を表現したい場合は、inventoryと言わなければなりません。

製造工程管理で使われる英語

製造工程は「原料」の投入が出発点ですが、これを表す言葉はひとつではありません。製品との関係性で原料の呼び方が変わるのです。raw materialは、通常単一に近い成分からなる原料で、加工によって製品に転化するようなものを表します。基本的にraw materialは最終製品の中には残っていません。
一方、ingredientは、混ぜ合わせて製品を作る場合の原料で、最終製品の成分として残るようなものを表します。

多くの製造工程にはなんらかの「混合」操作が含まれているのではないでしょうか。mixingは混ぜる行為全般を指しますが、特に全体が均一になるまで混合する場合はblendingと表現するとイメージがよりクリアに伝わります。

「溶解」も製造工程によく見られる操作です。ここでの注意点は、溶け方に応じて使う単語を変えないといけないということでしょう。固体が熱の作用を受けて溶ける場合はmelting、固体が他の液体(水など)に溶ける場合はdissolutionとなります。

「分解」操作が製造工程に含まれていることはよくあります。分解と訳される英単語は数多くありますが、工場で耳にするのはdisassemblydecompositionでしょうか。disassemblyは、構造物をパーツに分解する行為。一方、decompositionは、物質そのものが物理的または化学的作用で分解するような状況を言います。間違えないようにしましょう。なおdecompositionの一種ですが、特に生物の作用で物質を分解することをbiodegradationと言います。

製造工程管理では「成分」のチェックをすることも多いと思います。ingredientcomponentはともに成分と訳されますが、前者は「材料として加えたもの」というニュアンスがあります。意図せず入っているものや、工程の途中の化学反応によって生じた成分を表す場合はcomponentと表現する方がよいでしょう。

海外工場で使える英語~ニュアンスを正確に伝えよう!

品質管理で使われる英語

品質管理において「検査」は必要不可欠ですね。製品検定のように、なんらかの合否判定をするべく、ある基準に従って細かく検査することをinspectionと言います。その他、工程管理のなかで行う一般的な検査は
testingとして問題ないでしょう。

「不良」や「欠陥」を表す英単語はいろいろありますが、製品の品質・機能を大きく損ねる欠陥を表す場合はdefectを使うのが適当です。一方、ちょっとした品質上の不具合(塗装が一部剥げているなど)や、モノではなくコンセプトの欠陥などを表す場合はflawと表現するのがよいでしょう。なお、なんらかの物理的作用によって生じた欠陥の場合はdamageで置き換えることも可能です。

品質管理で失敗をすると、顧客から「苦情」を受けることになります。この苦情、クレーム(claim)と同義だと思っていませんか? たしかに日本の製造業では、顧客からの損害賠償請求を伴う苦情をクレーム、伴わない苦情をコンプレインと呼んでいますが、それは日本国内だけの慣習だと思ってください。英語のclaimは単に「(権利の)要求」であり、苦情という意味は含まれていません。顧客からの苦情はすべてcomplaintと表現すべきです。

安全管理で使われる英語

工場には常に「危険」が潜んでいます。危険を表す英語としてすぐに思いつくのはdangerhazardの二つでしょう。これらもニュアンスの違いがあります。hazardは特に生命や健康に対する比較的深刻な危険を表しますが、dangerは、身体への危険のみならず、人になんらかの損害を与える状況全般に使うことができます。労働災害の危険を表したい場合は、hazardを使う方がより的確で、プロフェッショナルなイメージを与えることができるでしょう。

ちなみに労働安全管理の分野では、危険源をhazard、それによって生じる危険状態をdangerと定義していますが、これは一種の専門用語ですので、すべての現地従業員がその定義を認識しているとは思わない方がよいでしょう。

危険が顕在化したものが「事故」です。incidentで事故全般を表すことができますが、特に予期せずに起こった人的・物的被害の大きい事故については区別してaccidentと呼んでいます。そのため、通常incidentは比較的軽微な事故あるいは被害が発生する寸前の状況を表すときに使われることが大半です。例えばヒヤリ
near-miss)事例などはincidentですね。なお被害は大きくても、起こるべくして起こった(予期できた)事故だと言いたいときは、敢えてaccidentと言わずincidentと表現することで、そのニュアンスを伝えることができるでしょう。

「負傷」全般を表す言葉がinjuryです。従ってどのようなケースでもinjuryを使えば間違いないのですが、もし出血を伴う外傷性の怪我を表したいなら、woundを使うとよりクリアなイメージを相手に伝えることができます。骨折(fracture)や捻挫(sprain)などを含む場合はinjuryと言った方がよいですね。

設備管理で使われる英語

「取り付け」を表す英単語としてmounting installationがあげられるでしょう。mountingは何かを固定して取り付けるという意味しかありませんが、installationは新たな機能を使用可能にするというニュアンスが加わります。例えば空調機一式の取り付けはinstallationでもよいですが、空調機の一部の部品の取り付けはmountingとするのが妥当です。

工場内で実施する「試運転」をcommissioningと呼ぶことがあります。これはベンダーが新たな設備や装置を発注者側(工場側)に引き渡す際に、要求事項を満たしているかどうかを確認する公式な試運転作業です。それ以外の一般的な試運転は、test operationtest runと表現すればよいでしょう。

建物を「解体」する際、スクラップにする解体をdemolition、建物の一部を再利用することを念頭に解体することをdeconstructionと言います。覚えておきましょう。なお、destruction(破壊)と言ってしまうと偶発的な事故を連想させ、意図的・計画的に解体するニュアンスが伝わらなくなってしまうので注意してください。

「ニュアンス」を意識して、
さらなる英語力のブラッシュアップを

いかがだったでしょうか。今回は、業種に限らず海外の工場でよく使われそうな、かつ日本人が誤用しやすい英単語のなかから、紙面が許す範囲でピックアップして解説いたしました。選ぶ単語で相手が受け取るニュアンスが変わります。海外工場に出張・駐在される皆様がそのことを心に留め、さらなる英語力のブラッシュアップに励んでいただけたら幸いに思います。

保田 耕三

保田 耕三

ライター、コンサルタント

PROFILE

1968年生まれ、兵庫県神戸市出身。
東京大学工学系修士。マサチューセッツ州立大学経営学修士(MBA)。

1993年大手化学会社に入社以来、国内化学工場の生産技術支援、シンガポールにおける化学プラント建設プロジェクト業務、本社事業部における技術戦略管理などを経験。現在は、国内外の化学工場に対する技術支援を主業務としている。

2019年中小企業診断士登録。
技術士(総合技術監理,経営工学)、労働安全コンサルタント、全国通訳案内士(英語)。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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