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  • 2020.03.27

副業、兼業の解禁に備えて押さえておくべきポイントは?

副業、兼業の解禁に備えて押さえておくべきポイントは?

近年、国内企業で副業解禁の流れが加速しています。
日本政府は、副業や兼業を『新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、第2の人生の準備として有効』な働き方であるとし、2017年の「働き方改革実行計画」の策定以来、副業を推進しています。「柔軟な働き方がしやすい環境整備」の施策の一つとして、ここ数か月で急速に普及している「テレワーク」に並んで「副業や兼業」の普及が挙げられています。

平成30年には、厚生労働省が示している「モデル就業規則」が改訂されました。モデル就業規則とは、最新の労基法等の規定を踏まえた、就業規則のひな形・規定例です。
この改定によって、これまでの「モデル就業規則」にあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除され「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という新しい規定が設けられました。

「モデル就業規則」は、必ずしも「この規定通りに就業規則を設けなければいけない」という強制力を持っているものではありません。しかし、日本が国として副業を推進するという体制に舵を切ったことを示す一つの例だと言えるでしょう。

総務省の「就業構造基本調査」によれば、副業や兼業を希望する人(追加就業希望者)の数、副業を行っている人(副業者比率)はともに前回調査から増加しています。

副業、兼業の解禁に備えて押さえておくべきポイントは?

副業・兼業を希望する人が増えてきた背景の一つとして、単発で仕事を受発注できるクラウドソーシングが普及したことや、フリマアプリをはじめ、消費者間で取引を行う個人間取引のプラットフォームが広まったことが挙げられます。

これらのサービスを利用することで、フルタイムでの仕事ではなく、すき間時間や休日に取り組めるような仕事で収入を得ることが、比較的簡単に行えるようになりました。
皆さまの周りでも、ハンドメイドのアクセサリーを作って販売したり、使用しない雑貨や古本などをオークション・フリ―マーケットアプリなどで販売されている方を見かける機会があるのではないでしょうか。

会社員が副業を行う理由は「スキルアップのため」「資格の活用のため」「生活のための収入を確保するため」など多岐に渡ります。近年の不安定な経済情勢を受け、伝統的な日本型の終身雇用が保証されなくなってきている今、収入源の多角化を図ったり、 キャリアのステップアップを図ったりするために、本業では身につけられないスキルを習得するなどして、リスクの分散を望む人が増えているといえるでしょう。

従業員の副業の申し出、どう対応するべきか?

現状、副業や兼業を認めている日本企業の数は、まだ多くはありません。
少し古いデータですが、平成26年に中小企業庁が全国1,173社を対象に行った調査によれば、従業員の兼業や副業を「推進している」と回答した企業は一社もなく「推進していないが容認している」と回答した企業は全体の14.7%(173社)という調査結果が公表されています。

副業、兼業の解禁に備えて押さえておくべきポイントは?

では、自社の従業員や部下が「副業をしたい」と申し出てきた際には、どのように対応すべきでしょうか。
先述の調査によれば「推進していないが容認している」と回答した企業のうち、許可制を採っている企業はおよそ半数あり、残る半数は「特に会社への報告義務等はなし」と回答しています。

副業、兼業の解禁に備えて押さえておくべきポイントは?

企業の経営者・人事部が従業員の副業希望者に対応する際のポイントは、副業を認めることで発生する自社のメリットとデメリットを認識し、その上で社内制度を整備することです。

企業にとってのメリットとデメリット

企業が自社の従業員に副業・兼業を許可することで得られるメリットには、以下のようなものがあります。

・自社の従業員が、自社内だけでは得られない知識や経験、技能を獲得することができる
・従業員の自主性、自律性の発達が期待できる
・副業を許可している企業として、採用活動において他社との差別化を図ることができる
・社内の優秀な人材について、流出の抑止を図ることができる

一方、留意すべきデメリットには、以下のようなものが挙げられます。

・従業員の終業時間の把握・管理や安全衛生・健康管理への対応を行う必要がある
・職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務など、従業員が負う義務の周知徹底を行う必要がある

ここで留意しておくべき点は、副業には、個人事業主として自ら事業を経営する「自営業タイプ」と他の企業に所属して働く「ダブルワークタイプ」があるという点です。

以前から、実家の事業・農業などを手伝う兼業サラリーマンは存在していましたが、これは自営業タイプの一つに当たると考えてよいでしょう。
従業員が副業を希望する際にとくに注意が必要なのは「ダブルワークタイプ」の場合です。労働時間を筆頭に、労務面・健康面でのチェックを手厚く行う必要があります。

副業を許可するなら、申請・届出制度を整備しよう

もしも従業員が副業・兼業を行っている、という事実を企業側が認識していないと、労務・健康関連のトラブルを予防したり、トラブルが発生した際に適切に対応したりすることが難しくなってしまいます。
申請・届出制度を整備するなど、従業員とのコミュニケーションを十分に行うことが必要です。ただし、必要以上の情報提出を求めるなど、従業員の私生活への過度な干渉にならないよう、留意しましょう。

企業が社内制度を整備するにあたって整理しておくべき事項としては、以下のようなものが挙げられます。

・どのような形態の副業・兼業を認めるか(業務内容、終業期間、就業場所など)
・申請を受けた側は、どうやって「競業にあたらない」「業務に支障がない」と判断するか
・副業や兼業を申請する際の手続きのフロー(人事への申請、上長への申請など)
・副業や兼業の内容を変更する場合のフロー
・副業や兼業における実働状況を把握するための仕組みを用意するか(報告書など)

また、副業制度を設けるにあたっては「自社従業員からの副業ニーズがあるか」「社内の人材の活性化などの効果が期待できそうか」「自社の勤務形態や企業文化とマッチしているか」、といった文化的側面からの検討と同時に、「副業を行う人材をうまく活用できるか」といった採用・人材活用面、「労務面での問題を防ぐための仕組みの整備は十分行われているか」といった労務管理・労働安全衛生の観点からの検討も行う必要があるでしょう。

参考資料:中小企業庁 (平成28年11月28日)「平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業」

     総務省統計局(平成30年7月13日)「平成 29 年就業構造基本調査 結果の概要」

     厚生労働省「モデル就業規則について」

狩野 詔子

狩野 詔子

株式会社プロデューサー・ハウス

PROFILE

ライター、コンサルタント
大阪府中小企業診断協会 観光・サービス経営研究会 代表

サービス業・観光業における生産性向上を専門とするコンサルタント。
ヤマハ株式会社、デロイトトーマツコンサルティング合同会社にて、製造業の国内外拠点における業務改善プロジェクトに多数参画。
現在はテーマパーク運営企業にて飲食部門・バックオフィス等の業務効率化を手掛ける。

共著「一人ひとりの『働き方改革』講座」(日本マンパワー株式会社)
執筆記事「サービス業で使える!生産性を上げる『カイゼン』テクニック5選」、「サービス業のマーケティング入門!自社の『7P』を把握しよう」(中小企業庁ポータルサイト「ミラサポ」)ほか多数。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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