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  • 2020.04.07

小規模から始める輸出 出店準備から発送まで

小規模から始める輸出 出店準備から発送まで

数年前から「越境EC」という言葉が一般的になってきました。その意味は、言葉の通り「国境を超えた電子商取引」というものです。しかし言葉の普及に比べて、実際私たちのまわりで、「越境EC」を実際におこなっている人はまだまだ少ないというのが実感ではないでしょうか。日本貿易振興機構(JETRO)によると、越境ECを利用したことがある企業は、24.4%と約4分の1でした(*注1)。

しかし個人での利用はより進んでおり、「越境EC」をおこなった経験のあるネット利用者は30.5%と言われます。また利用状況は、10代を筆頭に若い世代の利用経験者は、なんと半数超という結果であり、今後ますます増加傾向であることは間違いありません(*注2)。

(*注1)日本貿易振興機構(JETRO)アンケート調査「2016年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(回答企業2,995社)
(*注2)株式会社ジャストシステム Marketing Research CampEコマース&アプリコマース月次定点調査20201月度」(対象17歳から68歳の男女1,100名)

そこで今回は「小規模から始める越境EC(輸出)ファーストステージの実務」についてお話させて頂きます。どこの海外プラットフォーマーのサイト(以下、海外サイト)に出店しても、共通となる出店準備までに必要な知識についてご説明します。

国内ECと比較した、越境EC(輸出)の
メリット・デメリットは?

越境EC

不安点

メリット

・市場規模・商圏が、格段に大きい

・出店や出品作業の煩雑さ

・商品の発送手段

デメリット

・英語でのコミュニケーション

・決済手段が複雑

・為替レートの影響を受ける

・翻訳

・決済会社

・為替リスク対策

どこのサイトに出品するのかを決めよう

現在国内で既にネット通販を展開している経験があっても、それぞれのEC運営会社のサイトごと、慣れるまでに数回のガマンは必要でしたよね。越境ECでも全く同様です。また海外サイトを利用する際は、やはり日本語ではなく、それぞれの言語での対応が必要となります。しかし、今の時代インターネットを検索すれば、大手の海外サイトに出品するための詳細な利用方法やアカウント開設方法の説明は、日本語で数多くあるので、ここで個別サイトに関しての説明は省かせて頂きます。

大切なのは自社が『「誰に」「何を」販売したいのか?』。まずは想像で構わないです。そして多くの場合、予想外の市場で受けがよかったり、当初とは違う商品群の需要が大きく伸びたりして、その後の現実は事前の想像とは大きく違うものです。まずは想像をベースに、取引する海外サイトを選択してみましょう。

販売開始、その前に

小規模から始める輸出 出店準備から発送まで

まず初めての「越境EC」…何から始めるのがベストでしょうか?早速サイトに出品?
いいえ、私の見解ではまずは「個人輸入」をオススメします。
これには理由があります。

アカウント開設後の第一歩はビジネスではなく、皆さんの価格感度が最も働く趣味・嗜好の商品などを、購入してはいかがでしょうか。例えば、ネットで話題のコスメティック、入手困難なブランドの雑貨や限定販売のスニーカー、映画関連のレアグッズなどです。お客様の視点で、実際に購買プロセスを経験することは、非常に重要です。また他社のサービスレベルを理解するために、海外のライバルになりうる会社などから購入してみるのも良いかもしれません。いくつかの海外サイトでは、初心者がいきなり大量に出品することに対し、制限を掛けるケースがあります。いわゆる「リミット解除」というアカウントの経験数が増えたのち、制限も解除されるという方式をとっている場合がみられます。アカウントを成長させることも大切なプロセスとなります。

実際のところ個人輸入というのは、かなりカンタンです。事前にクレジットカードを決済会社に登録する必要などがありますが、基本的に「商品代金+送料を確認し、購入ボタンをクリックする」行為は、国内ECと全く同じです。また到着後インボイス価格に応じた消費税(商品によってはプラス関税)を配達員へ支払うこともありますが、個人輸入の場合は支払不要の場合が圧倒的に多いです。そして、輸入を理解することは輸出を理解することにつながります。

輸出の方がカンタン

ファーストステージとして、まずは輸入をオススメしましたが、実際小規模のビジネスを始めるにあたっては、輸入よりは輸出の方が手間は少ないです。

高度成長期より日本は原材料を輸入し、製品を海外に輸出する貿易立国と言われていました。そのため輸入よりも輸出を促進する傾向が強く、法規制の面にも影響しています。もちろん取扱商品カテゴリーによってかなり差異がありますが、①関税、②法規制の問題や輸入制限、③注意書きや取扱説明書の日本語表記にともなう翻訳などの作業が輸入に伴い必要となります。個人輸入レベルでは問題とはならないケースでも、国内の第三者へ販売をおこなうために輸入するビジネスとして考えると、様々な制約や制限が出てきます。

一例として、陶器の食器やお子様の口に入る危険が有るとされる幼児玩具は、食品衛生法の対象となり規格基準にもとづいた検査が必要となります。また家庭用照明器具の場合では、電気用品安全法による技術基準の適合検査に合格し、PSEマークや事業者名の表示義務、取扱説明書の翻訳など多くの作業を必要とします。

輸出・輸入どちらを行うにしても、日本貿易振興機構(JETRO)のホームページにて、取扱商品カテゴリーについての情報を、必ず一度は確認するようにして下さい。

日本貿易振興機構>国・地域別にみる>貿易・投資相談Q&A

代行業者は?自分でやらないといけないのか

海外との商取引全般である貿易行為については様々な「代行業者」が存在します。輸出入に係る書類申告処理・パッキングやシップメントなどを包括的に行う、「乙仲業者・フォワーダー」が代表的なものです。
ファーストステージの皆さんが関連する業者を、越境ECに限定しても、「出品代行・出荷代行・倉庫業・言語翻訳・ECサイトリンク専門業者」等々かなりの選択肢があります。

しかしファーストステージの皆さんには、自分でも出来ることならば一度経験した上で、代行業者を依頼するのかどうかを決めることをオススメします。国内ECの経験があれば、出荷のプロセスにて自分で作業をおこなう負担は、国内の場合とそれほど変わりません。また日々のお客様とのコミュニケーションは、インターネット翻訳サイトである程度カバーできます。

代行業者のコストとサービスレベルを確認するためにも、経験こそが非常に有効です。自分でできるのか否か、また費用対効果はどうかなどを検討した上で、代行業者を使用するのか決定してはいかがでしょうか。

物流業者はどこを選ぶ?

今はインターネットで何でも売れる時代になりましたが、売れた商品を発送する作業は昔ながらに段ボール等に梱包し、運送業者に引き渡すという作業は変わりません。運送業者もネット通販の拡大と共に多様な配送手段のサービスを提供するようになりましたが、荷物のサイズ・料金・かかる日数など確認しなければならないポイントがいくつかあります。

国内から海外に向けて配送する主な企業は、日本郵便やヤマト運輸・佐川急便などの物流会社、他にもDHLFedExなどの海外の物流会社があります。また物量によっては仲介業者を使用するケースも出てくると思われます。

ファーストステージにおいて、一回の発送サイズが梱包サイズ1.5m以内、重さ30Kg以内の発送であれば、発送相手国が全世界であること、発送持ち込み拠点が全国どこにでもあるというサービス内容において、日本郵便の海外向けの配送である「国際郵便」がもっともオススメできます。しかしサービスメニューによってサイズや発送先の国によって利用できるサービスに制限がありますので、それらを確認する必要があります。

次回は、日本郵便が提供する「国際郵便」の料金システム解説とヤマト・佐川・DHLエクスプレス等を使った配送サービスをメインに、輸出に必要な用語説明を含めた発送作業についてご説明します。

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