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  • 2020.01.20

移動革命をもたらす、
MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の基礎知識

移動革命をもたらす、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の基礎知識

大阪万博や東京オリンピックで活躍する新しいサービスを
知っていますか

1970年に開催された大阪万博(EXPO’70)のように、社会を支える新しい技術が、世界的なイベントをきっかけにして、爆発的に普及する…という、時代のターニングポイントがふたたびやってくるかもしれません。
皆さんは「MaaS(マース)」と言う言葉を聞いた事はありますでしょうか。「MaaS」は、2020年の東京オリンピックや、2025年の大阪万博で活躍が期待されています。

「MaaS(マース)」は「Mobility as a Service(サービスとしての移動)」の頭文字を取ったものです。
世界各国でのMaaS 構築に向けた共通基盤構築を推進する国際機関MaaS Allianceの定義によれば、MaaSとは「さまざまな種類の交通サービスを、需要に応じて利用できる1つのサービスに統合すること」とされています。
もう少し具体的にMaaSを定義しているのが、日本の国土交通省です。国土交通省の定義では、MaaSは「出発地から目的地までの移動ニーズに対して、最適な移動手段をシームレスに1つのアプリで提供するなど、移動を単なる手段としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして捉える概念」とされています。
MaaSが提供される社会では、顧客が様々な移動サービスに一元的にアクセスできるようになり、移動経路の探索から予約決済等を一括して行うことが可能になるのです。

具体的な例でイメージしてみましょう。
例えば、「東京から京都へ、2泊3日の旅行に行こう」と思い立った顧客がいたとしましょう。Google Mapなどの地図アプリでルートを検索するときには、飛行機や新幹線、鉄道、バス、タクシーといった経路が提案されますが、これらのチケットをまとめて購入することはできません。顧客はきっぷを購入したり、タクシーを手配したり、宿の予約などの取引を行う必要があります。
しかし、MaaSのサービス基盤が整備された社会では、バスや電車・タクシー、多様な交通手段による移動(Mobility)がシームレスに繋がれ、顧客にひとつのサービスとして提供されますので、顧客はワンストップですべての移動手段の予約やチケットの購入を行うことが可能になるのです。これが、「サービスとしての移動」の考え方です。
さらに、顧客の交通利用データも一か所に集約され、サービス提供者の側からは、顧客に向けてより精度の高いサービス提案を行えるようになります。

移動の「需要と供給」を解決する

移動革命をもたらす、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の基礎知識

日本政策投資銀行の調査によれば、日本の地方部と都市部は、それぞれ「移動」にかかわる課題を抱えています。
地方では、人口減少に伴い、公共交通の利用者数が年々減少しており、バス・鉄道とも廃止される路線が年々増えています。コストに見合うだけの乗客数が確保できず、交通サービスの維持が困難となっている赤字路線も散見されます。
いっぽう都市部では、鉄道の混雑や道路の渋滞が問題となっています。人々が移動するさいに、混雑・渋滞のために費やされる時間が、全国平均よりも長い状態です。「もし道路が渋滞していなければ、半分以下の所要時間で移動できる」という地域もあるほどです。また、都市部ではオリンピックイヤーを迎えるにあたり、日本を訪れるインバウンド旅行客の移動需要も満たす必要があります。

MaaSは、これら地方と都市部が抱える課題を解決する手段として注目されています。

地方においては、より少ない供給で効率的に住民の移動需要を満たすことができれば、課題解決に近づきます。例えば、定期的に運行する路線バスや電車の本数が減っても、「乗り放題の定額制タクシー」や「予約式のバス」(デマンドバスとも呼ばれます)が提供されていれば、地域住民の移動手段は確保することができます。むしろ、従来の1時間に1本しかない電車よりも、便利に移動することが可能になるかもしれません。
このような、既存の移動手段にMaaSを組み合わせ、地域住民の移動需要を満たすタイプのMaaSは「地域型MaaS」と呼ばれています。

都市部の課題である混雑の解消のためには、さまざまな交通手段を連携させながら、輸送効率を高めることが有効であろうと言われています。交通情報を集約・活用し、人々の移動手段を分散させたり、移動需要の高い時間・場所へフレキシブルに車両供給を行ったりすることで、混雑の軽減を図ることができるでしょう。このようなタイプのMaaSは「都市型MaaS」と呼ばれています。

海外におけるMaaS

MaaSの先進事例として、最も有名なものはフィンランドのベンチャー企業MaaS Global社の提供する「Whim(ウィム)」と言うサービスです。Whimは、複数の事業者が提供するモビリティーサービスを統合し、経路検索から移動費用の決済までを可能にしたアプリケーションです。都度決済のほか、月額定額制での「乗り放題」も可能となっています。月額定額制のプランでは、公共交通機関やタクシーのほか、レンタカーやシェアサイクルの利用までもがパッケージ化されていることが特徴です。
Whim発祥の地であるヘルシンキでは、2016年の秋からMaaSの試験事業を開始し、2017年の夏から本格的な運用が開始されました。

MaaSの普及に際して生まれるビジネスチャンス

MaaSが普及することで、社会や産業はどのような変化を迎えるのでしょうか。すでにMaaSが導入されている地域や国の状況を鑑みると、日本でも、企業規模を問わず様々な産業にMaaSの影響が波及すると予想されています。なかでも、MaaSとの親和性が高いのは商業、物流、観光・宿泊産業、といったサービス業です。

MaaS事業のポイントとして、利用者からの運賃収入を得るだけではなく、利用者を運んだ先の「目的地」からも収入を得る仕組みを構築することが必要であると言われています。例えば、目的地周辺の「美味しいレストラン」を紹介したり、移動途中にある「人気観光スポット」をお知らせしたりすることで、これらの店舗・施設から紹介費・広告費を得る、というビジネスです。そのために、MaaS事業者は、地域の行政や企業とのコネクションを築き、連携を行うことが必要となります。近い将来、地域の中小企業や小規模企業でも、MaaSに関わる機会が増えてくるかもしれませんね。

大規模集客イベントで活躍するMaaS

移動革命をもたらす、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の基礎知識

東京オリンピックでは、会場と会場を結ぶ輸送手段としてMaaSの技術を活用した車両の活躍が期待されています。
トヨタ自動車は、東京モーターショーで公開された車両「e-Palette」にMaaS技術を搭載し、オリンピック会場や、選手村などでサービス提供を行う予定としています。オリンピックは、多くのユーザから体験してもらい、フィードバックや運行データを得る格好の機会です。東京オリンピックで得られた実績データが、今後の日本のMaaSビジネスの発展に活用されるでしょう。

「待ち時間ゼロ」を目指す2025年の大阪万博でも、来場者の移動手段としてMaaSの活用が見込まれています。
大阪商工会議所はMaaS研究会を立ち上げ、MaaSに関心のある企業の参画を募っています。同研究会では、MaaSに必要となる、様々なデータを集約するためのプラットフォームの構築や、オープンデータを活用した、新たなサービスの開発を目指し、業種や企業規模の垣根を越えた連携の創出を目指しています。さらに、関西に主要な鉄道路線を持つ、大阪市高速電気軌道、近畿日本鉄道、京阪ホールディングス、南海電気鉄道、西日本旅客鉄道、阪急電鉄、阪神電気鉄道の7つの企業が関西MaaS検討会を組織することも発表されています。

2020年は、国際的なイベントでのお披露目を経て、MaaSがどれだけ普及していくのかという節目の年となりそうです。

狩野 詔子

狩野 詔子

株式会社プロデューサー・ハウス

PROFILE

ライター、コンサルタント
大阪府中小企業診断協会 観光・サービス経営研究会 代表

サービス業・観光業における生産性向上を専門とするコンサルタント。
ヤマハ株式会社、デロイトトーマツコンサルティング合同会社にて、製造業の国内外拠点における業務改善プロジェクトに多数参画。
現在はテーマパーク運営企業にて飲食部門・バックオフィス等の業務効率化を手掛ける。

共著「一人ひとりの『働き方改革』講座」(日本マンパワー株式会社)
執筆記事「サービス業で使える!生産性を上げる『カイゼン』テクニック5選」、「サービス業のマーケティング入門!自社の『7P』を把握しよう」(中小企業庁ポータルサイト「ミラサポ」)ほか多数。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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