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世界で見つけた日本製品【インド編】

エネルギーに満ちた国、インドで見つけた日本

エネルギーに満ちた国、インドで見つけた日本

約13億人の国民をかかえ、その平均年齢は27歳という若いエネルギーに溢れた国インド。その成長はすさまじく、2050年にはGDPベースでアメリカを抜き、世界2位の経済大国になるのではないかと予想されています。

2014年から続投しているナレンドラ・モディ首相が行う一連の経済施策は「モディノミクス」と呼ばれ、国民所得の上昇を後押ししています。外資獲得を柱とした様々な政策を行っていますが、なかでも外資系メーカーの積極的な誘致など、製造業の振興を目指した政府肝いりの政策は「Make in India」として国民に広く認知されています。

IT分野における進出も目覚ましく、かつてインドIT業界の主流だったオフショア開発から徐々に脱却し、その上流工程も請け負うようになっています。多くのグローバルIT企業がインドに開発拠点を置くようになり、インド発のスタートアップ企業も急増した結果、2000年に80億ドルだった市場規模は、2019年には1,770億ドル*2にまで成長しました。

*1:インド全国ソフトウェア業界NASSCOM調べ

高級紅茶ショップやスタバでも目にする「抹茶』

日本の抹茶が世界的ブームになって久しいですが、ここインドでも抹茶は浸透しています。高所得者層向けのインド紅茶を販売店”Sancha Tea” では、数年前から日本からの輸入抹茶を取り扱っており、その売上は年々増えていると言います。日本語で「抹茶 緑 お茶」の文字が書かれた日本製の抹茶は、インド人だけではなく、インド在住の欧米人にも人気です。

エネルギーに満ちた国、インドで見つけた日本

これくらい分かりやすく日本語が入っていたほうが、海外では評判が良いのかもしれない

世界中のワインと共に並ぶ日本のお酒

次に紹介するのは日本酒や梅酒、焼酎などの『酒』です。”TONIQUE”という大型の高級リカーショップには、世界中の様々なお酒が置かれており、インド人富裕層やインド駐在の外国人で賑わっています。店内は国ごとに棚が分けられており、「Japan」の棚には真澄、久保田 千寿、黒霧島、いいちこ、チョーヤ梅酒など、日本でお馴染みのお酒が陳列されています。

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照明の当て方にもこだわりが見える

インドではウイスキーが人気で、TONIQUEでもいろいろな種類のウイスキーがありますが、日本のウイスキーは見かけませんでした。実はこのショップだけでなく、インド国内で日本のウイスキーを見たことがほとんどありません。ジャパニーズウイスキーの人気は世界中で高まっているので、まだ認知されていない、もしくは誰も輸出していないのだとすれば、ここにチャンスがあるかもしれません。

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TONIQUE バンガロール店の外観

Made in India, Design by Japan の『お弁当箱』

保温できる弁当箱を製造販売する”Vaya”では、日本人がデザインした弁当箱を販売しています。
デニム柄やエスニック柄などの珍しいデザインと、銅を素材に使用した高い抗菌性を特長とした弁当箱で、最近ではアメリカ、シンガポール、フィリピン、マレーシアにも輸出を開始しているそう。Vayaのように日本人や日本企業がデザインを担当し、現地で製造を行うといったコラボレーションは、他の商品でも展開が期待できそうですね。

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日本でも人気が出るのでは?と思う弁当箱もチラホラ

これは余談ですが、日本語がブランドロゴにも印字されているイギリスのブランド、”Superdry 極度乾燥(しなさい)”はインドでは富裕層や若者に人気です。日本人以外には日本語がとてもクールに見えるようですが、インドも例外ではないようです。

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バンガロール空港にて。Superdryのショッピングバッグはとても目立つ

日系企業での需要はあるが、価格が課題の機械設備関連

モディ印首相が推進する「Make in India」の後押しもあり、日本からもトヨタ、ホンダ、日産、スズキなどの自動車メーカーがインド国内に自社工場を多数保有しています。

私の仕事柄、日系自動車メーカーの工場にはよく足を運んでいますが、産業用ロボットで圧倒的なシェアを持つ安川電機やファナックをはじめ、アマダ、THK、マキノ、村田機械など、日本メーカーの工作機械設備を多く見かけます。 自動車業界では各工程における検収基準が高く、その高い基準を満たすために精度の高い日本製品が選ばれているのだそうです。

今後さらに市場が大きくなる期待感から、インドで開催される国際展示会に出展する日本企業は年々増えています。

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約48,000人が訪れたIMTEX Forming 2020の場内の様子

今年の1月に行われたインド最大級の工作機械の国際見本市「IMTEX Forming 2020」では、JETROの特設ブースである「ジャパン・パビリオン」に、11社の日本企業が参画していました。日本企業の実績や高い技術力を評価して日本製品の取扱いを決めるインドの販売代理店もいますが、製品の販売価格に難色を示されることも多いようです。品質だけではなく価格とどう折り合いをつけるかが課題でしょう。

インドに銭湯?インドで見つけた「日本」

インドで目にした意外な日本についても紹介しましょう。まずは銭湯。デリーとバンガロールには大浴場が付いたホテルがあり、宿泊者でなくても銭湯のように利用することができます。利用者の多くは日本人ですが、インド人や、ホテルに滞在していると思われる欧米人の姿も見られます。古来よりヒンドゥー教徒は沐浴をするので、銭湯にも抵抗がないのかもしれません

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バンガロール”The Chancery Hotel”内にある銭湯

次に紹介するのはボンカレー。日本でボンカレーと言えばレトルトカレーですが、インドではボンカレーが入ったパンが「Bon Curry Pan」として販売されています。カレーの本場であるインドにわざわざカレー屋を?と驚かれるかもしれませんが、近年、CoCo壱番屋など日本のカレー専門店がインドに進出しており、ボンカレーも2018年からインド展開を始めています。一般的に、インド人は食事に関しては保守的で変化を好まないとされていますが、グローバル企業が進出している地域では他の国の出身者や、欧米に留学・就職していたことのあるインド人が住むようになり、新しいものや変わったものが受け入れられやすくなっています。ボンカレーが最初に進出したバンガロールも、グローバルIT企業が集まる先進的な地域です。

今後さらにグローバル化が進み、食文化の多様化も進んだインドでは、日本食がどのように受け入れられていくのか、非常に楽しみに感じています。

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ボンカレーパン売り場。1個75円(1ルピー=1.5円)

政府からの補助金を追い風に生産拠点のインドシフトが進むか

インドでは、3月から5月まで完全ロックダウンを実施していましたがその効果も空しく、7月20日現在で新型コロナウイルスの累計感染者数は112万人を超え、アメリカ、ブラジルに次いで世界第3位の感染者数となっています。政府はロックダウンによって停滞した経済のカンフル剤として、およそ20兆ルピー(約38億円*2)に上る経済対策を打ち出しました。外資メーカーからの投資活性化のため、「Make in India」の更なる推進も含まれています。

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ロックダウン中、スーパーに行列を作る人々と閑散とした市街の道路

一方、日本では中国からの供給が止まったことによるマスクや除菌グッズなどの品薄状態が大きな問題となりました。それを機にサプライチェーンの中国への過剰な依存をなくそうと、政府も補助金を出して、生産拠点を第三国に切り替える動きを推進しています。そこで生産拠点の移転先として白羽の矢が立つのがインド。前述した外資メーカーに対する税制、規制緩和はもちろん、13億人のインド市場にリーチできる事や、アフリカへの輸出を行うのにも地理的に有利なため、生産拠点のインドシフトは今後増えていくと考えられます。

世界的な新型コロナウイルスの流行で、あらゆる環境が今まさに変わりつつあります。インドはポテンシャルのある市場とはいえ、世界の変化を慎重に見極めたうえで進出を検討すべきでしょう。

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