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事業を好転させた中小零細企業が実践する、たった4つの戦略(第2回)

どんなことでも良い、とにかく1位を目指せ(小さな1位)

どんなことでも良い、とにかく1位を目指せ(小さな1位)

最初に前回のおさらいをしておきましょう。そもそも、小さな会社の成功は
①差別化
②何かで1位
③一点集中
④接近戦
が必須ということはお伝えしました。

そして「強い同業他社・強者と同じ舞台で戦ったら負けてしまう力の弱い小さな会社・弱者が、大手とは商品・地域・客層であえて違うことをやる」ということが差別化です。

例えば、「やずや」は先発強者のキューサイ冷凍青汁と差別化した顆粒粉末の青汁、「一風堂」は先発が無視していた女性客向けのラーメン、「博多とよ唐亭」はコンビニやスーパーができない揚げたての唐揚げなどを例に取り上げました。

今回は、2つ目の「何かで1位」について話しましょう。日本一でなくても、九州1位とか県で1位、もっと絞って東区のトンコツラーメンならあそこ、とかで良いのです。
どんな会社や店や人でも、商品や地域や客層を細分化すれば「それならあそこよね。あの人ね」という一番があります。経営用語では小規模一位、部分一位、ニッチ一位などとも言います。

「日本で一番高い山は?富士山ですね。では2番目は?日本で一番広い湖は琵琶湖ですが、2番目は?」セミナー会場で聞くと9割以上の方は2番目を知りません。
私もそれぞれ北岳、霞ヶ浦、とは全然知りませんでした。1番以外は覚えられず、話題にもなりませんね。

また、「この辺で美味しいラーメン屋はどこですか?」と聞かれた場合、あなたはどう答えますか?食べ物は嗜好品で人によって好みが違いますが、紹介するなら自分が1番美味しいと思う店ですよね。2番目や3番目ではなく。

このように、人は1番は覚えますが、2番以下は忘れやすい。口コミ紹介では1番が紹介される事が多い。結果、営業経費のかからない口コミ紹介が増えるので、営業利益率も高くなるんですね。

あなたの会社で「〇〇ならウチだ!」と言える小さな1番は何ですか?

どんなことでも良い、とにかく1位を目指せ(小さな1位)

マーケティング用語のUSPもほぼ同じです。ユニーク・セールス・プロポジション。他にない独自の売り、という意味です。
個人でもサラリーマンでも「〇〇なら山田さんだ」と言えるような1位はありますか?ドラッカーの「何によって憶えられたいか?」も同じです。あなたの小さな1位、オンリーワンは何か?

予備校講師でタレントの林修先生は元々数学が好きで得意でしたが、予備校内一ではない。
ライバルの講師陣を見渡して、現代文なら一番になれるとあえて教科の登録を変更しました。結果、各講座のトップ講師が次々登場するCMの現代文講師に抜擢され、あの「いつやる?今でしょ!」で売れっ子タレントになりました。

スポーツ解説者の為末大さんは中学まで100m走で日本一でした。ところが高校生になって徐々に追いつかれ、監督の独断で400mハードルへ転向させられます。
花形の100mから外されて大ケンカしたそうですが、400mハードルなら楽勝で日本一。さらに世界ジュニアに出てみると、100mに比べて明らかにライバルが大したことない。ここなら世界も狙えると世界陸上で2度も銅メダルを取ります。
短距離トラックでは日本人初の快挙で、400mハードルの日本記録は現在も破られていません。もしも花形の100mに固執したままだったら、全くの無名で終わっていたかもしれません。

鶏口牛後。「大きな組織の末端ではなく、小さな組織のトップでいなさい」という中国の格言です。
蚊取り線香という小さな市場で、意図的に日本一になったのが「金鳥」の大日本除虫菊ですが、なぜ線香会社のブランドマークが鶏の金鳥?それは鶏口牛後の経営を忘れぬようにとの思いから、創業者が創案したのだそうです。

中洲の半径500mのみに絞り、圧倒的なシェアトップに

福岡市の歓楽街・中洲の「半径500mのみ」で小さく大成功している、福一不動産という不動産会社があります。私が最初に古川社長に会った1998年は年商750万円で赤字でした。自分の手取りも無し。はっきり言ってダメ社長でしたね。

古川社長は倒産した大手マンション会社の営業マンから独立、中古マンションの販売代理からスタートし、新築マンションや戸建ての売買・アパマン賃貸・土地売買・管理など不動産周りは何でもやりました。
客層もサラリーマンから学生や社長などすべてを対象にしており、福岡市内を拠点に、毎日車を走らせて大分や熊本や鹿児島にも出向きました。1年間寝る間も惜しんで働くも稼げず、暇もなしという毎日。

しかし1996年、私の師匠でもあるランチェスター経営の竹田陽一セミナーに参加し、生まれて初めて商売の原理原則に触れた気がしたそうです。より詳しい音声教材を買って車の移動中に何度も聴きました。
「体力がある強者大手は、何でもどこでも誰にでも売る。しかし、世の99%を占める我々中小弱者は商品を絞る、地域も絞る、客層も絞ること」
「1位以外は価値がない。2位以下はスクラップだ。商品・地域・客層を細分化すれば、中小零細でも他に負けない小さな1位が必ずある」などの教訓は、何でもどこでも誰にでも売っていた自分と真逆。
明らかに自分は間違っている。でも、現状を変える勇気はなかなか出てこない。商品も地域も客層も絞ったら売上が減るのではないか?という葛藤との戦いでした。

どんなことでも良い、とにかく1位を目指せ(小さな1位)

中洲の繁華街オーナーの間では知らない人はいない不動産会社へと成長した

その2年後の1998年、やずや創業者・矢頭宣男氏の経営計画セミナーにも参加。参加者の中で年商1000万以下は自分だけ。
「個人の年収が1000万取れない社長は辞めろ!」と矢頭氏から喝破されたと言います。そのセミナー、2回目からは参加者が1/3に減ったそうですが、古川社長は食らい付きました。

中洲のスナック特化の不動産屋を考えていると吐露すると、矢頭氏から久留米の歓楽街に絞った酒販店「泉屋酒販」の存在を教えてもらい、翌日朝7時に掃除中の会長を訪ねる。地域と客層を狭く限定して黒字経営を長年継続している会長に「深く穴を掘れ。穴の直径は自然に広がる」と教えられます。

これでスイッチが入り、「地域は中洲半径500m」「客層はスナック・クラブのママ」「商品はテナント店舗の仲介」に絞り、中洲のママ向け不動産屋で地域シェアNo. 1を目指す決心がつきます。

車は捨てて徒歩と自転車。広告は福岡県全域の月刊住宅誌10万部ではなく、中洲3000店へポスティングと手配りを毎週実施しました。自分の住居も中洲内に引っ越し、町内会や祭りや経営者の団体などの役を片っ端から引き受けるように。
来店したママさんには即日お礼ハガキでフォローし、ママ向けの経営勉強会も開始。地域の人や行事を紹介する手作り新聞も毎月発行しました。

私は矢頭氏のセミナーに一緒に参加していたので、古川社長の変わりようを最初から見ていました。結果は月商70万円が半年後には200万円へ。さらに1年後は月商400万円で年商も5000万円へ。

スイッチが入って19年目の現在は年商2億を突破。手数料収入なので売上=粗利で、夫婦の年収も3000万円。会社の経常利益も二桁です。

「今の小さな成功は、ランチェスター経営竹田先生の理論と、行動を後押し叱咤激励してくれたやずや創業者のおかげ。商品・地域・客層を絞ることは、もの凄い効果を生む」

と古川社長。

現在、中洲ではスナックやクラブが年間60店オープンしますが、そのうち福一不動産によるテナント紹介は何割だと思いますか?なんと9割です。
この相当数が口コミ紹介。だから営業経費もかからず利益率も高い。なぜ口コミ紹介が多いのか?中洲なら福一不動産が圧倒的ナンバーワンなので、関係者なら誰でも知っているんですね。富士山のように。

西日本最大の福岡市には、福一不動産より規模が大きな同業が数百社はあります。しかし、中洲半径500mのスナックやクラブ3000店に毎週チラシを手渡しし、来店後は手書きハガキでフォローしたり、さらに一緒に経営の勉強会もやる不動産屋は福一のみです。

あなたはどの商品・地域・客層で1位を目指しますか?

栢野 克己

栢野 克己

株式会社インタークロス 代表取締役

PROFILE

小さな会社や独立起業の事例研究家。作家。小企業コンサルタント。
人生や経営の成功事例講演を全国の商工会やJC、法人会などで約1,500回講演。
講師を招いたセミナー交流会「九州ベンチャー大学」、「人生経営計画セミナー」などを18年間で1,000回以上主催し、累計で延べ1万人が参加。

著書『やずやの秘密』、『弱者の戦略』、『小さな会社☆儲けのルール』、『大逆転!バカ社長』は累計22万部のベストセラービジネス作家。
日本・中国・韓国・タイ・インドネシアでの翻訳版も出版。累計69ヶ国渡航。


問い合わせ先:
Email : kayano55@gmail.com
TEL : 092-781-5252
URL : http://yumesenkan.jp/

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