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  • 2020.04.13

あなたの会社はどの段階?「組織のライフサイクルモデル」とは

あなたの会社はどの段階?「組織のライフサイクルモデル」とは

経営者や部門リーダーなど、組織を率いるリーダーには様々な悩みがつきものです。
「忙しすぎて、社長自ら現場の仕事をこなさなくては回らない」
「チームに活気がなく新しいアイデアが出てこない」
などなど……。

もしかすると、その悩みは組織の成長過程に特有の課題かもしれません。
組織の成長を人間の一生に例えた「組織のライフサイクルモデル」は、組織の成長の各段階で訪れる危機と、それを乗り越えるための方法が提唱されています。
自分の会社やチームがどの段階にあるかを把握しておくと、今の段階にありがちな課題がわかり、成長するための突破口を探すヒントになるかもしれません。

組織には4つのライフステージがある

あなたの会社はどの段階?「組織のライフサイクルモデル」とは

出所:『組織の経営学』リチャード・L・ダフト著 髙木晴夫訳 ダイヤモンド社

組織のライフサイクルモデルでは上図のように、組織の成長の過程を4つの段階に分けて考えます。各段階では、進化するにしたがって既存のシステムでは支障をきたし、課題が表れ始めます。次の段階に進むためにはシステムを変革することで現状を打破する必要があり、無事に乗り越えることができた組織はさらに成長していきます。

各段階の大まかなイメージは次の通りです。あなたの属する会社や組織はどの段階に当てはまるでしょうか?

起業者段階……数名~50名規模。創業後間もないベンチャー企業や少人数の組織。
共同体段階……50名以上~100名規模。まだルールや規則の整備は部分的。
公式化段階……100名以上~1000名規模。ピラミッド型の階層組織で、ルールや規則が整備される
精巧化段階……1000名以上。 全体としては大規模だが、組織が細かく分化したりプロジェクトチームが編成されたりする。

業者段階

起業者段階はいわゆるベンチャー企業。創業メンバーを中心とした少人数体制の組織です。まだ小さな組織のため、創業者やリーダー個人の指揮によって組織がコントロールされており、創造的な新製品や新しいサービスを開発することで成長していきます。

従業員の数が増えてくると、創業者の個人的能力だけでは組織を管理できなくなり、従業員の人事・労務の管理や、経理・財務の管理業務など、様々なマネジメント業務が必要となってきます。しかし、創業者は技術者肌の人が多く、マネジメント上の問題に直面しても、製品の製造販売や新製品・サービスの開発にばかり集中したがることがあります。
このとき、うまく組織をマネジメントできる仕組みを整えなければ、これ以上の成長が望めなくなります。

具体的な解決策は「経営者の右腕」となりうる強力なリーダーシップを持った人材の育成や、外部から有能なマネジャーを雇うことです。

共同体段階

共同体段階は、組織の青年期。強力なトップ・マネジャーのリーダーシップのもと、明確な目標と方向性を策定しはじめます。製品部門と販売部門といったように、組織ごとに職務の割り当てや分業が確立していきます。予算の計画を立てて組織別にコントロールするようになり、従業員は組織のミッションを自分のミッションとして長時間働きます。

さらに組織が成長すると、経営トップにいちいちお伺いを立てていては回らなくなりますし、現場のことをよく知っているマネジャーが意思決定するほうが、迅速に正しい判断を下すことができるようになります。しかし、トップ・マネジャーが責任を手放したがらないと、いつまでたっても従業員が自律的に動くことができず、組織の成長がストップしてしまいます。

このとき、下位のマネジャーに権限委譲できるかどうかが今後の成長のカギとなります。同時に、直接トップが指揮することなく、各事業部門をコントロールし調整を行える組織のシステムを作り出す必要があります。

公式化段階

公式化段階は、組織にとっての中年期です。経営トップは戦略や企画立案に集中するようになり、現場のマネジャーの判断で製品・サービスの開発や市場開拓が進んでいきます。下位職に権限委譲することで、意思決定のスピードが高まり機動的に行動できるようになります。

組織が大きく複雑になっていくにつれ、評価システムや会計制度など様々な規則や手続きが導入され、次第に官僚的になっていきます。規則や手続きを守ることが目的にすり替わったり、手続きに時間がかかって素早い判断ができなくなったり、マニュアル人間が増えてしまったり、といったデメリットが生じてきます。現場のマネジャーが本社スタッフからの意見の押し付けにむっとする場合もあります。

解決策として、中間管理者の階層を少なくしてピラミッド型の組織構造をフラット化したり、部門をまたいだプロジェクトチームを編成したりして、組織を活性化する手段がとられることがあります。働き方改革の一環として、不要な会議をなくす、書類の回覧や捺印プロセスを短縮するといった工夫も有効でしょう。

精巧化段階

精巧化段階では組織が成熟し、大規模になっています。さらなる官僚主義化を避けるため、組織は多数の部門に分けられて分権化が進みます。全体としては大規模でありながらも小さな組織に分かれており、機動性も確保できている状態で、チームワークが発達します。

ただ、ここまで組織が大規模に成長してくると、創業者の想いや社会的使命が忘れられがちになることがあるため、組織文化を変革するなどして再活性化を図っていく必要があります。場合によっては10年から20年おきに刷新の必要性が生じ、しばしばトップの交代が行われます。

解決策としては、企業理念を浸透させる活動を行うことで従業員の結束力を高める、組織を経営戦略にあわせて再編する、といった方法があります。ITを活用して従業員同士のコミュニケーションを活性化し、情報を共有しやすくすることも、組織の活性化のための有効な手段です。

各段階で訪れる危機と解決策

あなたの会社はどの段階?「組織のライフサイクルモデル」とは

以上のような組織のライフサイクルのパターンは、かなり正確に予測できるようです。各段階で訪れる危機と解決策をまとめると、次のようになります。

■起業者段階
訪れる危機

従業員の数が増加し、経営者個人の指揮だけで組織をコントロールすることができなくなる。

解決策

ヒト・モノ・カネなどの経営資源を管理し、組織のマネジメントができる人材を育成する、または雇い入れる。

■共同体段階
訪れる危機

トップダウンの指揮命令系統だけでは組織が回らなくなる。

解決策

下位職に権限移譲し、自律的に動いてもらう。直接トップが指揮しなくてもまわるような組織運営システムを構築する。

■公式化段階
訪れる危機

組織が大きく複雑になり、規則や手続きが多くなり、新しい発想が生み出されにくくなる。

解決策

組織をフラット化したり意思決定手続きを簡素化したりして、官僚化が行き過ぎないようにする。新たなことに取り組むとき、様々なバックグラウンドや経験を持つメンバーを集めてプロジェクトチームを編成する。

■精巧化段階
訪れる危機

組織が停滞し、過度に官僚化することがある。組織の社会的使命や創業者の想いが忘れられることがある。

解決策

企業理念の浸透活動、組織の改編、ITを活用したコミュニケーションなどによって、組織を活性化する。

このように、組織は成長するにしたがってコントロールの仕方が変わっていきます。組織の運営に行き詰まったときに「次の一手」を考えるために、組織のライフサイクルモデルを参考にしてみてはいかがでしょうか。

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