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  • 2021.05.27

競合分析の手法について

競合分析の手法について

競合分析とは、ライバル企業を調べ上げ分析することです。「競合のことなんて気にしない!自社は自社の路線で行く!」といった考えを持たれている方もいらっしゃるかもしれませんが、競合のことを分析し戦略に活かせているかどうかで、事業の成功確率は格段に変わります。

なぜなら、市場における需要は無限ではなく、限界が決まっているからです。そのため、その限られた市場の中で競合とシェアを奪い合う必要があり、いくら製品やサービスを大量供給できたとしても、市場以上の需要は見込めません。そのため、競合分析を行い相手よりも優位な戦略を打ち立てることで、限られたシェアを勝ち取る必要があるのです。

しかし、競合分析をいざ行おうと思った際に、どのようにすすめれば良いかわからないといったことがあるかもしれません。そのため、今回は競合を分析する際の考え方や手法を解説していきます。

1.競合分析を行う際の考え方について

まず、具体的な競合分析の手法を解説する前に、競合分析を行う際の考え方をお伝えします。
この考え方を持っていると、より良い競合分析を行うことができます。

①競合は業界内の企業だけとは限らない

マーケティングで有名な言葉に「ドリルを買う人が欲しいのは、ドリルではなく穴である」といった格言があります。同じように、競合分析を行う際に、ドリルを製造している企業は他のドリルを製造している企業だけを競合と認識し、その企業だけを分析してしまうケースがあります。しかし実際には、レーザー等の異なる技術で穴をあける企業が競合かもしれませんし、穴をあけずに顧客のニーズを満たす技術をもつ企業が競合かもしれません。

例えば、「映画館の競合は?」と尋ねられた場合には、別の映画館や、レンタルビデオ店やネットフリックスなどの動画配信サービス、テレビなどの「映画が見られる別の媒体」を競合と想像するのではないでしょうか?
しかし、映画館を「消費者の余暇時間を埋めるサービス」と定義した場合はどうでしょうか?
その場合にはテーマパークや漫画、ゲーム、SNSなど様々なものが、消費者の限られた余暇時間を奪い合う競合となるわけです。
また、「彼女とデートで素敵な時間を過ごす場所」と定義すると、また違った競合が現れるかもしれません。

競合が変われば、そのあとの分析内容は変わってきます。そのため、競合を定義する際は、視野を広く持つことが大切です。

②競合の強みに対抗しようと考えない

競合分析の結果、他社の強みに注目しすぎて、幅広い視野で分析できないケースがよく見られます。

例えば、競合が自社よりも高品質な製品を制作しているから、自社は他社よりも高品質な製品を制作しないといけないと張り合ってしまうケースです。もし自社の機能が、顧客のニーズを満たせていなくて不満をもたれているのであれば話は別ですが、顧客のニーズを満たした上で競合と張り合っていては、差別化に繋がりませんし資本を無駄に投下してしまう恐れが非常に高くなります。

競合と張り合ってナンバー1を目指すのではなく、競合分析によって競合に勝てる、異なる領域でオンリー1を狙うための市場調査を行いましょう。

2.競合調査を行う

分析を行うためには競合の情報を多く集める必要があります。

そのため、競合の情報を集める手法を記載していきます。特にBtoBの場合はBtoCに比べて競合の情報が公になっていないことがよくあります。いずれにしても、綿密な調査を行えたとしても、100%相手の情報を集めることはできません。そのため、情報を集めきれない個所は仮説を立てて分析につなげましょう。

①調査項目を明確にする

まず、どういった項目を調査する必要があるのかを明確にしましょう。
なぜなら、競合企業のことを隅々まで調査しようと思うと莫大な労力が必要になります。
そのため、仮説を立てて、調査する項目を設定することで、労力を減らすことができるだけでなく、より精度の高い調査結果が得られます。

例えば、ビジネスモデルを調査したい場合は、提供している製品やサービス以外に強みがあると仮定すると、その製品やサービスの調査だけでなく「事業規模・顧客層・商品ラインナップ・価格帯・販売方法・アフターサービス・納入実績、、、」などの項目が考えられます。
あらかじめ調査する項目を仮説によって決定することで、効率性を高めることができます。

②競合情報を入手する

はじめに、競合企業のホームページやIR資料など、競合が公開している情報を参考にしましょう。
ここでは、製品やサービスだけではなく、一見見落としがちですが、企業理念なども確認しましょう。
もし公開されている情報が不十分であれば、アンケートや電話調査・面談などを実施して、可能な範囲で情報を取得することが良いでしょう。

3.フレームワークを活用し競合の分析を行う

企業の調査が済んだら、次はフレームワークを活用して競合分析を行うことがよいでしょう。
競合分析では「3C」や「4P」を併用して分析を行うことがおすすめです。

それでは、今回は事例企業としてA社(製造業:工場用の工作機械の部品を製作している企業,従業員数30名)がB社(製造業:工場用の工作機械の部品を製作している企業,従業員数500名)との比較を行った場合を考えてみましょう。

競合分析の手法について

①3C分析

3C分析では「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」のそれぞれの軸から分析をしていきます。

まず、競合とは同一の顧客に対してアプローチしている企業と考えた場合、顧客視点で考えることが必要です。そのため最初に分析すべき対象は市場・顧客です。
ここではマクロの視点とミクロの視点で分析すると良いでしょう。マクロの視点では、政治動向や景気の動向、社会情勢、また技術革新などを確認します。事例企業で言えば、製造業の市場伸び率や、最近では新型コロナウイルスの影響で市場がどう変化しているのか、といった大きな視点で考えていきます。

つぎにミクロの視点では、ターゲットとする企業について確認します。どういった工作機械を製造しているのか、その顧客の戦略についても理解をすることが重要です。その「市場・顧客」の状況を踏まえた上で「競合」と「自社」がそれぞれどういった戦略をとっているかを分析します。

②4P分析

4P分析とは「製品(Product)、価格(Price)、物流(Place)、プロモーション(Promotion)」の4つの観点から競合と比較をします。
そのうえで、自社がそれぞれに対して、どういったポジションをとれば良いのかを検討していきます。

例えば、事例企業の4P分析をした場合、以下のようになります。

自社(A社)

競合(B社)

製品

・多品種少量生産が可能
・特注製品でも短納期加工が可能
・複雑な加工は、生産設備が無いため
 外注に出して製作する

・少品種大量生産が可能
・複雑な加工も自社工程で対応可能

価格

・特注製品をメインとし、高単価

・生産量が多い製品では、低価格

物流

・企業に対して直接納品を行っている

・商社を通して販売

プロモーション

・昔からの付き合いのある企業がメイン 
 新規顧客の開拓はできていない

・ホームページなどで製造プロセスを公開
・展示会などに出展

4Pの分析結果を活用して、自社が競合のB社と比較して差別化できる特徴を明確にします。特に、B社は自社よりも企業規模が大きいため、同じ戦略を打ち出すと苦しい戦いとなるので、差別化はとても重要です。

ここでA社では、企業規模的にも多品種少量生産が可能という強みがあるので、その強みを活かした戦略を生み出すこと、また、現状はプロモーション活動が皆無なので、他社が行っていない動画配信や付き合いのある企業の口コミの活用で新規顧客開拓を行うといったような、新たな戦略を生み出すきっかけにつながります。

いかがでしたでしょうか。競合を分析する手法について今回は解説いたしました。
しかし、競合を分析するだけで終わりではありません。競合分析の結果に基づいて、競合に対して優位となる戦略を立案し実行することが大切です。
また、競合も常に変化し続けますので、競合分析は一度実施して終わりではなく、定期的に実施することを心掛けましょう。

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