海外進出 はじめに知っておくべきこと(第8回)
まとまった量の貨物を送る際の注意事項(通関について)
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あなた「よーし。貨物をいよいよ輸出できるぞー!」
外国社「チョットチョット!!!通関ハ、済ンダノデショウネウネ?」
あなた「え、通関ってなんだっけ。サンプルを送るときはそんなのなかったような。輸出するのにどう手続きがいるのだろう・・・」
あなた「ふう・・・。まだまだ勉強不足だなぁ。」
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以前「サンプルを送る場合」についてお話しました。
https://www.b2b.alibaba.co.jp/aj-press/2018/02/post-18.html
今度は「ある程度まとまった量を輸送する場合」について見ていきましょう。
契約がまとまったら、いよいよ輸出者は、通関手続き及び船積手続きを行います。
この通関手続きを終え、船積を行うと、貨物は日本を離れ、長い時間をかけ海を渡り、輸入者のもとへと運ばれていきます。
それではこの「通関手続き」は誰が行うのでしょうか?
今日も一緒に張り切って学習していきましょう!
①通関はプロにお願いする
輸出に伴う通関手続きや船積手続きは、輸出者自らもできますが、専門の業者にお願いするのが一般的です。
これらの業務を引き受けてくれるのが、財務大臣による通関業の許可を持つ海貨業者です。
②そもそも海貨業者とは?
海運貨物取扱業者の略で、個品運送契約(定期船に複数の荷主の貨物を混載する契約のこと!)に基づく貨物を、荷主である輸出者に代わって港頭地区で運送人に渡します。
③貨物の搬入の流れ
梱包の終了した貨物は、メーカーや梱包業者、あるいは輸出者によって、輸出者の指定する海貨業者の倉庫に搬入されることになります(または海貨業者に集荷を依頼することもあります)。
④通関用書類ってコレだ!
通関業者でもある海貨業者は、貨物の搬入と前後して、輸出者が作成したシッピングインストラクションズ(Shipping Instructions)及びその添付書類に基づき、通関書類を作成します。
なお、輸出通関に必要な書類としては、次のようなものがあります。
(1)仕入書(通関用インボイス)
(2)通関用パッキングリスト
(3)他法令に規定する輸出許可証、または輸出承認証、検査の完了を証明する書類
(4)カタログのコピーなど貨物内夜を説明できる書類
ここでは特に大切な書類について解説していきたいと思います。
【シッピングインストラクションズ(Shipping Instructions)】
輸出者が海貨業者に作業を依頼する場合には、シッピングインストラクションズという書類を使って、委託する業務内容を明確に指図します。
この書類には所定の様式があるわけではなく、輸出者が独自に作成することができます。もちろん、通関業者等に船積みを依頼することもでき、その場合は通常、業者所定の書式が使用されます。
内容としては、①依頼作業内容、②貨物の情報、③書類に関するもの が記載されます。
輸出者はこの書面によって、例えばメーカーから貨物の取引にはじまり、梱包、コンテナ詰め、検量の手配、通関、輸送人への貨物の引渡し、B/L(船荷証券)の取得に至るまで、幅広い作業を海貨業者に依頼することができます。
したがって、シッピングインストラクションズは、貨物の受渡しを明確にする上で、非常に重要な書類といえます。
輸出者はこのシッピングインストラクションズに、通関や船積みに必要な書類を添付して海貨業者に引渡すとともに、その他の必要書類の取得を依頼することもあります。
【仕入書(通関用インボイス)】
日本の関税法では、輸出申告書を提出する際の添付書類として、必要に応じて仕入書を税関に提出することもあります。海貨業者は、仕入書等をもとに輸出者に代わって輸出申告書を作成し、税関に提出します。
税関ではこの輸出申告書をもとに輸出通関統計を計上しますが、その際、取引によって条件が異ならないよう、申告価格は実際の契約上の貿易条件とは関係なく、すべてFOB 価格にすると関税法で規定されています。
このため実際の取引がCFR やCIF 等の場合には、それらの金額から、予定される運賃や保険料を差し引き、FOB 価格に換算し直して申告することになります。
【カタログ】
輸出申告書で貨物の品名を申告しますが、その際、決められた輸出統計品目番号も申告しなければなりません。そのため通関業者(海貨業者)が輸出申告書を作成するときの貨物分類を決定する参考資料として、カタログ等の提供を求められることがあります。
いかがでしたか。
今回は「通関」について必要な書類をお話しました。
詳しい流れは、また別の回でお話できればと思います!
輸出手続きを理解し、貿易取引を円滑に進めましょう。
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