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  • 2019.12.19

災害への備え、万全ですか?BCPを策定しよう

災害への備え、万全ですか?BCPを策定しよう

「BCP」をご存知ですか?

みなさま、BCPという言葉を聞いたことはありますでしょうか。
BCPとは「事業継続計画(Business Continuity Plan)」の略称です。大地震などの自然災害のほか、感染症の蔓延、テロ等の事件・事故などの不測の事態が発生したさいに、自社の事業を中断・断絶させないための計画のことです。

2018年には大阪府北部地震、西日本豪雨や台風、北海道胆振東部地震など、大規模な災害が連続的に発生しました。2019年も台風が日本各地に被害を及ぼしたことは、記憶に新しいでしょう。
これらの災害が地域の中小企業や小規模事業者に与える影響は非常に大きく、被災後に事業を再開することができず、廃業する企業も少なくありません。このような状況から、中小企業にとって、不測の事態にあっても事業を継続させるための事前対策、体制作りが重要視されるようになってきました。
そこで登場したのがこのBCPという考え方です。

自然災害などによって自社のサプライチェーンが途絶えてしまっても、自社の事業を中断させないため、あるいは一時的に事業が中断しても、可能な限り短い期間で復旧させるための方針・組織体制・被災後に摂るべき手順などがBCPには含まれます。
BCPを事前に策定しておくことで、被災後、早期に事業を再開できるようになることが期待されます。業務を早期に再開することができれば、取引先を失うリスクも抑えることができます。

BCPを作成する際のポイントは、網羅的に全社・全事業への対策を策定するのではなく、特に優先して再開するべき中核事業や施設などを絞り込むことです。優先順位を決めておくことで、ヒト・モノ・カネ・情報など、使える経営資源が限られる緊急時においても、復旧に向けた対応を行いやすくなり、事業再開の時期を早めることができるでしょう。

災害に備えるメリット-被災後の売上回復、平時の業務改善にも寄与

災害への備え、万全ですか?BCPを策定しよう

ここで上のグラフを見てみましょう。このグラフは、被災経験を持つ企業に対して行なった調査の結果です。被災によって下がった売上が、被災前の元の水準に戻るまでの期間を、「自然災害対策の実施の有無」に分けて表されています。

被災以前に自然災害への備えを行っていた企業では、そうでない企業に比べて「半年以内」といった比較的短い期間で元の水準に戻った割合が高く、「元の水準に戻っていない」企業の割合も低くなっています。

もしも自社の生産設備や店舗が被災し、半年間売上がなくなってしまったら…と想像してみてください。従業員の給与や仕入費用の支払いは毎月発生し、資金繰りは平時よりも難しくなることは想像に難くありません。自然災害に備えておき、売上高の回復に要する期間を極力短縮することが、経営上、非常に重要であることがわかります。

災害への備え、万全ですか?BCPを策定しよう

BCPの策定に際しては、優先して再開するべき中核事業や施設、取引先などを絞り込み、優先順位をつけます。この副次的効果として、約6割の企業が「重要業務とは何か見直す機会になった」と回答しています。BCPの策定は自社の事業を見直し、生産性向上につながるような策を講ずるきっかけにもなっているのです。
その他にも、社内のレイアウトや動線の見直し、会社内外の経営資源の把握、社内のコミュニケーションの改善、情報の電子化、取引先との連携の強化にもつながった、といった様々なメリットが挙げられています。

「打つ手なし!」の窮地に陥らないための対策を

災害への備え、万全ですか?BCPを策定しよう

BCPの策定には多くのメリットがある、ということをご紹介しました。しかし、BCPの策定はまだ「当たり前に実施されている」とは言えない状況です。

企業の従業員規模別にBCPの策定状況を見てみると、BCPを策定している割合は全体の16.9%に止まっています。また、従業員規模が小さくなるほど策定割合が低くなり、「BCP」という名称を知らない企業の割合も高くなっています。
小規模な企業ほど、目の前の業務に追われてしまい、いざという時の対策にまで手が回らない…という状況であるといえます。

企業規模が小さいほど、事業停止が資金繰りに与える影響は大きいものです。いざという時に「打つ手がない!」という状況に陥らないよう、まずはコストや労力をかけずに行うことができる対策から着手してみてください。
また自社だけでBCPの策定や防災減災対策を行うのが難しい場合には、行政機関、地域の企業、取引先といった社外の協力を得て、これらの取り組みを進めていくことも検討してみてください。

近年は、同業他社や取引先からの勧めでBCPの策定に取り組んでいる企業も増えてきています。自動車製造や半導体製造業では、有事の際の部品供給網の停止を避けるために、自社が取引先に製品を納入できなくなった場合に備えて、同じ製品を作ることができる別の工場を確保しておく「代替生産協定」の締結といった取り組みもなされています。

最初の一歩として、有事の際のリスクの大きさを把握しよう

BCPを策定するにあたり、最初に取り組むべきことは何でしょうか。
まず大きな費用や労力をかけずに行える取り組みとして「自社が持っているリスクの把握」が挙げられます。自社が「どの災害のリスクを、どの程度抱えているのか」を知ることが、対策の第一歩となります。

災害への備え、万全ですか?BCPを策定しよう

実は、半数以上の中小企業が「自社の事業所が地震や水害などによって損壊するリスクがどれほどなのか」といった、自社が抱えているリスクの大きさを把握できていません。これは従業員規模に関わらず、従業員数が100人を超える企業でも同様の傾向にあります。
2018年の調査によれば「いずれ調べてリスクを把握したい」と回答している企業が多く見られます。しかし、災害はいつ起きるかわからないものです。例えば「翌年の台風シーズン前までにリスクを調査する」といったスケジュールを定めて、早期に取り組むことが必要です。

地域における自然災害の発生リスクを把握するためのツールの1つに、「ハザードマップ」があります。ハザードマップは「防災マップ」、「被害予測図」とも呼ばれ、災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図のことを指します。ハザードマップは無料で公開されており、国土交通省のポータルサイトや、自治体のウェブサイト等で閲覧することができます。

自宅のハザードマップを見たことがあっても、勤務先・自社のハザードマップは見たことがない…という方も多いのではないでしょうか。
中小企業におけるハザードマップの活用状況を見てみると、「ハザードマップを見たことがある」割合は4割程度にとどまっている状況です。

無料で公開されているハザードマップを、活用しない手はありません。ハザードマップは、水害時が発生したときの自社工場や社屋の浸水リスクの把握、土砂災害の発生リスク等の把握に活用することができます。また、自然災害が起こるリスクを把握しておくことで、顧客の避難計画の作成や従業員の避難訓練への活用、リスクに応じた損害保険への加入を検討することもできるでしょう。さらには、今後の社屋や工場といった事業所の移転候補地の選定にも活用できます。

費用をかけずに災害のリスクや対策について検討を行うための材料として、ハザードマップは非常に有用なツールです。自社が位置する地域のハザードマップを見たことがないと言う方は、ぜひ一度確認してみてください。

【参考】

中小企業庁:2019年版「中小企業白書」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/PDF/chusho/05Hakusyo_part3_chap2_web.pdf

狩野 詔子

狩野 詔子

株式会社プロデューサー・ハウス

PROFILE

ライター、コンサルタント
大阪府中小企業診断協会 観光・サービス経営研究会 代表

サービス業・観光業における生産性向上を専門とするコンサルタント。
ヤマハ株式会社、デロイトトーマツコンサルティング合同会社にて、製造業の国内外拠点における業務改善プロジェクトに多数参画。
現在はテーマパーク運営企業にて飲食部門・バックオフィス等の業務効率化を手掛ける。

共著「一人ひとりの『働き方改革』講座」(日本マンパワー株式会社)
執筆記事「サービス業で使える!生産性を上げる『カイゼン』テクニック5選」、「サービス業のマーケティング入門!自社の『7P』を把握しよう」(中小企業庁ポータルサイト「ミラサポ」)ほか多数。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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