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  • 2020.05.18

小規模から始める越境EC(輸出)ファーストステージの実務(第2回)

海外発送を理解しよう

海外発送を理解しよう

新型コロナウイルス感染症の世界的まん延に伴い、国際輸送を担う航空機が大幅に減便・運休となりました。日本郵便では、4月2日より多くの国に向けて国際郵便物の引受または一部サービスを一時停止するという、非常事態です。しかし一時的な停滞は避けられませんが、今後も国際物流の重要性は、ますます高まるはずです。こんな時期だからこそ日本の事業者の方にも、是非海外市場に目を向けて頂きたいと思います。今回は初めて海外に商品やサンプルを発送する際の段取りをご紹介します。

輸出に必要な書類

海外に物品を発送するときには、用意しなければならない書類がいくつかありますが、まずは以下の3点をご紹介します。しかし3種類の書類ですが、各社の発送サービスを利用する際に、指示される項目に記入すれば、ほぼ自動的に作成されるので、特別な心配は不要です。

① 運送状 / Way Bill

相手方の住所が記載された送り状です。トラッキング・ナンバーと言われる追跡番号が振られた専用の用紙を使います。多くの物流会社はネット上で入力し、印刷できる専用ページを用意しています。

② インボイス / Invoice

海外へ物品を送る時に必要となる書類で、商品名、原産国、数量、単価、契約条件などを記入します。輸出入通関手続きに用いられ、日本で言う「明細書兼納品書兼請求書」のようなものです。コマーシャルインボイスは、内容品が有償など商業取引のときに使います。内容品の単価を記入することで、関税等がかかるケースでは税額の根拠となります。

書類も同梱されている場合では、内容品に「Document USD1」など、紙代相当額を単価とすることもあります。プロフォーマインボイスは、内容品がサンプルなど商業取引ではないときに使います。

③ 税関告知書 / Custom Declaration Form

輸入国側の通関の際に必要となる書類です。国によって必要枚数が異なり3枚以上必要なケースもあります。

海外発送を理解しよう

日本郵便の「国際郵便」

商品を輸出する手段はたくさんありますが、サンプルや少量の注文に対する発送であれば、もっとも身近で、費用や手間の面で使い勝手が良いのは、日本郵便の「国際郵便」です。まず発送相手国が全世界であること、発送持ち込み拠点が全国どこにでもあることの2点において非常に優れています。それでは、越境ECで利用することになる国際郵便のサービスを解説します。

・日本郵便 > 国際郵便 

国際郵便の中で利用するサービスを選ぶときにまず確認するのは、①「到着時間はどれぐらいか?」、そして次に②「荷物の梱包後のサイズと重さ」です。

① EMS(国際スピード郵便)/ Express Mail Service

EMSは、各国の郵便事業体が共同でサービスを提供する国際速達便であり、日本から世界125ヶ国以上に送付可能です。発送可能な大きさ・重量は、ほとんどの国で、3辺合計が300cm以内・重量30Kgです(一部例外があります)。

EMS

・郵便物の中で最優先に取り扱い、2~5日程度(一部は10日)で、各国に到着可能。
・荷物を簡単、便利に送れる、最速のサービス。
・追加料金を払うことで最大200万円までの損害賠償が対応可能。
・郵便局による集荷サービスあり。

② 小形包装物と国際小包

EMS以外の国際郵便は、90cmを境に料金体系が大きく変わります。縦・横・高さの3辺合計が90cm以下かつ2kg以下の荷物は「小形包装物」として発送可能で、運賃が安価となります。それ以上のサイズ(91cm以上もしくは2kg以上)の荷物は「国際小包」となります。

それぞれ航空便・エコノミー航空(SAL)便・船便の3つの発送方法があり、料金は荷物のサイズ、重さ、そして発送先国の組み合わせで決まります。しかし相手国により対応しないサービスも多いので、必ず詳細を確認して下さい。

「小形包装物」(90cm以下)でよく利用するサービス

eパケット

・「国際郵便マイページサービス」のオンラインシッピングツールで専用の国際eパケットラベル一式を印刷することで、国際書留付き航空小形包装物の料金となるサービス。
・書留付きなので、追跡できるほか、6,000円を限度に補償もあり。

小形包装物のSAL

・エコノミー航空便。船便よりは早く、航空便より安い。
・6~14日程度で各国に届くが、国によっては更に日数がかかる場合もある。取り扱う国・地域が限られている。

「国際郵便」(91cm以上)で利用する国際郵便のサービス

国際郵便のSAL

・小形包装物のSALと同様。

あまりお勧めしないサービス

航空便

・3~6日程度で各国に届くが、EMSより遅くて費用が高いことがあるため、補償も充実したEMSを利用した方が良い。
・小形包装物であれば、eパケットを利用した方が安価で日数もそれほど変わらない。

eパケットライト

・小形包装物限定サービス「国際郵便マイページサービス」のオンラインシッピングツールで専用の国際eパケットライトラベル一式を印刷することで利用できる。
・eパケットよりも安いが、受取人の受領印と損賠賠償がないためリスクが高い。

船便

・船で輸送するため、料金は安いが、1~3ヶ月かかる。荷物が紛失あるいは損傷するリスクが高くなるので、よほど大物の商品や飛行機では送れない商品でない限りは、使用は勧められない。

結論として、ファーストステージの皆さんには90cm2kg以内の小形の場合はEMSeパケット・SAL(小形包装物)の3つの発送方法を、それ以上の大型の場合はEMSまたは国際郵便SAL2つの発送方法をお勧めします。

③ 国別地域

EMSや国際小包などサービスによって多少変わりますが、大きく分けると以下の4つのゾーンによって価格帯が決定されます。

第1地域(アジア・東南アジア)*中東は含みません
第2地域A(北中米・オセアニア)
第2地域B(ヨーロッパ・中東アジア)*ロシアを含みます
第3地域(南米・アフリカ)

実績が積み重なり物量が増加した場合や、発送国やサイズが限定される場合などは、セカンドステージとして他社のサービスも比較検討することが必要となってきます。

HSコードについて

貨物を輸出入する際に用いる6桁の統計品目番号です。5年毎に更新され、最新のものはHS2017と呼ばれています。大規模な貿易実務では必須となりますが、国際郵便では記入の義務はありません。しかし通関時間が短縮されることもあるので、可能であれば記入した方が良いとも言われています。

HSコード分類の検索は以下のページから可能です。

・税関 > 輸出統計品目

ヤマト運輸の国際宅急便

自社ブランド宅急便またはTA-Q-BINを展開している国へは自社の輸送で、その他の国ではUPS他の協力会社のネットワークを利用して世界200ヶ国へ対応可能となっています。自社の拠点が充実している上海・香港は翌日配送、台湾・シンガポール・バンコク市内へは翌々日配送と、いくつかの地域への配送ではかなり強みを発揮しています。

対応可能サイズは160cm以内25kgまで。配送日数はEMS同等レベルのようですが、一部の国では配達可能地域が限定されていることや、個人宛の発送が出来ないことなど注意が必要です(例:中華人民共和国へは15の都市・地域に限定で、到着の目安は1週間以内)

・ヤマト運輸 > 国際宅急便

佐川急便の国際宅配便

佐川急便では、世界220ヶ国へ260cm以内50kgまで発送可能です。商品やサンプルなどを発送するスモールパーセルと書類やカタログ・書籍等のドキュメントクーリエの2つの価格帯があります。価格帯・国別ゾーン等ネット上で確認できます。

・佐川急便 > 飛脚国際宅配便

DHL

ドイツポストDHLグループ(以下、DHL)は、220ヶ国で展開する大手物流会社で、世界で年間15億個以上の荷物を輸送しています。小荷物・書類の発送(同社ではエクスプレスサービスと言います)から、フルコンテナ・コンテナ混載の大量輸送まで幅広いサービス提供とスピードを重視したサービスに特色があります。おおむね到着は非常に早いのですが、料金は日本郵便に比べて割高傾向です。オンライン見積サービスがあるので、自社のニーズに合うかじっくりと比較検討してみると良いでしょう。

サービスの一例:DHLエクスプレスワールドワイド
220以上の国と地域を広範囲にカバーし、ドア・ツー・ドアで配送。シンプルな発送手順とカスタマーサポートが得られる。1梱包当たり70Kgまで発送可能。

DHLエクスプレスのサービスメニュー 

専門家に依頼する

発送する荷物の物量が各社の規定サイズを超過するようになった場合は、専門業者を検討するタイミングです。貨物輸送の物流全般をコーディネートしてくれるフォワーダー(または乙仲業者)を選びましょう。自ら船舶や航空機を持って実際の輸送を担う業者(キャリア)のアレンジから通関業務、集荷配送業務、倉庫管理まで、複雑な貿易実務の全般をサポートが可能です。

一般社団法人国際フレイトフォワーダーズ 

次回は、知っておきたい関税の話や過去の経験による国別トラブルの傾向をお伝えいたします。ご期待ください。

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