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補助金で生産性向上、申請書作成3つのポイント

補助金で生産性向上、申請書作成3つのポイント

中小企業の人手不足が加速しています。景気拡大という循環要因に加え、生産年齢人口の減少という、構造要因も影響しています。

このような外部環境の中、政府は補助金制度により、中小企業の生産性向上につながる設備投資を後押ししています。

本記事では、通称「ものづくり補助金」と呼ばれている、平成30年度補正「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を題材として取り上げ、補助金申請書の作成ポイントについて解説します。

補助金の背景と基本事項

補助金で生産性向上、申請書作成3つのポイント

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/index.html)

上図は、従業員の状況について「過剰」と答えた割合から、「不足」と答えた企業の割合を引いた「従業員数過不足DI」の推移を示しています。2009年から減少に転じ、2018年は全業種で「不足している」と答えた企業が多いことが分かります。

生産年齢人口は今後も減少する見込みであり、中小企業の競争力を高めるためには、適切な設備投資等により、生産性向上を図ることが必要不可欠です。しかし、設備投資は多額の資金が必要になるため、補助金を活用することも選択肢の一つです。

例えば、革新的なサービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善を図る設備投資なら、「ものづくり補助金」があります。

バックオフィス業務の効率化や、新たな顧客獲得等のための付加価値向上に資するITツールの導入であれば「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」が検討できます。

補助金申請書作成の3つのポイントはこれだ!

補助金は申請者すべてが受け取れるものではありません。決められた予算枠があるため、補助金の趣旨にあった事業者を審査する必要があります。補助金採択の鍵を握っているのは、申請する事業の詳細を記載する「事業計画」です。今回は、特に重要となる3つのポイントを解説します。

(1)補助金の目的にかなった事業を申請する

補助金にはそれぞれ目的があります。例えば「ものづくり補助金」であれば、次のような目的が定められています。

足腰の強い経済を構築するため、日本経済の屋台骨である中小企業・小規模事業者等が取り組む生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等の一部を支援します。

(出所:平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金【公募要領】下線部筆者)

補助金の原資は、皆さんが納めている税金です。補助金には、その目的に沿った事業へ資金を支給することで、税金を効果的に日本経済へ還元するという目的があります。

単に最新鋭の設備を入れるだけではなく、その設備を導入することで企業の競争力をどのように上げるのか、その結果日本経済にどのような成果を生み出すことができるのか、まで考えた事業計画を作成することが求められます。

あわせて、「ものづくり補助金」では、テーマや事業内容から判断し、国が助成する他の補助金等と重複する事業は対象外となりますので、注意しましょう。

(2)募集要項を読み込み、審査ポイントを理解する

「ものづくり補助金」の募集要項は80ページを超え、普段聞き慣れない言葉もあることから、読みにくいものとなっています。私の支援先でも「申請書を読み込む時間がなくて……」といった声をよく伺います。

しかし、補助金の申請書には、補助金を審査する側が「この点は必ず抑えてほしい」と捉えている審査項目も記載されています。審査のポイントからずれた事業計画では、採択に繋がりません。したがって、募集要項はしっかり読み込む必要があります。

例えば「ものづくり補助金」では、次のような点が事業化面の審査項目として挙げられています。

事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。

事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。

補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。

(出所:平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金【公募要領】 下線部筆者)

設備導入による効果だけでなく、事業実施のための体制構築を検討しているのか、市場ニーズ、スケジュールの妥当性なども多面的に検討して計画を作成することが求められていることが分かります。つまり、事業を実行する体制が本当に整っているのかどうかを見られているのです。

申請書の読み方や審査ポイントがわからない場合は、中小企業診断士や経営革新等支援機関にサポートを求めることも方法の一つです。

補助金で生産性向上、申請書作成3つのポイント

(3)その事業計画は、学生でもわかる内容ですか?

この3点目が、私は大きなポイントではないかと考えています。

補助金を申請する側である皆さんは、その事業の「プロ中のプロ」です。

しかし、申請書を始めとした事業計画を読む審査員は、皆さんの事業については全くの素人。しかも、短い審査期間で大量の申請書を読み込む必要があることから、1つの申請書にかけられる時間は1~2時間程度とも言われています。

したがって、短時間で申請事業について理解できる事業計画であるかどうか、が最も重要です。検討すべき点としては、次の事項が挙げられます。

・学生でも分かる内容か?
筆者が度々見かける事業計画は、その業界の方しか分からないような専門用語や言い回しがそのまま使われているものです。特に技術的な内容は専門的になりがちです。

申請書を作成する皆さんは日常的に使っている用語でも、素人は「初めて聞く」言葉が多いものです。分かりにくい事項については別途解説を加えると効果的でしょう。

また、全くその事業のことについて知らない人に事業計画を読んでもらうことも有効な手段です。大学生や高校生といった学生が理解できる文章かどうか、という視点で読み直すこともよいでしょう。

・写真や図表を用いる
前項に通じる点ですが、文章のみの申請書ほどわかりにくいものはありません。適宜図表や写真を用いて、視覚的に記載することを心がけましょう。

例えば、その事業についての市場・ターゲット等のポジショニングマップを記載することは、他社との差別化を視覚的に示すことができます。文章では長く説明しなければならない事項でも、1つの図表を用いることで、数秒で理解できる内容に変わるのです。

・1文は短く。1文には1つの事項を書く
「この事業の優位性を伝えたい」という気持ちが高まると、文章は長くなりがちです。文章はできるだけ短く区切ることがポイントです。一度書いた文を、さらに区切ることはできないか?という点で見直すとわかりやすいでしょう。

また、1つの文章には1つの事項だけを書きます。1文に複数の事項を書き続けることは、主語と述語の関係性が離れ、論理の飛躍が起こりやすくなる原因にもなります。

ポイントを押さえれば、補助金の申請書は怖くない

補助金は、経営資源が限られる中小企業にとって、設備投資等をする際の力強いサポートとなるものです。

現在は多種多様な補助金があり、目的や審査項目もそれぞれ異なります。しかし、本記事で解説したポイントは、全ての補助金に当てはまる基本的な事項です。

ぜひ積極的にチャレンジし、補助金をうまく使って事業の生産性向上につなげましょう。

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