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  • 2020.10.05

商品開発をコーチング

商品開発をコーチング

商品開発は、試行錯誤の連続です。
意気揚々と始めた商品開発も、様々な課題に直面するうちに意気消沈…
しまいには「なぜこの商品開発に取り組んでいるのだろう?」という根本的な問いに悩むこともあるかもしれません。

そんな悩みを解決に導く手法の一つが、コーチングです。
今回は、コーチングの基本モデルである「GROWモデル」に基づく問いを用意しました。商品開発に悩む方は、まずこの質問から答えてみてください。

問1)あなたが商品開発を通じて達成したい目標は何ですか?

GROWモデルの「G」は「Goal」すなわち「目標の明確化」を示します。
商品開発を始めるにあたり「売れる商品を作ること」を目指して高らかに掲げた目標があるはずです。しかし次第に方向性を見失い、姿を変え、気がついた時には全く違う形になってしまうこともあります。そんな事例を紹介しましょう。

製造業のA社。車椅子ユーザーの行動範囲を広げることを目標に、階段を走行できる車椅子の技術開発を始めました。しかし、安全・安心に走行できる見込みがどうしても立ちません。
開発メンバーが頭を抱えていたところ、一人のメンバーがこう言いました。「車椅子は無理でも、開発した技術を応用すれば、階段を走行できるベビーカーを作れるのでは?」
「その手があったか!」と膝を打つ開発リーダー。今ではベビーカー開発に没頭しています。

商品開発は無事に継続されましたとさ、めでたしめでたし。
…ではありませんよね。「車椅子ユーザーの行動範囲を広げる」という目標は、いったいどこに行ってしまったのでしょうか。目標を達成するために開発した技術だったはずが、いつの間にか「開発した技術の出口を見つけること」が目標に変わってしまったようです。

開発段階と事業化段階の間に横たわる「死の谷」を越えるためには、具体的な目標に加え、様々な困難に歯を食いしばって立ち向かうための信念が必要です。
A社は「車椅子ユーザーに喜んでもらいたい」という信念に欠けていたために「死の谷」の前で右往左往することとなりました。

ここで改めて問います。

あなたの商品開発の目標は、何ですか?

その目標は具体的に、誰に、どのように、どんな価値を提供するものですか?

その目標を、なんとしても達成したいという信念は、何ですか?

問2)目標達成のための課題は何ですか?

商品開発をコーチング

GROWモデルの「R」は「Reality」すなわち「現実の把握」を、そして「Resource」すなわち「現有資源」を示します。
目標を改めて確認したうえで、あなたは今、どんな状況にあるでしょうか。

こう問われるとつい後ろ向きに「できていないこと」や「できていない理由」を探し始めがちですが、コーチングでは前向きに「できていること」を探していきます。

目標に向かって、どこまで進むことができていますか?

今までに明らかになっている課題は何ですか?

活かすことができているあなたの強みは何ですか?

また、あなたが持っている資源には、どんなものがあるでしょうか。
「ヒト・モノ・カネ・情報」全部足りない!と人のせいにしたくなるところですが、コーチングではまず、自身の内面にある答えを探していきます。

課題に対して力を貸してくれる「ヒト」は誰か、開発中の「モノ」を十分に評価しているか、「カネ」の使い道を工夫できないか、ヒントになる「情報」はないか、あなたが有する資源の存在とその活用可能性に目を向けてみましょう。

問3)目標達成のためにできることは何ですか?

GROWモデルの「O」は「Options」すなわち「選択肢の創造」を示します。
目標が定まり、現実が把握できたところで改めて、今からできることが何かを考えます。
もちろん、これまで進めてきた商品開発を継続するのも選択肢の一つです。
ただし、コーチングではさらに別の選択肢も探していきます。

選択肢は本当に「商品開発の継続」だけでしょうか?他にはないのでしょうか?

商品開発は、全てを自ら行うことだけが解ではありません。例えば強みを活かせない領域をアウトソーシングする、さらにはライバル事業を買収するなどの選択肢が考えられます。
また「顧客に価値を提供すること」と「商品開発をすること」が、必ずしも同義ではないということにも注意が必要です。場合によっては「商品開発をしないこと」も選択肢に加える必要があります。
ここで、成功体験を有した事業ほど陥りやすい「イノベーションのジレンマ」について、事例と共に紹介しましょう。

「写真を撮る」というニーズに「フイルム」という商品で応えたコダックは、30年前には世界を代表する企業の一つでした。しかしこの30年間で「写真を撮る」手段は「フイルムカメラ」→「デジタルカメラ」→「スマートフォン」と劇的に変化をしました。コダックは「高品質の写真を提供する」ための開発に固執し、顧客のニーズが「手軽に写真を楽しむ」ことに変化していることへの対応が遅れた結果、2012年に破産しました。

一方、30年前にコダックと覇権を争っていた富士フイルムは、フイルムに固執せず、デジタル化への対応や、強みを活かす別市場の開拓に成功したことで、生き残ることができています。

顧客は「写真」という価値が欲しかったのであり「フイルム」という商品が欲しかったのではありません。「フイルム」という成功体験を引きずり「イノベーションのジレンマ」に陥ったコダックと、現実を見据えて方針を転換した富士フイルムとで、明暗が大きく分かれる結果となりました。

この事例が象徴するように、これまで取り組んできた商品開発に固執しない幅広い選択肢を想定しておくことが大切です。ブレストのように、実現可能性や費用対効果といった制約にとらわれず、質より量を重視して、選択肢を思いつく限り書き出してみてください。

問4)まず何から取り組みますか?

GROWモデルの「W」は「Will」すなわち「意思の確認」を示します。
書き出した選択肢の中でどれを選べばよいのか。
正解の見えない中で迷うあなたに、コーチングではこう問いかけます。

「どれをやりたいですか?」「どれならやれそうですか?」

悩む要素が多い時には、判断基準を定量化し、マトリクスの形で見える化すると効果的です。ここでは5段階評価に加え、要素ごとに重み付けを行って判断した例を紹介します。

商品開発をコーチング

選んだ選択肢に基づき、明日から取り組むことができそうですか?

この問いに対し、もし違和感があるようでしたら、自分の思いにできるだけ近い配点となるように、判断基準や重み付けを工夫するとよいでしょう。

クロージング

ここまでの質問に答えてみて、いかがでしたか?
改めて問われると、答えるのが難しかった質問もあったことでしょう。

今回は、自身の内面から「コーチング」的に商品開発の動機を導き出しました。
「前例の継続」や「上司の命令」など外部から押しつけられた「ティーチング」的な動機よりも、主体的に取り組む意欲が湧いてきたのではないでしょうか。

達成すべき目標を定め、現実を踏まえ、考えうる選択肢の中から、最も取り組みたい選択肢を自ら選べたのであれば、あとは新しい一歩を踏み出すだけですね!
応援しています!

釜 剛史

釜 剛史

株式会社プロデューサー・ハウス

PROFILE

ライター、コンサルタント
1975年生まれ、熊本県出身。

2001年に東京工業大学大学院機械物理工学専攻(ロボット工学)修了後、富士写真フイルム株式会社(現、富士フイルム株式会社)に入社、医療機器開発業務に従事。

2006年にロボット技術者を志してトヨタ自動車株式会社に転職、ロボットや小型モビリティの企画開発・渉外業務に従事。

2020年に中小企業診断士登録、個人事務所を開業。企業診断、講師業、執筆業に携わりながら、有志と「診断の型」作りを画策している。


お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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