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CASE英語力より大切なのは、商品の良さを丁寧に伝えること成功を掴む秘訣はじっくり構える胆力信州銘醸株式会社

創業180年超 信州上田の老舗酒蔵の挑戦

日本酒の国内消費は、嗜好の多様化や若者の酒離れを受けて、この40年で出荷量は約3分の1まで減少した。
「日本酒の醸造業は守られた業界でした。一級酒や二級酒って訊いたことありますか? 日本には1992年まで日本酒級別制度というものがあり、産地がどこであっても、どんな材料でどんな風につくっても等級が同じであれば価格も同じでした。わざわざ輸送コストをかけて遠方で販売する必要性がなかったので、当社のお酒も95%は地元で消費されていました」

そう話してくださったのは、信州銘醸株式会社の滝澤恭次社長。信州銘醸は、現在の長野県上田市に「枡屋」として1834年に創業し、183年の歴史を 誇る日本酒メーカーだ。喜久盛、瀧澤、梁山泊、黒耀が代表的な銘柄で、全国新酒鑑評会では金賞を16回、連続8年受賞している。また、酒米を地元の農家から仕入れ、農閑期には農家の方にも酒造りの応援を頼むなど、地元とのつながりを強めた生産体制を敷いていることも特徴のひとつだ。

前述の「日本酒級別制度」が廃止されてからは、価格も酒造会社が自由に設定できるようになり、日本酒の国内流通が一気に進んだ。地元でのシェアはおのずと減少し、それに輪をかけて業界全体の出荷量が減り続けた。同社も徐々に日本全国へと販路を広げ、現在は地元以外への流通が52%まで拡大している。

市場開拓のために海外輸出をスタートし、世界的に高まる日本酒需要を実感

市場開拓のために海外輸出をスタートし、世界的に高まる日本酒需要を実感

「海外に目を向けるようになったのも、市場を拡げないと生き残れないという危機感からでした。2008年頃から右も左もわからない中で輸出事業に取り組み、わずかに実績ができたので、さらに海外事業を加速させようと思い、2011年からアリババさんの利用を始めました」

近年、海外での日本酒需要は高まり、清酒の輸出量は、和食が「ユネスコ無形文化遺産」に登録されたことも追い風となって増加した。平成29年の輸出数量は23,482kℓと10年で2倍を超えてきた。

醸造酒の世界的スタンダードであるワイン同様、土地の農産物からつくられる醸造酒として「ライスワイン」と呼ばれ、親しまれる機会も増えている。

市場開拓のために海外輸出をスタートし、世界的に高まる日本酒需要を実感

信州銘醸もこの追い風を活かし、アリババを通じて取引先を開拓している。今でこそ販路が広がった同社だが、なんと初成約はスタートから1年半後。先が見えない厳しい中でも諦めなかったのは、商社経由での輸出量が増加し始めていたことで、アリババでもいずれ実績が出るだろうという、ある意味楽観的とも思える自信を持てたからだという。社長が自ら長年アリババの問い合わせ対応を行ってきたことで、良いバイヤーの見分け方がわかってきたのだそうだ。

「長年、営業を担当していたので、ビジネスにつながる相手かどうかを判断する勘はある方だと思っていましたが、最初はスパムメールの対応に苦労しました。コツコツ返事をするうちに、徐々に見分けられるようになってきましたね。

あくまで私の経験上ですが、政府系の組織を名乗り、投資をしたいと持ちかけてくるメッセージは大体スパムでした(笑)。あと、ごく普通の会話がかみ合わない場合も怪しいです。スパムを見分ける方法としては『次回取引の際にサンプル代金分を差し引くので、今回は1万円でサンプルを送ります』と伝えると、スパムの場合大体いなくなります」

商品の魅力を自分の言葉で伝えることで、バイヤーの信頼を得る

本格的に商談が始まったとき、滝澤社長がこだわっているのは、商品の魅力をできるだけ詳しく伝えること。

「商社経由にしなかったことも、実際の展示会よりアリババを選んだ理由も、自社の魅力を最大限伝えたいと思ったからです。たとえば、大きな展示会に参加するバイヤーさんは、大企業のベテランの方が多い。自社製品の良さを伝えても、手広く扱う商品のうちの1つとみなされてしまうことが多く、取引につながる出会いはなかなか得られませんでした。今、当社が取引しているバイヤーさんは、当社の商品を本当に気に入ってくださった個人の方が多いです」


海外事業を始めて数年は商社経由で輸出していたものの、取引量が伸びなかった同社。お酒本来が持つ味や風味、香りといった魅力がバイヤーに伝わらなかったことが原因と滝澤社長は分析する。だからこそ自らバイヤーに商品の魅力を伝える事にこだわりを見せる。実際、商品の魅力を自ら海外へアピールするようになった現在は、商社経由で貿易を行っていた頃に比べると10倍もの伸びを見せているという。
しかし、商社の力を借りなかったことでバイヤーとのやり取りは自身で担うことになる。問題はなかったのだろうか。

「正直な話、私は英語ができません。Google翻訳に頼りきりで、文法は今でもでたらめだと思いますが、先方に意図が伝われば商談は成立するという自信はつきました(笑)。今も親しくしているドイツのバイヤーさんとは、諸事情で取引開始まで半年かかったのですが、その間文通みたいにメールを交わしましたね。当社のお酒について細かく知ってもらえたので、結果的にいい取引ができています」

商品の魅力を自分の言葉で伝えることで、バイヤーの信頼を得る

現在は香港、シンガポール、ドイツ、韓国、台湾等12カ国に出荷されている信州銘醸の日本酒。最近は国内外を問わず、酒蔵の個性が感じられる酒に人気が集まっている。

「私たちと取引している個人バイヤーさんは、現地の大手企業が日本酒輸入を始めた場合、価格面では敵いません。価格競争に巻き込まれないためにも、定番だけでなく、季節限定の『しぼりたて』などのお酒にも関心を持っているようです。国内でもその傾向は強まっていて、バイヤーさんが蔵に訪れ、様々な酒の風味を確かめて買われることが増えました。

長年、日本酒といえば辛口が主流でしたが、今は甘みや旨みを感じられ、華やかな香りのお酒が好まれる傾向です。それにより、海外ではワインと同じような立ち位置で供されるようになったのだと思います。私たちも、根強い人気の辛口の醸造は続けながらも、今好まれる味も追求しています」

変化を恐れることなく、海外でのさらなる市場開拓を目指す

変化を恐れることなく、海外でのさらなる市場開拓を目指す

海外事業を続けるにあたっては、応援してくれる社員の存在も欠かせなかったと滝澤社長は話す。

「最初は、何をしているんだと思っていた社員も多かったと思います。でも、少しずつ出荷先や出荷量が増えてくると社内の空気も変わってきました。国内にとどまっていては先細りが明らかでしたし、変化することを怖がらない、前向きな雰囲気が出てきたと思います」

この先の海外展開について伺うと、少し足踏みしている現状から、展開先を増やしたいという意欲が感じられた。

「最近、新規顧客との成約ペースが横ばいなので、商品の見せ方や特徴の伝え方などを見直すタイミングに来ているのかなと思います。今は、年商の8%ほどが海外輸出での売上です。国内は少子化の影響は避けられないので、やはり海外での売上を増やしていきたいですね。また、これまで中国から何件も問い合わせが来ています。

しかし、東日本大震災による輸入規制措置の規制対象に長野県が含まれているために輸出できません。まだ決定ではありませんが、2019年に長野県が対象から外れるという話が出ているんです。もし撤廃されれば、すみやかに取引につなげたいです。ありがたいことに、当社の日本酒はさまざまなコンテストで賞をいただいています。特別な高級酒から、気軽に飲めるお酒もあれば、通好みのものもあります。賞にしがみつかずそれぞれのバイヤーさんの先にいる各国のお客様に愛されるものを提供したいです」

最後に、海外展開における成功のポイントを伺った。
「先ほども話しましたが、英語ができなくても何とかなりますし、輸出に関する手続きも最初はとっつきにくいと思いますが、だんだん理解できるようになります。あとは、周囲で何を言われているかは気にしない『鈍感力』も必要かもしれません(笑)」

そういって謙遜する滝澤社長の予定表には、世界各国での商談が記入されていた。積極的に現地の状況を確認する行動力、日本酒そのものや輸出業務について学ぶ意欲に成功の秘訣が垣間見えた。(文:岡島 梓)

Company Information

会社名:信州銘醸株式会社

業態:日本酒製造業
取扱商材:日本酒
年商:3.3億円
海外売上:3,000万円
従業員数:15名

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